第123話 ボケが高度すぎてツッコめないけど……
前回のあらすじっ!
有名な監督までも、俺がコスプレした動画を拡散してました。以上っ!
俺は、有名な監督までも拡散していたという事実にショックを受けつつ…
「ま、まぁ、とりあえず『読モ』の写真撮影と芸能事務所に所属するために、親が書かないといけない書類があるらしいんだ。父さんか母さん、時間ある方が日曜日にサインをしてほしいんだけど」
俺が聞くと…
「日曜日なら夕方に帰ってこようと思ってたところだから、夕方以降ならサインできると思うわ」
「わかった。ならその時間に来てもらえるか聞いてみるよ」
俺は母さんとのやり取りを終える。
すると、今まで静かにしていた美羽が俺に質問をしてくる。
「ねぇ、凛。『読モ』ってなに?あと、芸能事務所に所属ってなに?」
「あー、そういえば美羽には話してなかったな」
俺が『読モ』や芸能事務所に所属することは、三神さんと武田先生、それと舞しか知らない。
「さっき父さんたちに説明した通りだ。なぜか『読モ』の写真撮影をすることになった」
「なるほど……舞、よくやった」
美羽が舞に向けてサムズアップしている。
どうやら美羽も、俺のコスプレ写真が『読モ』に載ることは賛成らしい。もう、理由を考えるのはやめよう……。
「あ、そういえば、父さんは何か俺に聞きたいことがあるんだよな?」
俺は学校から帰った時に、父さんから言われた言葉を思い出す。
「ん?あぁ、それなら監督が見せてまわってた動画の正体が凛なのか聞きたかっただけだから、もう聞く必要はない」
「そうか」
俺は父さんの言葉を聞いて、食事を再開する。
「ところで、みんなは新学期になってどうだ?」
「なんだよ突然。父親みたいなことを言い出して」
「いや、凛の父さんなんだが……」
そのツッコミを軽くスルーする。
「私は普通かな。中学2年生から3年生になっただけだから」
「ん、私も問題ない」
「そうだな、俺も変わりはないな」
「えっ!お兄、高校2年生になってから、後輩の女の子や涼風さんとデートしてるのに?」
「いや、あれはデートでは……」
「それに、昨日はクラスの女の子3人とアウトレットに行ったらしい」
「なんで美羽はそんなこと知ってるんだよ!」
(俺、昨日の件は舞に言ってなかったんだぞ!?いや、昨日の動画が拡散されてる時点で、アウトレットに行ったことはバレてるわ!)
「へぇ、お兄、昨日は女の子3人と一緒にアウトレット行ってきたんだ」
「あ、あぁ。いや、別にアウトレットで楽しんだわけじゃないぞ!?コスプレさせられただけだぞ!?」
「女の子3人連れて?」
「ま、まぁ、そうなるが、俺が連れて行ったわけじゃな……」
「うるさい!死ね!」
「なんでだよ!」
唐突なる死刑宣告。
(そんなに俺がアウトレットに行ったことが羨ましかったのか……。昨日アウトレット行った件は怒られなかったから油断してたぜ……)
俺が心にダメージを受けていると…
「ふふっ、舞はかわいいわね。そう思わない?あなた?」
「いや、全く思わないんだけど。凛の奴が可哀想だと思うだけなんだけど。別にアウトレット行ったくらいで、そこまで怒る必要なくね?」
「はぁ……」
「えっ!なんで俺、ため息つかれたの!?」
「相変わらず、あなたのいらない遺伝子が凛に引き継がれていると思ったからよ」
「いやいや!俺にいらない遺伝子とかないから!強いて言うなら頭が悪いだけだから!」
「はぁ……凛を狙う人は私と同じ目に遭うのね……」
「って聞いてよ!葵さん!」
父さんの声を無視しながら、母さんが誰かに何かを同情していた。
俺が心のダメージを回復させていると…
「それにしても、凛が昨日クラスの女の子3人とアウトレットに行ったとは……。しかも、後輩の女の子や涼風さん?って女の子ともデートしたのか……。さすが我が息子だな!」
「いやいや!昨日の3人は成り行きでついていっただけで、後輩との遊びは俺がひたすら揶揄われただけ、そして理央は昔、一度だけ会ったことがあったから、その時の思い出巡りをしただけだぞ!?俺が告白されるとかなかったし!」
俺は簡単に出かけた時の内容を説明する。
「なんだよ、凛にモテ期が来たと思って喜んだのに……」
「ごめんな、父さん。不甲斐ない息子で……」
「「はぁ…」」
俺と父さんは2人でガッカリする。
それを見ていた女性陣は…
「これはツッコミ待ちをしてるのかしら?」
「うん……そうだと思うよ?ボケが高度すぎてツッコめないけど……」
なぜか呆れていた。
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