第100話 ウチがその女を消すところでした!

前回のあらすじっ!

 山野からある動画を見せられながら説明を求められました。同じことを何回も説明するのが疲れたので、店長が全て悪いことにします。以上っ!




 俺は今、一昨日の放課後、美羽にコスプレをしてリューくんの演技をしたことに説明を求められている。


(もう全てを説明するのが面倒だから店長が全て悪いってことでいいかな?)


 と、思ったので…


「あれは全てコスプレ屋の店長のせいでこんなことになったんだ。だから俺は悪く……」


「あ、どうせ、センパイのことだから店長さんに言いくるめられてコスプレしたってこと分かってます」


「えっ!じゃあ、何について説明すればいいんだ?」


「それはこの女です!」


「えっ!美羽のことか!?」


「み、美羽……ですと!」


「お前はどこに驚いてんだ!?」


(コイツの驚くポイントがわからねぇ!)


「セ、センパイが女を下の名前で呼んでるとこですよ!さっきの、えーっと……あれ?誰だっけ?……あっ!胸がでかいだけの女のことも下と名前で呼んでました!」


「そろそろその呼び方をやめろ!」


(山野の胸が貧しいから巨乳に対しての敵意が半端ないなぁ……)


 と、俺は山野の胸を見ながら思う。


 すると…


「あ、今、センパイ、どこ見てましたか?怒らないので言ってみてください」


(ギクっ!)


「えーっと……腰?」


「へぇー腰ですか………。なぜ会話の途中に見るんですか?」


「えーっと……や、山野の腰は細いなぁ……触ってみたいなぁって思ったから?」


「…………………」


(俺のアホぉぉぉぉ!誤魔化すの下手か!なんで腰を触ってみたいとか言うの!?ほら!山野も俺の変態具合に黙ってしまったぞ!)


 そのため、何か言おうと頭をフル回転させていると…


「そ、そこまで言うのでしたら、さ、触ってみますか?」


 と、少し顔を赤くしながら上目遣いで提案してくる。


「お、俺を揶揄うな。あと、その揶揄い方はやめろ。他の男にすると手を出されるぞ?山野はかわいいんだからな」


 俺が少しだけ心配すると…


「えーっと、その……し、心配してくれてありがとうございます……。ウ、ウチが揶揄うのはセンパイだけですので……あ、安心してください」


「は、ははっ……それなら安心だよ……」


 どうやら俺だけ揶揄ってもいい先輩らしい。


(やべぇ、全く嬉しくねぇ…。どの辺に安心しろというんだ?)


 そんなことを思う凛であった。




 しばらくすると山野から…


「そうだ!センパイ!そろそろウチのことを名前で呼んでもいいと思うんですよ!」


 と、提案される。


「えっ!なんで!?」


「それは、ウチだけ仲間はずれだからです!」


「いや、そんなことない……」


「仲間はずれです!」


「……はい」


(名前で呼ぶか呼ばないかで仲間はずれにはならないと思うが…)


「さぁ!センパイ!ウチのことを名前で呼んでください!」


「はぁ、仕方ないなぁ……えーっと…………あれ?山野の下の名前ってなんだっけ?」


「センパイがウチの下の名前を覚えていないことにびっくりです!」


「いやぁ………すまん」


(ホントに知らないんだけど!?俺、山野の下の名前を教えてもらったことあったっけ!?)


「あー、私は傷つきました。これは何かウチにしてもらわないといけません」


「うっ!た、たしかに名前を覚えられていないってのはひどいよなぁ」


(身に覚えがありすぎて、すごく共感できてしまう!)


「ゆ、許してほしいけど、どうすればいい?」


「そうですね……それなら!今日はウチと放課後デートしてください!」


「えっ!今日!?きょ、今日は予定が……」


「え、センパイ、今日も女とデートするんですか?その女はどこの誰ですか?その女が消えればセンパイの予定は無くなるんですよね?」


「ちょっと待て!なんで女の子とデートって決めつけてんだよ!」


「なんだ〜違うんですか。それならよかったです!ウチがその女を消すところでした!」


「笑顔で怖いこと言うなよ!」


(ニコニコした顔で言うセリフじゃないからな!?)


「で、それはどんな爬虫類ですか?」


「おいこら!俺には男の友達がいないって決めつけるな!」


(なんで女の子じゃなかったら爬虫類が出てくるんだよ!)


「えっ!てっきりトカゲとお散歩でもするのかと……」


「せんわ!俺のことをそんなことする奴って思ってたのかよ!?」


「センパイは友達いないので“もしかしたら”と思ってました!」


「俺、教室に戻っていいかな!?」


 と、本気で思う凛であった。

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