第98話 おい、誰のことを常日頃からボッチ飯してる奴って思ったんだ?

前回のあらすじっ!

 火口さんから『腕ゴールテープ』のアンコールをいただきました。全く嬉しくないです。以上っ!




 火口さんに謝り、2限の授業を聞く。


 2限の授業が終わり、今度は理央と先島さんのもとへ謝りに向かう。


「えーっと、理央に先島さん。朝はごめんなさい。許可はもらってたけど、やりすぎた」


「い、いいよ!そんなこと気にしなくても!わ、私としてはいい体験になったし……」


「そ、そうだよ!涼風さんの言う通りだよ!も、元々は私が言ってことだったから、汐留君は気にしなくてもいいんだよ!」


「あ、あぁそれならよかったよ」


(ふぅ、罰ゲームとかがなくてよかったぁ)


「あ!ゆきっちや涼風さんには『腕ゴールテープ』をしたらしいから、いつかウチにもしてね!」


「は、ははっ……勘弁してくれ……」


 そう思う凛であった。




 午前中の授業を適当に聞いて、昼休憩となる。


 すると…


「ねー!凛くん!一緒にご飯食べよ!」


「あ、あの…汐留さん…一緒にご飯を食べませんか?」


「汐留君!一緒にご飯食べるよ!」


 と、3人から声がかかった。


(周りの目は気になるが、断るのは申し訳ないな。今日の朝の件もあるし…)


「あぁ、いいぞ」


「じゃ!凛くんの机の近くに集まって食べましょ!」


 そう言って3人が、俺の机と火口さんの机をくっつけて囲う。


 3人がそれぞれ椅子を持ち寄って腰掛けた時に…


「センパイいますか!?」


 と、教室に勢いよく山野が入ってくる。


(ん?アイツ勢いよく入ってきたけど、誰を探してんだ?)


 そんなことを思っていると…


「あ!やっと見つけました!」


 そう言って俺たちのもとへ向かってくる。


「おい、理央。山野が用事あるってよ」


「いや、絶対凛くんだと思うよ?」


「だよなぁ……めんど……」


(昼間から疲れたくないんだけどなぁ……)


「凛くん、顔に出過ぎ……」


 と、理央からツッコまれる。


 そんな会話をしていると…


「センパイ!聞きたいことがあるので一緒にご飯を食べま……なんですか…この女たちは?センパイのハーレムメンバーですか?」


「違うわ!ただご飯を一緒に食べてるだけだわ!」


「へぇ……そうなんですね……」


 そう呟きながら、山野は3人の顔を見る。


 しばらく待つと…


「うーん…全員が私の敵かはわからないですが、一緒にご飯食べるくらいだから、全員敵ですかね?」


「なに物騒なこと呟いてんだよ!」


(どの辺りで敵認定したんだよ!いきなり敵認定されたら3人とも困惑するだろ!?)


 と、思っていると…


「へぇ…ウチたちにケンカ売ってくるんだね、後輩?そのケンカ、ウチは買うけど?」


「私たちの顔をじっくり観察してから敵扱いしてくるんだね。まぁ、私は入学式の放課後から後輩ちゃんのことは敵だと思ってたけど」


「な、なにが起こってるかはわからないけど、わ、私もあなたのことは敵だと決めました!」


「なんでみんなノリノリなの!?」


 どうやら俺だけ話についていけてないらしい。


「センパイのことだからボッチ飯してると思ったのに……」


「おい、誰のことを常日頃からボッチ飯してる奴って思ったんだ?」


 今まで毎日ボッチ飯してたことは黙っておく。


 しかし、俺の質問を無視して…


「ねぇ、センパイ。これはどういう状況ですか?センパイにはウチがいるんですよ?他の女なんかいらないと思うのですが?」


 目のハイライトを消して俺に聞いてくる山野。


「あ、あの……」


(え!なんか怖いんだけど!)


 と、思いながら返答に困っていると…


「残念だったね!後輩ちゃん!君の出る幕はないので、はやく一年の教室に戻るといいよ!」


「そうだね。何しに来たかは概ね理解できたけど、ウチも呼んでないから帰った方がいいんじゃないかな?」


「(コクコク)」


「…………………………」


 みんなから歓迎されてない山野。


(火口さんまで頷いてるなぁ。まぁ、3人を敵に回した山野が悪い。俺は弁当でも食べよ)


 そう思って弁当を食べようとすると…


「ちょっとセンパイ!なに一人で弁当を食べようとしてるんですか!?」


「そうだよ!凛くんは私たちの会話に参加するの!」


「汐留君のことだから“俺、関係ないし”って思ってるでしょ!?そんなことないからね!?」


「(コクコク)」


「えぇ………」


 どうやら、俺はこの会話に参加しないといけないらしい。


(山野が3人にケンカ売るからこうなったんだぞ!)


 そう思って山野を睨むと…


「センパイがウチに熱い視線を送ってくれてる!これは『山野、俺はお前と二人きりでご飯が食べたいから頑張れよ』って応援してくれている目!」


「そんなわけないわ!」


(ダメだ!コイツにはなにも伝わらねぇ!)


 そんなことを思う凛であった。

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