第127話 アタシはデートする相手がいないっておかしくねぇか!?

前回のあらすじっ!

 理央のお姉さんが野次馬として現れた!以上っ!




「で、なんでまだいるの!?私は早く凛くんとデートしたいの!」


「妹はデートするのに、アタシはデートする相手がいないっておかしくねぇか!?」


「おかしくないよ!」


 そんな会話をするが、蓮奈さんは一向に理央の言葉を聞き入れてもらえず…


「じゃあ、アタシは2人のことを後ろから見てるから!くれぐれもイチャイチャするなよ!」


 そう言って俺たちから離れていく。


「はぁ、なんか疲れたね」


「そうだな」


 なかなかクセのあるお姉さんだと俺は思った。




「じゃ!気を取り直して、今からデートに出発します!」


「デートではないが、今日はどこにいくんだ?」


「それはね!これ!」


 そう言って理央は一枚のチラシを見せる。


「ふむふむ、お化け屋敷か」


 そこには地域活性化のため、お化け屋敷を作ったとの内容が書かれていた。


「そう!商店街の行事だから出店もやってるようなの!どうかな?」


「あぁ、お化け屋敷は久しぶりだから楽しみだな」


「ホント!?ならお化け屋敷にレッツゴー!」


 理央は俺の手を引いて歩き出した。




 俺たちは電車に乗って移動する。


 移動中に俺は理央に疑問に思っていたことを聞く。


「なぁ、理央は怖いのが好きなのか?」


「ん?全然好きじゃないけど」


「そうなのか?お化け屋敷を選んだから、てっきり好きなのかと」


「あ………そ、そんなことはどうでもいいの!」


 目を泳がせながら話題を変えようとする理央。


(なんだ?触れられたくないようだが……俺、変なこと言ったか?)


「と、とにかく!行ってみたかったの!」


「お、おう」


(どうでも良くはないと思うが、詮索するのはやめよう)


 俺はそんなことを思いながら、電車に揺られた。




 お化け屋敷を開催している商店街に着く。


 不審者を1人連れて。


「なぁ、理央のお姉さんが後ろに……」


「さー!さっそくお化け屋敷に行こー!」


「あ、おい!」


 理央は元気よく、俺の手を引く。


(気にするなってことなのか?)


 俺はそう思い、後ろを振り返ることをやめた。




 お化け屋敷に到着する。


「外装から幽霊屋敷って感じが出てるな……」


「うん……ちょっと怖いね」


 俺たちがそんな会話をしていると、案内されて中に入る。


「うわぁ……真っ暗だね」


「あぁ、本格的だな」


「じゃ、じゃあ、凛くん。行こうか」


 理央の声かけで、俺たちは並んで進む。


 ポタ…ポタ…


「な、なんか水の音が聞こえるんだけど、雨漏りでもしてるのかな?」


「ん?そういえば、ポタポタと音は聞こえるが、今、雨は降ってないからなぁ」


「だ、だよね?じゃ、じゃあ……ひゃぃ!」


 突然、理央が変な声を出す。


「ど、どうした!?」


「く、首元に水が当たったような……」


「ん?上に何かあるのか?」


 俺たちは同時に上を見る。


 すると…


「キャァァァァァァ!!!!」


 理央が悲鳴を上げながら俺に抱きつく。


 上には怖い顔のお面をした人形が吊るされていた。


「も、もももしかして、私がさっき感じた水滴って……血……なのかも」


「だ、大丈夫だ!落ち着け!よく見たら人形だ!」


「そ、そうだよね!さすがに人間の血なんてないよね」


「あぁ、だから安心して進もう」


「う、うん」


 そう言って俺たちは歩き始めるが…


「な、なぁ、理央?」


「な、何かな?」


「なんでまだ俺に抱きついてるんだ?」


「えっ!だ、だってその……こ、怖いから……」


 理央が目を潤ませながら言う。


「だ、だからね…も、もうちょっとだけ、抱きついてていいかな?」


 そして、上目遣いでお願いされる。


「あ、あぁ。お化け屋敷屋敷出るまでだぞ?」


「う、うん!あ、ありがと…ね?」


「気にするな。理央が怖いの苦手ってことがわかったからな」


「ふふっ、凛くんに抱きついてると安心するよ」


 そう言って、理央はより一層、俺に強く抱きつく。


(お、おおおお胸がぁぁぁぁ!!!!だ、だめだ!理央は怖いから俺に仕方なく抱きついているだけだ!抱きついている手に全感覚を持ってきて堪能………じゃなくて!やっぱり理央のは大きい……じゃなくて!)


「ど、どうしたの!?凛くん!?」


「あ、あぁ、いや、ちょっと自分自身と戦ってただけだから、なんでもない……」


 そう、理央に言おうとしてる時に、後ろから…


「呪ってやる…呪ってやる…呪ってやるぞおぉぉ!!」


「――ッ!」


 理央が声にならない声をあげて、俺への抱きつきを強くする。


「な、なんだったんだ?」


(なかなか迫力のあるお化け屋敷だな)


 俺はそんなことを思いながら、再度、驚いて恐怖している理央に声をかけた。

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