第45話 討伐対象:フレイムリザード3
休息が終わったので、武器だけ変えたら出発する事になった。
『ゴーレムの剛腕』というアイテムについて見るため、そこをタップしてみる。
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ゴーレムの剛腕 必要QP25
『巨大なゴーレムの片腕、右腕と左腕の選択が可能』
購入しますか YES/NO
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現在俺の持っているQPは36だ。25はかなり高い…でも鉄の剣よりも有効な武器になるだろうし買おう。この武器が強ければ今回でQP25取り返せるかもしれないしな。
購入するためYESを押すと
『どちらに装備しますか? 右腕/左腕』
という表示が出る、俺は左利きなので左腕を選択する。
すると左腕が光りだした。以前アイテムを購入した時も、転移の時の様に青色の光からアイテムが現れていた。
だが、今回の光の大きさは以前よりも大きく、突然の事に進上と大橋も驚く。
光が止むと、左腕は石で出来た巨大な腕になっていた。
以前倒したゴーレムの腕と同じ腕だ。
お、思っていた以上に大きいな…
装備者に合わせて大きさが変わるとある通り、確かに元のゴーレムの腕よりかは小さくなっている。でも腕の長さは俺の身長程度あるし、かなりだってかなり太い。
「だ、大丈夫なのそれ!?」
「随分と強そうな武器だな。指とかしっかり動かせるのか?」
進上は心配そうに話しかけてき、大橋は興味津々そうに訪ねてくる。
試しに動かしてみると、いつもの腕の様に自由に動かすことが出来た。
肘を曲げるのも指を曲げるのも簡単で、本当に自分の腕がこれになったのかと思うほどだった。
休憩が終わり、3人は魔物を探すために動き出す。流石にゴーレムの腕を装備しながらだと動きにくいので、移動する時は剣を持つ。
松平の言っていた通り、ショップのアイテムは念じるだけで自由に出し入れが出来たのでいつでも取り出せる。
大橋さんは「俺のスキルに少し似てる!」とか興奮してたな。もしかして、いつかは全身ゴーレム装備になったりするのかな…
そんな事を考えながら走っていると、大橋が話しかけてくる。
「そうだ、さっきの説明の続きだが、大人数で魔物を倒した場合どんな感じにQPが振り分けられるか知ってるか?」
「いえ、気になってはいましたが知りません」
大橋は走りながら説明を開始した。
「まず、その魔物が絶命した時から10分前ぐらいまでに、【その魔物に攻撃した者・魔物の攻撃を喰らった者】が倒した判定になるらしい。QPを貰え、レベルが上がるって事だ。
例えば10人全員が攻撃した後にその魔物を倒せば、全員がその魔物を倒した事になるんだ。
ボスを少人数で倒すというのは、その魔物を倒した判定になった者が少ない時なのだろう。
そして大人数でも一人でも、一人当たり貰えるQPは一緒。5QP貰える魔物なら、何人で倒そうと全員が5QP手に入る。
つまり大人数でターゲット倒し、そのQPを皆で手に入れるのが一番合計QP獲得量が良いんだ。
少人数でターゲット倒すというのは、合計QP獲得量が少ない代わりに装備が手に入るってものだ」
分かりやすいな。
俺が前回ゴーレムの核を壊した時、その10分以内に攻撃を与えていたのは新島と工藤くらいだった。だから少人数で倒すという条件を満たせたのか。
「松平さんからは一通りの説明を受けましたが、まだ教えてもらってなかった事が結構ありますね」
進上がそう言うと、大橋は渋い顔をする。
「ああ…ここ最近はかなり余裕があったんだ、だが…2回前のスライムから少し厳しくてな、新規プレイヤーに色々教えてる暇がないんだろう」
俺の初クエストであるスライムの時は説明している時間などなく、前回受けた説明は本来初クエストの時に受ける説明だったと思う。そして今回は飯田さんの死により余裕がなかった。
こればかりは不幸が重なってしまったから仕方ない。
動き出して十数分。視界が開けているのに中々魔物が見つからず不審に思っていると
「あれ!もしかして誰か戦っているんじゃないですか!?」
進上が誰かを見つけたらしく前の方を指差す。その方向を見ると、遠くから炎らしきものが見えた。
あれはフレイムリザードのものか!
