第37話 トラブル発見
家に着き自分の部屋に入ると、工藤から新島・進上・松平のアドレスが送られてきている事に気が付いた。
先ずは新島に、何故黒狼について皆に話さないのか聞こう。
試しに『内野です。今日工藤に会ったのでメアド知りました』とメッセージを送ってみると、僅か数秒で返信が帰ってきた。
『メールじゃ話しにくいから、こっちで話そ』
その文字の下にはとあるメッセンジャーアプリのダウンロードサイトのURLが張られており、取り敢えずそれをダウンロードする。
そしてそのアプリでお互いにIDを交換した所で、直ぐに新島から通話がかかってきた。
『…本当に内野君?』
最初の一言で、新島の声が少し違う事に気が付いた。前までは声が少しかすれていたが、今は声が透き通っていた。
(「」のセリフが内野で、『』が新島)
「そう。偶然工藤に会ってね」
『それじゃあ松平さんと進上さんの連絡先も知ってるのね。
それで…工藤ちゃんにも言ったけど…』
「聞いたよ、黒狼の事を話さないでってやつでしょ?」
『そうだけど、黒狼の事だけじゃなくて飯田さんの事も出来るだけ黙ってて欲しいんだ』
「まぁ…黒狼について話せなかったら、飯田さんの周りにいた人達の死についての説明も出来ないしな。
あっ、てか飯田さんが生きているかどうか分かるか!?松平さんとも連絡できるんだろ!?」
『その…松平さんからは何も言ってこなかったんだ。
かといって私から飯田さんの事を聞けば、私達が飯田さんの事を何か知っているとバレるし聞けてないの』
それじゃあ…飯田さんが生きているかどうかはまだ分からないのか。
でも松平さんと飯田さんの二人も連絡を取り合ってたと思うし、仮に死んでいたら、松平さんは気が付くはずだ。
何も言って来ないって事は、飯田さんは生きているって考えて良いのか?でも飯田さん生きてたら黒狼の事を公表するだろうし…
『取り敢えず私の話を聞いて。その後に内野君の意見を聞かせて欲しいの』
そう言われ、内野は一旦考えるのを止める。
それから新島は長々と理由を説明し始めた。
『先ず黒狼の事を公表しない方が良いと思ったのは、ローブの人がそうしてないから。
あの人が一体何をやろうとしているのかは分からないけど、何か考え合ってのものだと思う。あの人の考えを、黒狼について何も知らない私達が壊すのは得策とは思えない。
ローブの人は私を助けてくれたし、もしかするとあの人が狼の存在を黙っているのは皆の為だったりするんじゃないかと考えたんだ』
一理あるな。
ローブの人が、協調性が無く大切な情報をただ一人で握っている自分勝手な人だとは思えない。それだったら新島を助けたりなんかしないだろう。
やっぱり鍵を握っているのはローブの人か…何としてもあの人と話す必要がありそうだ。
『取り敢えず黒狼の存在を皆に言わない理由については分かった?
次は飯田さん達の事を言わないだけど、それは私達が噓をついていると気づかれないため。
先ずは飯田さんが死んでいるって前提で話すよ。
黒狼の存在を伏せながら彼の死を説明するのには、当然噓をつかないといけない。でもそうなると、松平さんに色々聞かれた時に何も答えられないわ。バレないように細部まで噓を作るのなんて、飯田さんの事をよく知らない私達には無理だしね。
次は飯田さんが生きている場合。
こっちの方は彼がどれだけ覚えているかによって変わるから、正直私達がどうしたって関係無い。
全て忘れていたら何も言わずにそのままにする。
黒狼や私達が彼を助けた事を覚えていたら、大人しく全て説明するつもり
だから松平さんには、とりあえずゴーレムの核を私達3人が偶然見つけて壊したと言い、飯田さん達については何も知らないって事にしといた
これが正しいのかは分からないけど…』
黒狼の存在を喋れない故に、飯田さんの死についても喋れないという事か。
飯田さんの生死が分からない以上は、俺達に出来る最善の行動はこれだな。他には何も思いつかないし。
『君はどう思う…?
