目指せ声優! 何かに本気になれる奴が一番カッコイイんだ!

 中学卒業とともに同級生の桃井美樹に告白した虹野大河は、「声優を目指しているから付き合えない」と玉砕してしまう。諦めきれない大河は声優を目指し、高校から演劇部に入ることに。しかし大河の進学した越谷中央高校演劇部は廃部寸前で……。青春を恋と演劇にかける少年少女の熱血学園ストーリーです。

 片思いの女の子を振り向かせたい、ただそのために何事にも本気で打ち込む主人公、虹野大河の情熱が眩しいです。

 廃部寸前の演劇部を復活させるため、部員を集め、部室を整理し、脚本を用意し、練習を重ねる。しかし、これまで演技などやったことがない、おまけにアニメや映画もそれほど見ていない大河の演技は、経験者の他の部員より見劣りしてしまう。

 努力をしても届かなかった主演の座、己の不甲斐なさに打ちのめされる大河ですが、何も得られなかったわけではなりません。誰よりも強い熱意と行動力で演劇部のために奔走する彼のことを皆が信頼し、いつの間にか新部長と認められていくのです。

 何かに熱中すること、将来の夢を語ることが恥ずかしい。現代の若者にはそういう臆病な一面があります。努力は報われるとは限らない。けれど誰かに認めて欲しいならば、努力することです。報われない努力は必ず別のなにかで報われる。そっちのほうが実は価値があるものです。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲 優詩)