第122話 みてみてー!この男の演技ウケるんだけどー!マジ、ヤバくねー!?ww

前回のあらすじっ!

 理央と明日、土曜日に遊ぶ約束をしてたらしいです。これで、俺の休日は全て無くなりました(泣)以上っ!




 俺の自宅の前に着くと、一台の車が駐車場に停められていた。


「お、どうやら父さんと母さんが帰ってるみたいだな。どうする?少し寄ってくか?」


 俺は一緒に帰った美羽に声をかける。


「ん、久しぶりに会いたい」


「りょーかい」


 俺は美羽と一緒に玄関を開ける。


「ただいま〜」


「お邪魔します」


「おー!帰ってきたか!我が息子!それに美羽ちゃん!も!」


「あら、帰ってきたのね、おかえり。美羽ちゃんは久しぶりね」


「ん、久しぶりです」


 俺たちを玄関に来て出迎えてくれたのは父さんと母さん。


 最後にあったのは先週の土曜日、理央とアウトレットに行った日以来だから、約1週間ぶりの再開だ。


「父さんたち、ドラマの撮影は終わったのか?」


「あぁ、落ち着いたから一度帰ってきたんだ」


 父さんと母さんは今、ドラマ撮影の仕事をしている。


 父さんは昔、鍛え上げた体で、バラエティーやドラマなどのスタントマンとして、母さんは大人気女優として活躍している。


 たまたま、2人とも仕事内容(ドラマ)が被っており、現在は2人でロケ地に行っている。


「そうか。ちょうどよかった。俺、父さんたちに言わないといけないことがあったから」


「お、凛もなのか。俺たちも凛に聞きたいこともあったからな」


「ん?俺に聞きたいこと?」


(思い当たる節がないけど……)


「まぁ、それは夕飯の時でいいか。今、舞がご飯作ってるから手を洗って来い。美羽ちゃんも一緒に食べるか?」


「ん、お願いします」


「わかった」


 そう言って父さんは玄関からリビングに向かう。


 玄関に残った母さんは、美羽に話しかける。


「あ、そういえば美羽ちゃん。凛の部屋の合鍵は上手く活用してるかしら?」


「ん、とても重宝してます」


「それはよかったわ。舞も凛の部屋の合鍵があってよかったって言ってるから、たくさん作って正解だったわ」


「ちょっと待て!」


「あら、なにかしら?」


「母さんか!?母さんなのか!?俺の部屋の合鍵をばら撒いたのは!?」


「えぇ、だって妹の舞と幼馴染の美羽ちゃんくらいには渡さないと、凛の部屋がゴミ屋敷になってしまうから」


「そんな心配はせんでいい!」


(くそっ!俺の部屋の合鍵が拡散されてる原因は母さんだったのか!俺は男子だから、部屋に鍵をかけて女の子には言えないようなことをすることがあるの!だから合鍵の存在はアウトなの!)


※40話参照


「あら、でも、舞から定期的に掃除してるって聞いたけど……」


「うっ!」


(た、たしかに、知らない間に部屋が綺麗になってることはあるが、合鍵まで渡す必要はない!だって普段から俺の部屋、鍵かけないし!女の子に言えないようなことする時だけしか鍵かけないし!)


「そういうわけだから、私は合鍵を舞や美羽ちゃんに渡したのよ」


(くっ!頑固だな!だが、俺だって引けない!とりあえず、俺は合鍵を舞や美羽に渡す必要性がないことを母さんに伝えて、合鍵を回収させる必要がある!)


 俺は合鍵を回収してもらうべく、母さんに反論する。


「待って!母さん!俺、合鍵なくても……」


「あ、もしかして、鍵をかけないといけないくらい、舞や美羽ちゃんに見られたらマズイことでもしてるのかしら?」


「…………いえ、そんなことないです」


「そう。ならいいわね」


「…………はい」


 俺の返答を聞いて、母さんはリビングに向かう。


 俺は母さんの背中を放心状態で見送る。


 すると、美羽が俺の肩に手を乗せて…


「ドンマイ、きっといいことある」


(お前らが合鍵持ってるからこんな状態になってるんじゃぁぁぁぁ!!!!)


 と、叫びたい気持ちを必死に抑える俺だった。




 舞が作った晩ご飯を、家族4人と美羽の合わせて5人で食べる。


「なぁ、凛。俺と母さんに言わないといけないことがあるんじゃなかったか?」


 父さんが箸を置いて聞いてくる。


「あ!そうだ!父さん、母さん。俺、芸能事務所のスカウトマンから勧誘されて、明後日の日曜日に『読モ』の雑誌に掲載されることになったんだ」


 俺はこうなった経緯を話す。


 美羽と店長にコスプレさせられて、スカウトマンに声をかけられたこと。何故か拡散されてること。舞に「『読モ』の写真撮影を受けろ」と、お願い(命令)されたことを丁寧に話す。


 俺の話を聞いた父さんと母さんは…


「やっぱり、あの動画は凛だったか」


「そうね、さすが私の息子だわ」


 どうやら、現在、巷で噂されているリューくんのコスプレをした男性の正体が俺だと気づいていたようだ。


「もっと驚かれるかと思ったけど、知ってたんだな」


「えぇ、だって、凛の動画を見たドラマの監督がスタッフに見せてまわってたから」


「マ、マジで!?」


(えっ!だって今、母さんたちが撮影している監督ってあの『新山真にいやままこと』監督だろ!?)


 若者なら誰でも知っている監督。それこそ陰キャの俺でも知ってるくらい有名。


(その監督がスタッフたちに見せてまわってたの!?なんで!?いや、きっと『みてみてー!この男の演技ウケるんだけどー!マジ、ヤバくねー!?ww』とか言いながら見せてまわってたに違いない!)


※新山真監督はおっさんです。


「そんなことがあったから、私たちも凛が活躍してるところは知ってるわ」


「ま、まじかぁ……」


 有名な監督も、俺の演技を拡散してることにショックを受ける俺であった。

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