正直私もどうすればいいのか分からないし…君の意見を聞かせてくれないかな?』
「…俺は新島の考えたこれが最善だと思う」
『…そう…それが聞けて良かった』
電話越しから新島の安心したかのような吐息が聞こえる。
俺ってもしかして…凄い頼りにされてる?
工藤もクエストの時は頼りになるって言っていたし、新島も俺の同意を得られて安心している感じだし。
俺って本当はそんな有能な奴じゃないんだよな…
『そうだ、聞いたかもしれないけど、実は工藤ちゃんも私と同じ様にあの狼を見て既視感を覚えたって言ってたんだ』
「聞いたよ。でも二人ともどこで似たような生き物を見たのか分からないんだろ?」
『…うん。でも似たような生き物を見たというより、あの狼自体を……いや、何でもない。もう少し考えが纏まってから話すね』
「分かった」
その後新島との通話を切り、今度は松平と進上に連絡をする。
先に松平からは、〔ゴーレムを倒してくれてありがとう〕とお礼のメールが届いた。
その後進上からは…
〔君達3人がゴーレムの核を壊したのは知ってるよ!君は最後のランキングにも載っていたし、やっぱり君は凄い人だよ!これからも一緒に頑張ろうね!〕
という文字と共に色んな種類の絵文字が使われていた。
凄い明るい文面だな。
てかランキングって…確か進上さんも俺の下辺りに載っていたよな?(30話)
俺はボスを倒したから載れたけど、進上さんはそこらにいる魔物を狩っただけで載った。それって進上さんも凄くね?
ひとしきり話が終わった所で、内野は楽しみにしていたゲームをやって一日中を過ごした。
次の日。
学校があるので朝起きると、松野からヤンキー達に関する連絡が届いていた。
〔今日も小西の仲間が校門前でお前を待つらしいぞ。だからいつもより早めに学校行っとけ〕
小西の仲間は暇なのか?
松野の警告通りに早めに家を出ると、ふと公園の女の子の事を思い出す。
一応公園に向かってみると…
「あっ!ブラック!」
ベンチに女の子が座っており、内野を見つけると駆けつけてくる。
「あ、さしぶり。学校は…大丈夫だった?」
「……耐えられない事は無いよ。だって私ヒーローだもん」
女の子は腰に手を当てて気丈に振る舞う。だがそんな彼女の事がより一層心配になる。工藤が本当は弱いのに虚勢を張っていたという話を聞いていたから尚更。
「まだ時間ある?今日はもう少しお話出来る?」
「あ…うん。まだ結構時間あるよ」
ヤンキー達に校門で待ち構えられるからあまり時間は無いけど…この子を放っておくことは出来ないな。
もう最悪小西の仲間に絡まれてもいいか、何とかなるだろう。
でも松野には連絡しておくか。
「じゃあこっちで話そ!」
「あっその前にちょっとトイレ行ってくるね。少し待ってて」
公園のトイレに行き、松野に遅れるという連絡を入れる。
それが終わり女の子の元へ戻ろうとすると、何やら外から声が聞こえてくる。
「真子、こんな所で何やってんの?」
「え…いや、ただ普通にいただけ…」
「一人で遊んでたんだw」
「絶対ひとりぼっちでヒーローごっこしてたんでしょ」
この会話だけで今何が起きているのか分かる…つい先日の工藤も同じ様な状況だったな。
トイレから出て外を見ると、三人の女の子が一人を囲んでいた。
今まで名前を知らなかったが、ここで初めてイジメられてる子の名前が
あれが真子ちゃんをイジメる奴らか…早く助けに行こう。
真子を助ける為、内野はトイレから出て3人を注意しに向かうと
「あ、お兄ちゃんこんな所で何やってるの?」
「おっ、由香じゃん。ちょっと内野とかいう奴を探す前にトイレでも行こうかと思ってな」
いじめっ子の一人が、向かい側から歩いてきた一人の男と話す。
その男は初クエスト終了時に内野に絡んできた者の一人だった。
そしてトイレから出てきた男と内野の目が合う。
「あ」
「あ」
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