2話
自分の周りを、見回してみる。
まず、よく異世界もので表現される町並みが、目に入った。
これが俗に言う、中世ヨーロッパ風という奴か。
次に、周りにいる人々。
何人かは、怪訝な顔で俺を見ている。
それ以外は、こっちをチラチラ見ながらも、歩いて行ったり、商売をしたりしている。
会話の一部が聞こえてきた。
「あの格好、何なのかしら?」
「さあ?」
「変な恰好。貴族なのか? でも、お付きがいないし……」
「貴族でもあんな服、見たことねぇぞ」
恰好? 別に普通じゃ?
自分を見てみる。
うん。ジャージとスニーカーだ。
それを理解すると、行動は早かった。
慌てて近場の路地に逃げ込む。
「おい兄ちゃん、そっちは危ねぇぞ!」
なんか声が聞こえた。が、そんな場合じゃねぇ!
ジャージだぞ、ジャージ!
知らないところにジャージでいられるか!?
俺、そんなにメンタル強くないんだよ。
路地をかなり進んで、周りに人がいないところまで来た。
ハァハァハァ、マジで……無理ぃ。
ハァァァ……ふぅ。大通りは歩けねぇな。俺の羞恥心が許容限界だ。
これから、どうすっかなぁ?
というか家追い出されて、俺もテンパってたんか。
ジャージで会社泊まりとか……どう考えてもダメじゃん!
……まぁ、時間できたと思うか。
今いる路地は、地面が少しジメっとした感じ。
元々汚れていた、よく履くスニーカーが泥を撥ねて、さらに汚れている。
ファッションに興味ないし、お気に入りでもない、普通のスニーカーだから別にどうでもいいんだが……
まるで、今の俺を表しているようで落ち込むわ。
というより、久しぶりに土の上を歩いた気がする。
アスファルト、コンクリート、その他諸々の都会ジャングルで十数年。
こんな新鮮な気持ちを味わうとは……。ま、ここ知らん場所やがな!
それから、周りの建物に目を向ける。
本当に異世界もので見かける建物だ。
手で触った感じ、こう、なんと言うか。すまん。俺では伝えきれん。
てか、建物の材質とか分かるわけねぇだろ!
こっちは根っからのインドア。プログラマー兼システムエンジニアやぞ!
その後、数分、ボーっとしていた。
……夢ではないだろうな。
ここはベタだが、異世界転移……
異世界転移っ!
「ステータス」
俺はそれに気づくと、反射的に声にしていた。
すると半透明のウィンドウが、目の前に表示される。
うっひょう! マジで! マジでか!
マジで異世界転移かっ!
嘘じゃねぇよな! テンっションっ上っがっるぅ~!?
そして、表示されたステータスを見ていく。
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名前:小石 学
職業:無職
年齢:18歳
レベル:1億(上限突破)
ステータス
HP :999,999,999,999(約1兆)
MP :999,999,999,999(約1兆)
STR:999,999,999 (約10億)
VIT:999,999,999 (約10億)
INT:999,999,999 (約10億)
MID:999,999,999 (約10億)
AGI:999,999,999 (約10億)
DEX:999,999,999 (約10億)
LUC:999 (約千)
スキル
剣術:LvMax、槍術:LvMax、斧術:LvMax、弓術:LvMax、盾術:LvMax
短剣術:LvMax、暗殺術:LvMax、投擲:LvMax、調合:LvMax、調薬:LvMax
錬金:LvMax、鍛冶:LvMax、建築:LvMax、灼熱魔法:LvMax、氷結魔法:LvMax
暴風魔法:LvMax、大陸魔法:LvMax、神聖魔法:LvMax、深淵魔法:LvMax
状態異常耐性:LvMax、魔法耐性:LvMax、二刀流、金剛不壊、ステータス限界突破
……etc
称号
ジョブマスター、スキルマスター、限界突破者、超越者、世界の救世主
武術を極めし者、魔法を極めし者、頂に到達した者、軽課金者
宵越しの金は持たない、貴重属性魔法を発見し者、理性在りし者
……etc
所持金:9,999,999,999,999,999ゴールド(約1京)
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これは!?
俺がやっていたESのステータス!?
ということは、異世界最強系! 俺Tueee系!
スローライフって言いながらの、俺、何かやっちゃいました? 系も目指せるんじゃ。
いやいや、ここは素直にハーレム系か! 奴隷系も捨てがたい!
いやぁ、マジか! 夢が広がリング!
これ死語!? 死語なの!?
いや、待て待て俺! ここはCOOL、そうCOOLに行こうぜ!
心の中は、イケメン&ハンサム顔できまっている俺氏。
実際は、ただニヤニヤした気持ち悪い男であろう。
そんな、完璧独り芝居をしていた時だった。
前から子供連れの母親が来る。
「お母さん。あのお兄ちゃん変だよ? 顔がものすごく気持ち悪いし」
「ダメよ。見ちゃいけません!」
そして、そそくさと通り過ぎていく。
こんなことで冷静になるんだったら、そもそも興奮していない。
この時の俺は、親子の会話を全く聞いていなかった。
後日「あぁっ! 顔が気持ち悪いお兄ちゃん!」と、子供に言われたとき、ギョっとする俺である。
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あとがき
初めてのステータス……
作者も思う。異世界妄想馬鹿が考えた頭の悪いステータスって。
でも最初だけだから!
まだ触りだから!
これからもよろしくお願いします。
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