第74話 先島ぁぁぁぁ!!

前回のあらすじっ!

 俺の周りの奴らに、写真や動画が出回りすぎている……以上っ!




「あのぉ、先生?なぜその動画を俺に見せるのでしょうか?」


「いや、お前にそっくりな奴だなと思って聞いてみただけだ」


「そ、それなら、これは俺ではないですね」


「ほう、なぜそう言い切れる」


「えーっと………ほら!世界には同じ顔の人間が3人いるらしいじゃないですか!」


「つまり?」


「俺ではないです!」


 そう俺が自信満々に言い切る。


(人間、自信満々に言い切られると、誤魔化すことができるはず!この作戦でいこう!)


「なるほど。確かに世界には同じ顔の人間が3人いるらしい」


「です!」


「私も、お前と判断したのは顔だけだ」


「ですです!」


「しかも、場所がこの近くのアウトレットだったから、お前だと決めつけていた」


「ですですです!」


「お前、喧嘩売ってんのか?」


「………………いえ」


 すごく睨まれました。蛇に睨まれた蛙のように動けませぬ。


「お前の言葉を信じてもいいが、残念ながら、確証は得ている」


「ど、どの部分で…?」


「先島に聞いたからな」


「先島ぁぁぁぁ!!」


(まさか内通者が身近にいたとは!俺を窮地に陥れて楽しんでやがるのか!?)


「で、お前はこれから、有名人にでもなろうとしているのか?」


「いえ!そんなことは考えもしてません!」


「じゃあ、なぜ、この動画が出回ってるんだ?」


「俺が聞きたいですよ!」


(いや、ホントに何故!?リューくんのコスプレしたことが、そんなに許せないのか!?)


「そ、そうか……ところで、今朝のニュースは見たか?」


「ん?いえ、今朝は見てないです」


「そうか……なら忘れてくれ」


「?はい、わかりました」


(なんで、今朝のニュースのことを聞いてきたんだ?何か面白いニュースでもしてたんだろうか?)


 そう思う凛であった。


 しかし、先生がこの質問をしたことには理由がある。


 理由は、今朝のニュースで、凛がコスプレした時の写真や動画が取り上げられていたからだ。そして、“この人の正体は誰だ!?”と盛り上がっていたのだが、そのことに凛が気づくのはもう少し後のこととなる。




 先生との話が一区切りついたため、もう、話は終わりだと思い、生徒指導室から出ようとすると…


「待て、汐留。まだ、要件は終わってない」


 と、俺にストップをかける。


(えっ!動画の件で終わりじゃなかったの!?こ、今度は怒られるのか!?)


 そう思い、いつでも土下座できるように待機していると…


「なぁ、昨日、コスプレ中に、ある人から芸能界に誘われなかったか?」


「あー、そういえば、そんなことありましたね」



 昨日、美羽からコスプレしてアウトレット一周とか、訳のわらない命令を下され、ふらふらと歩いていた際に、芸能プロダクション『enjoy』で働いている三神遥さんから誘われた。ちなみにドッキリだと思ってます。



「その人から名刺と合わせて連絡先を貰わなかったか?」


「あ、はい。貰いました」


「まだ、連絡してないだろ?」


「はい」


「なぜだ?」


「だって、電話すると“ドッキリでした〜。もしかしてホントに芸能界に入れると思ったんですか?ぷぷっ!騙されましたね!”みたいなこと言われると思うので」


「お前のその思考はおかしい」


 と、ツッコむ先生。


(絶対そうだと思うんだけどなぁ……あれ?先生はなんで昨日の出来事知ってるんだ?)


 と、思ったので…


「先生!なぜ俺が昨日、そのようなことがあったのを知っているんですか?俺、誰にも言ってないですけど……」


「あぁ、それは、お前を芸能界に誘った女が、私の後輩でな。そいつから、お前のコスプレ写真や動画がラインで送られてきた。その時に、昨日の出来事を聞いた」


「えっ!あの人、拡散してんのかよ!」


(何してくれてんの!?あの人!)


「それで、その写真をよく見てみると、お前にそっくりだったから、先島に確認したんだよ」


「な、なるほど。では、俺への用事ってなんですか?」


「あぁ、それはな。今すぐその人に電話しろっていう催促だ」


「えー!嫌なんで……」


「はやくしろ!」


「…………はい」


(えっ!先生なんだよね!生徒脅したらダメなんだよね!?)


 そんなことを思いながら、電話をかけようとするが…


「あ、名刺がない!すみませんね〜、電話しようと思ったんですが、番号がわからなくて……」


「それなら私が知ってる。はやくスマホだせ」


「………はい」


(詰んだー!これもう電話する流れじゃねぇか!)


 そんなことを思いながら、先生にスマホを渡す凛であった。

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