第119話 うん……あの先生…やべぇな

前回のあらすじっ!

 三神さんから電話がかかってきました。どうやら、俺に愚痴を言いたいらしいです。以上っ!





(おそらく先生が行った掲示板のことで、こんな愚痴を言っているのだろう)


「えーっと……俺じゃなくて武田先生に言った方がいいのではないでしょうか?」


「私も全て武田先輩のせいだと思ったんです。だから、さっき電話したんですよ。そしたら、こんなことがあったんです」


〜回想(武田先輩との電話)〜


『もしもし、先輩、夜遅くにすみません。今お時間大丈夫ですか?』


『あぁ、三神か、作業中だが、その片手間なら大丈夫だぞ』


『ありがとうございます。今日ですね、昨日、汐留さんが『読モ』の件を了承していただいたので、上司に報告したんです。そしたら、『君、彼に結婚の申し込みをしたらしいね。高校生に手を出すのはやめた方がいいよ?』って言われたんです』


『ふはははっ!お前、汐留に結婚の申し込みをしたのか!なかなか面白いこと言うな!』


『私はそんなことしてません!先輩のせいなんですけどっ!』


『ん?私のせいか?うーん……考えても心当たりがないな』


『なんでですか!先輩が掲示板をした時に、スカウトマンを装ったから、書き込みした人が私ってことになってるんです!』


『………おー!なるほど!気づいたやつは、なかなかの天才と見た』


『感心してる場合じゃないです!私、明日からどうやって職場に行けばいいんですか!?』


『そんなの全て肯定すればいいことじゃないか。掲示板という逃れられない証拠もあることだ』


『それができないから困ってるんです!私が高校生に手を出す女になってしまいます!』


『おい三神、30になってない女は、高校生に手を出しても犯罪にはならんぞ?』


『世間がそう認めてくれないんです!』


『おいおい、それだと、私が汐留に手を出してるのが悪いことになるじゃないか』


『先輩の場合は教師と生徒っていう関係の方がアウトですよ!』


『……………ふぅ。今日も空が青いな。知ってるか?空が青いのは光の波長によるものらしい』


『なぜこのタイミングで豆知識なんですか!しかも、夜遅くて青空なんか見えないんですけど!』


『いや、三神に教師らしいことしようかと』


『絶対、今じゃないですよ!しかも、なぜ夜遅くに青空の話なんですか!星空とかにしてくださいよ!』


『お前は私から星空のことを聞くために電話してきたのか?』


『違います!』


『じゃあ何のために電話かけてきたんだ?』


『私は、あるお願いをするために先輩に電話しました!そのお願いとは、たった今開いている

 【相談スレ】

 〈第5回〉リュー様のコスプレをした男性と結婚する方法

     というスレを閉じてください!』


『それは無理な相談だ。私がスカウトマンを装って汐留と結婚するアイデアを募集しているところだからな』


『だからそれのせいで私が困ってるんですよ!』


『ちょっとなに言ってるかわからないが……』


『何で理解できないんですか!?』


『うるさいぞ、三神。今、掲示板がいいところなんだ。電話切るぞ?』


『切らないでください!てか、昨日の夜に第1回を開いて、1日でどうやったら5回も開けるんですか!?今日仕事でしたよね!?』


『そんなの仕事の休憩時間に開いたからだ』


『やっぱりですか!先輩がそんなことしてるから、私は今日、同僚から『今、仕事中だから、結婚できる方法を相談してる場合じゃないでしょ?』とか言われたんですね!?』


『おいおい、仕事中にそんなことするのは良くないぞ?』


『だから先輩のせいなんですって!』


『はぁ、なんかよくわからんが、今すぐ閉じればいいんだろ?』


『なぜ理解してくれないのかが理解できませんが、そういうことです』


『仕方がない。かなりいい案が出そうだったんだが、このスレは閉じるか』


『はい!お願いしま……』


『よし。少し休憩してから〈第6回〉を開催するか』


『………………これはダメですね』


〜完〜

※今まで応援ありがとうございました。三神遥先生の次回作にご期待ください。





『ってことがあったんです』


『うん……あの先生…やべぇな』


『ですよね。武田先輩が結婚できない理由がわかった気がします』


(ホント、誰かもらってあげて!)


 そんなことを俺は思った。





 話が一区切りついたため…


『三神さんは俺に愚痴を言うために電話してきたんですか?』


『え、そうですけ……じゃなかったです!日曜日の『読モ』の件で電話させていただきました!』


(これは完全に忘れてたな……)


 三神さんはわざとらしい咳払いをして…


『日曜日は午前中なら空いているとのことだったため、汐留さんの自宅に9時頃迎え行きます。必要なものはありません』


『了解しました!』


『では、また日曜日にお願いします!夜遅く、私の愚痴を聞いてくださりありがとうございました!』


『いえいえ!』


 そう言って電話は終了する。


 それにしても…


(えっ!あの先生、掲示板で5回も俺と結婚するアイデアを募集してんの!?そのやる気をもっと他のところに向けてよ!)


 俺は本気でそう思った。

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