「俺はメガネが無いから見えん!2人について行くぞ!」
内野達はその方向へと走り出す。
近づいてみると、6人がフレイムリザードと鳥の魔物の2匹と戦っているのが分かった。
フレイムリザード1匹でもキツかったのに2匹同時か…しかも鳥の魔物は飛んでるし攻撃出来ないし、かなり厄介だ。
「大橋さん、進上さん。先ずはフレイムリザードからやりましょう!」
二人は頷き、内野に続いてそのままフレイムリザードの方に向かう。
フレイムリザードと戦っている人の内の一人は盾を構えて前線にいた。そしてその人物は内野が知っている者であった。
「え!木村君!?」
「内野先輩!」
フレイムリザード前にいたのは木村であった。『大楯』スキルで木村の目の前には青色の大きな盾が現れており、それが炎を防いでいた。
だが木村の身体は既に限界を迎えているのか、服も盾もボロボロになっていた。ロビーで背負っていた鞄は邪魔だからか地面に置いてある。
「木村君は下がって!後は俺らがやるから!」
「は、はい!
後ろにいる鳥がたまに下りて攻撃してくるので、奴にも気をつけて下さい!」
警告をした後、内野・進上・大橋の3人と入れ替わる形で木村は下がる。
鳥の魔物は内野達の上空におり、今は攻撃が出来そうにはなかった。
あの鳥がいつ攻撃してくるか分からないから厄介だ…
後ろには負傷した木村君と他の5人がいるし、フレイムリザードのからも目が離せない。
「木村君、あの鳥が攻撃してきそうになったら言ってくれ。このトカゲを相手にしながら上を見るのは無理そう」
「分かりました!」
木村に鳥の監視を任せ、3人はフレイムリザードに集中する。
「それと進上さん。尻尾が大橋さんの方に振られたら左右に分かれて相手の目を狙いましょう」
「分かった」
「尻尾は任せろ!」
作戦を思いついた内野は二人にそう指示する。
相手の攻撃手段である尻尾を大橋さんに引き付けてもらえば、あと警戒すべきは口から出る炎だけだ。それも二人で左右に分かれれば、片方は確実に接近出来る。
相手の目を一つでも潰せれば、後は慎重に立ち回っていけば勝てるはずだ。今の俺にはゴーレムの腕があるし、相手の死角から近づいて頭を潰してやる。
最初に大橋はフレイムリザードの後ろに回り込み、相手の尻尾攻撃を誘導する。狙い通り尻尾は大橋目掛けて振られ、それを大橋は砂の鎧で防御しながら掴む。
その隙に進上と内野はそれぞ左右に分かれ、相手の出方を
するとフレイムリザードは内野の方に顔を向けて炎を吐いてくる。
内野の方に炎を吐いている隙に進上は相手の目を狙い近づく。すると接近されている事に気が付いたフレイムリザードは顔の向きを変えようとする。
不味い!あの距離で炎を喰らったら一溜まりもない!
既にフレイムリザードの近くまで接近していた進上には下がる暇などない。
そこで内野は咄嗟に魔物に剣を投げ、魔物の注意を引いてから前へ走り出した。武器を待ってない状態での特攻だ。
フレイムリザードは投げられた剣に気が付いて、炎を吐く方向を内野の方に戻す。
今だ!
内野は炎がこちらに向かってきたタイミングで、走りながらゴーレムの腕を左腕に出した。
そしてその左腕で炎を防ぐように、フレイムリザードの方に掌を向ける。するとゴーレムの腕に妨げられ、炎は内野の元まではほとんど届かなかった。
そのタイミングで進上が目に剣を突き刺し、フレイムリザードが苦しみ悶えた事により炎が止まる。
そしてその好機を内野は見逃さなかった。
接近した内野はフレイムリザードに近づき、ゴーレムの左手腕で上に振りかぶり頭を潰そうとする。
バコォォォォォン!
巨大な腕に潰されたフレイムリザードは頭が地面に埋まる。頭は完全に凹み、形はボロボロになっている。
だがまだピクピク動ているおり、足をジタバタさせていた。
まだコイツ生きてるのか!なんて生命力だ。
最後は進上がフレイムリザードの頭を剣で貫きトドメを刺した。
その後身体は動くことなく、絶命させることが出来た。
ふぅ、取り敢えずコイツはやれ…
「上!内野先輩!」
内野が右腕で額の汗を拭おうとした瞬間、木村の声が響く。
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