第101話 ウチは傷つきました。その回復方法は“あーん”です!
前回のあらすじっ!
山野の名前を思い出せないことを伝えると、山野が傷つきました。許してもらうための方法を山野に聞いてるところです。以上っ!
「えーっと……今日の放課後は予定があるから無理なので、他の方法で許してほしい」
(今日の放課後に会うのは女性だってことは黙っておこう。山野に伝えると、三神さん(ついでに先生)に迷惑をかけてしまうと俺の本能が言ってるからな)
「んー、そうですね……。あ!それなら弁当があるので、ウチに“あーん”をしてください!」
「えっ!そ、そんなことしないといけないの!?」
「はい!名前を忘れられてて、ウチは傷つきました。その回復方法は“あーん”です!」
「えぇ……」
(俺、恥ずかしいからしたくないんだけど!)
と、伝えようとしても、山野は俺に“あーん”してもらうための準備を始めている。
「はい!センパイ!ウチの弁当からなんでもいいので“あーん”してください!」
そう言って口を開けて待機する山野。
(くっ!やるしかないのか!たしかに名前を忘れた俺が圧倒的に悪いからな)
そう思って…
「い、いくぞ山野……“あーん”」
俺は赤くなりながら山野に“あーん”をする。
山野はモグモグと食べた後…
「お、美味しかったです……。“あ、あーん”ってなかなか恥ずかしいですね…」
「そ、そうだな」
そんなことしか返答できない凛であった。
しばらく気まずい空気が流れる中…
「センパイ!話がだいぶずれましたが、ウチのことはこれから『凪』って呼んでください!」
「あ、あぁ、わかったよ」
「それならさっそく練習です!さぁ!ウチのことを呼んでください!」
「えーっと……凪?」
「は、はい!……な、名前で呼ばれるのは慣れないですね……」
と、少し顔を赤くして、モジモジしながら言う。
「ん?なんだ恥ずかしいのか?凪?」
「うっ!そ、そんなことないです!」
と、顔を赤くしながら慌てて否定する。
「そうかそうか。なぁ、凪?」
「ふえっ!な、なんですか!?センパイ!?」
「あぁ、呼んでみただけだ」
「う〜!」
そう言いながら凪が俺をポカポカ叩く。
「はいはい、ごめんごめん!」
「そ、そんなことをするからセンパイはシスコンで童貞なんですよ!」
「おいぃぃぃぃ!なんでそうなるんだよ!」
(もう揶揄うのはやめよう。何倍にもなって攻撃されそうだ)
そんなことを思う凛であった。
しばらく、黙々と弁当を食べていると…
「あ!センパイ!ウチの当初の目的を忘れてます!」
「ん?全く覚えてないが……」
(うーん……“あーん”と凪って名前呼びしたことが印象的で覚えてないなぁ)
「そんなことだろうとは思いました。そのため、思い出させてあげましょう!」
そう言って凪は俺にスマホから、ある動画を見せる。
そこには…
『黙って俺に守られてりゃいいんだよ』
『俺のそばから離れるな』
『そんな顔されたら………』
「あー!思い出した!思い出したから、その動画を見せないでー!」
(そう言えば、『この女は誰!?』って聞かれてる最中だった!)
「じゃあ!この女はどこの誰ですか!?」
「えーっと、その子は俺の幼馴染なんだよ」
「へー、じゃあ消す必要がありますね」
「ねぇよ!どうしてそうなるんだよ!」
「それはセンパイに害をなしている虫だからです」
「美羽はそんな奴じゃない………ぞ?」
(あれ?俺に無理やりコスプレさせて、俺の秘蔵コレクションであるエッチな画像を全て消してる奴だから、俺に害があるような気がするぞ?)
「とにかく!その女を消さないといけないですので、その女の所在を教えてください」
「まてまて!そこまでする必要ないから!」
(俺に害はあるが、そこまでする必要はないからな!?)
「なんですか。センパイはその女のことを庇うんですか。そうですか。センパイにとってその女は庇うべき女なんですね。これは今すぐ消す必要が……」
(こ、これはなんか目が本気になってきてるぞ!?)
ヤバいと思ったため…
「ま、まて凪!」
「なんですか?センパイ?ウチは今から……」
「俺は凪が誰かを傷つけるところとかは見たくない!ホントは凪が、とても優しくて可愛い女の子だってことは俺が一番わかってる!だから『消す』とか言うのはやめろ!」
と、俺が大きな声で凪に言うと、“ボッ!”と凪の顔が一瞬で赤くなる。
そして…
「セ、センパイが、そ、そこまで言うなら……こ、今回のことは見逃してあげます」
「あぁ、ありがと」
(俺、凪に何を言ったか全く覚えてないが、丸く収まりそうでよかったぁ)
と、安堵していると…
「ただし!……次はないですからね?」
「は、はは……肝に銘じておくよ……」
(俺、なんで美羽が消されかけてるのか理解できてないのに、肝に銘じることなんかできないんだけど!)
そう思う凛であった。
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