第99話 あ、今、ウチはセンパイと話してるので。また後で聞きます
前回のあらすじっ!
昼休憩の時に山野が“俺に聞きたいことがある”と言ってやってきました。そして理央と先島さん、火口さんにケンカを売ってました。俺は弁当が食べたいです。以上っ!
(はやく弁当を食べたいなぁ)
と、思っていると…
「ウチはセンパイと弁当を食べにきたんです!ここは後輩に譲るのが普通だと思います!」
「そんなことないよ?私たちの方が先に凛くんと約束をしたんだから」
「そうだね。後輩には悪いけど、ウチらの方が先に約束したんだ。後輩は今から教室に戻るのが得策かな」
「(コクコク)」
「…………………」
「なっ!ウ、ウチはいつもセンパイと同じクラスではないんですよ!?ここはウチに譲るべきです!」
「確かに私たちは同じクラスだよ?だからこそ親睦が必要だと思うなー」
「そうだね。このクラスになってまだ1週間経ってないから、ウチらは親睦も兼ねてるんだよ。だから、後輩も自分のクラスに戻ってクラスメイトと親睦を深めるのが大事なんじゃないかな?」
「(コクコク)」
「くっ!」
と、山野が悔しがる。
「……………………」
(これ、『会話に参加しろ!』って理央たちから言われたけど、入る隙なんかないなぁ。なんか山野が数で押されてるからこのまま黙っておこう。そしたら山野が引いてくれそうだし)
そんなことを思っていると…
「センパイ!」
と、鬼気迫る勢いで俺を呼ぶ。
「な、なんだ?」
「センパイは胸が大きいだけの女や金髪ギャル、頷くだけの女より、かわいい後輩と弁当が食べたいですよね!?」
「その呼び方はマズイと思うぞ!?」
「そうよ!私のことを、む、胸が大きいだけの女とか言わないで!」
「後輩!ウチは金髪だけどギャルじゃないよ!」
「わ、私も頷くだけじゃないよ?」
案の定3人からバッシングを受ける山野。
しかし…
「あ、今、ウチはセンパイと話してるので。また後で聞きます」
(なんでそんなこと言うの!?教室に入ってから3人への対応悪くね!?そこまでして俺に聞きたいことがあるの!?)
「私たちってこの子よりも年上だよね?」
「ウチもそう思うんだけどね……留年とかしてない限り……」
「な、なかなか辛辣ですね……」
(ほら!3人とも今の対応に驚きを隠せてないよ!)
「で、センパイは誰と弁当を食べるんですか?ウチですよね?センパイにはウチがいれば十分なんです。センパイと親しい女は私が消しますので」
「そこまでする必要ないだろ!?」
「そうだよ!そんな生意気な後輩ちゃんのことは放っておいて、私たちと食べようよ!ねっ!凛くん!?」
(えっ!これ、山野か理央たち3人と食べるか選ばないといけないの!?)
「えーっと……みんなで一緒に……」
「それは無理です」
「それは無理かな?」
「ですよねぇ……」
山野と理央に拒否された。
「な、なら、山野が俺に聞きたいことがあるって言ってたから、ちょっと山野の話を聞いてまたここに戻ってくるよ」
そう言って俺は立ち上がり、山野と一緒に教室を出ようとすると…
「ちょっと待ってください、センパイ!忘れ物です!」
と、俺にストップをかけ、山野は俺の弁当を持ってくる。
「えっ!少し話すだけだろ?弁当はいらない……」
「ちょっと!なんで凛くんの弁当を持って行こうとしてるのよ!」
「えっ!それはセンパイが私と一緒に食べたいって言ったからですが?」
「そんなことは言ってねぇ!」
「そうよ!凛くんはそんなこと言って……」
「はやく行きますよ!」
そう言って俺を無理やり教室の外へと連れ出す山野。
「あっ!……はぁ、連れて行かれてしまった……」
「まぁ、これは仕方ないよ、涼風さん。ウチらで食べよ?」
との声が理央たちのところから聞こえる。
(はぁ、これは長くなりそうだなぁ。また後で理央たちに謝らないと…)
そう思う凛であった。
俺たちは今、屋上へ続く階段に腰掛けている。
(ここなら誰も来ないだろう。コイツと一緒に食べているのを見られたら、変な噂が流れてしまって山野に申し訳ないからな)
「で、俺に聞きたいことってなんだ?」
「それはですね、昨日聞く予定だったんですけど、クラスマッチだったから聞けなくて…」
そう言いながら俺にスマホである動画を見せる。
そこには…
『黙って俺に守られてりゃいいんだよ』
『俺のそばから離れるな』
『そんな顔されたら………』
「もう流さないで!」
俺がコスプレして美羽に演技をした時の動画が流れていた。
「じゃあ、センパイ。これはどういうことか説明してください」
「……はい」
(コスプレ動画を見せられるの何度目だよ!しかも毎回説明まで求められるし!)
そんなことを思う凛であった。
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