第124話 俺の優秀な遺伝子が受け継がれてるぜ!

前回のあらすじっ!

 ごめんよ、父さん。俺にはモテ期が来る気配はなさそうだよ……。以上(泣)




 俺と父さんは、お互いにため息をついた後…


「でも、目的はどうあれ、凛が後輩の女の子やクラスの女の子と遊んでいることは、とてもいいことなんじゃないか?」


「そう言われてみればそうだな。高校1年生の時にはなかったイベントだ」


「だろ?つまり、これはモテ期1歩前なんじゃないか?」


「!?」


 俺は言われて気づく。


(昨日の3人との遊びは、成り行きで俺がついていっただけで、後輩との遊びは俺がひたすら揶揄われただけ、そして理央は昔、一度だけ会ったことがあったから、その時の思い出巡りをしただけだが……)


「た、たしかに!みんなが俺と遊びに行った理由には泣けてくるが、いろんな女の子と遊びに行く……この状況はモテ期1歩前だ!じゃあ、俺は悲観するべきじゃないな!」


「そういうことだ!だから、これから凛がしなければならないことは……」


 そこまで言って、父さんは溜めを作る。


「お、俺がモテ期1歩前からモテ期になるためには……」


(ゴクリっ)


「それは、凛がたくさんの女の子と遊びに行った事実を学校中に広めることだ!」


「!?」


(な、なるほど!それは盲点だった!)


「さすが父さんだよ!俺がたくさんの女の子と遊んでいることを公表することで、俺のことが気になっている女の子からアプローチされるかもしれない!」


「そういうことだ。女の子ってのは恥ずかしがり屋だが『気になってる男が取られるかもっ!』ってなると積極的になるんだ」


「なるほどっ!後輩やクラスの女の子と遊んだのは事実だ!目的は泣けてくるが、この事実を利用しない手はない!」


「おぉ!俺が全て語らなくても理解してくれるとは!さすが俺の息子!俺の優秀な遺伝子が受け継がれてるぜ!」


「あぁ!父さんの考えてることが全てわかった!大人気女優の母さんと結婚しただけはあるぜ!もはや、恋愛マスターだよ!」


「そんな褒めるなよ〜」


(この作戦……いけるのではないか!?)


 俺は、モテ期になれる道筋が見えてきたことにより、テンションが上がる。


「で、どうやって俺は学校中の女の子に、俺がたくさんの女の子と遊んだことを伝えるんだ?」


「あぁ、それはな、凛。女の子と遊びに行った男はオーラが違うんだ」


「!?」


(そ、そうなのか?いや、恋愛マスターの父さんが言うんだ!これは間違いないこと!)


「じゃ、じゃあ、今週の俺と来週の俺はオーラが違うんだな!?」


「そうだ。これは実体験なんだが、俺が母さんとデートした時や、デートが終わった後は、なぜか女の子たちからチヤホヤされてたんだ」


「な、なんだと!?で、でも、母さんが何か父さんにしたとか……」


「いや、特にそんな記憶はない。しかも、俺は少しオシャレな服を着ただけだ。他に工夫なんかしてない」


「!?」


(おい!これはホントにオーラ的なものがあるのではないか!?ちょっとオシャレな服を着た途端にチヤホヤされるとかはありえないだろ?)


「じゃ、じゃあ、俺は学校中に広めるとかせずに、普段通りに過ごしているだけで……」


「あぁ、それだけで、女の子たちからチヤホヤされるだろう」


「な、なんだと!?それだけでいいのか!」


(俺は普段通りにするだけで、女の子たちからチヤホヤされる……。ヤバい!はやく学校に行きたくなってしまった!なぜ明日が土曜日なんだよ!)


「くそっ!よりにもよって明日は学校がない……。俺はどうすれば……」


「大丈夫だ、凛。それなら明日、誰か女の子を遊びに誘えばいいだけだ」


「そ、そうか!それなら、明日遊んだ女の子が俺のことをチヤホヤしてくれる!もしくは、告白してくれるかも!」


「そういうことだ!はやく誰かに連絡を!」


「あ、父さん!俺、明日、さっき話に出た涼風さんって女の子と遊びに行くことになってたんだ!」


「な、なに!絶好のタイミングじゃないか!」


「あぁ!俺は明日、普段通りにするだけで理央からチヤホヤされる……ヤバい!面倒だと思ってたけど、明日の遊びが楽しみになってきたよ!」


「よし!ここまで理解すれば俺から言うことはない!明日、涼風さんからチヤホヤされてこい!」


「あぁ!ありがとう父さん!いや、恋愛マスター!」


 そこまで言って、俺と父さんは固く握手をした。




 一方、俺たちの会話を黙って聞いていた女性陣は…


「ねぇ、お母さん。お父さんが言ってたオーラってあると思う?」


「いいえ、そんなものはないわ。お父さん、カッコよかったから、オシャレな服を着ただけでメス豚どもが近寄ってきてたの。もしかしたら、そのことをオーラって言ってるだけだと思うわ」


「……バカだなぁ」


「えぇ、私もここまでバカな会話を繰り広げるとは思ってなかったわ」


 そんな会話をしていたが、俺と父さんの耳には届かなかった。

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