第75話 ほれ、この動画がどうなっても知らんぞ?
前回のあらすじっ!
今から芸能プロダクション『enjoy』で働いている三神遥さんに電話するとこ。以上っ!
先生にスマホを取り上げてられ……ではなく、お貸しすると、三神さんの電話番号を登録させられた。
そして…
「おい、はやくかけろ」
と、催促までしてくる。
(ホントに先生なのか!?)
そう疑問に思うが、逆らえないので、電話をかける。
ワンコールで三神さんが電話に出る。
『はい、もしもし、三神です』
『あ、もしもし、汐留です』
『…………どちら様でしょうか?』
『あ、昨日、アウトレットでリューくんのコスプレをしていた者です』
『あー!昨日コスプレしてた子ね!やっと電話してくれた!昨日一日中待ってたんですよ!?』
『うっ…なんかすみません』
『で!私に電話をかけてきたってことは、芸能界に興味があるってことかな!?』
『あ、違います。武田先生に脅され………ではなくて、武田先生から、丁寧な言葉遣いで電話するように脅され………ではなくて、武田先生よりありがたい言葉をいただき、仕方なく………ではなく、嬉々として電話させていただいた所存でございます』
『うん?何、言ってるかはわかりませんでしたが、電話をかけてくれるように、武田先輩が促してくれたのはわかりました』
『……はい、そんな感じです……』
(この先生!俺が話してると、所々で威圧してくるんだけど!?)
『わかりました!では、汐留さんは芸能界に興味があるわけではないんですね』
『はい、そういうことになります』
『うーん……あ!それなら一度お会いしましょう!』
『ん!?何故そんな話になるんですか!?』
『それは……そう!私が急に汐留さんに高級料理を奢りたくなったからです!』
『少し電話するだけで、高級料理を奢りたくなるようなトーク術を俺は持ってんのかよ!』
(ものすごい才能だな!電話使った詐欺で、ぼろ儲けできるぞ!?)
『そ、そうなんです!何故か奢りたくなったので、一度どこかで、お会いしましょう!』
『あー、せっかくのお誘いですが、申し訳ない気持ちが強いので、遠慮しとき……』
と、断ろうと思ったら、武田先生が…
「おい、汐留、ちょっと私と代われ」
と、言ってきた。正直断りたかったが、目が、“はよ貸せ”と、訴えているので、素直に従う。
「はい、どうぞ」
そう言われて俺は、武田先生に電話を貸す。
すると、武田先生は生徒指導室の角へ移動して、何やら会話をする。
しばらく待つと…
「おい、汐留。高級料理を奢ってくれるらしいぞ。こんな機会は滅多にない。食べにいくだけでも行ってみるといい」
「えっ!先生は俺が行った方がいいと、思っているのですか?」
「あぁ、そしたら私に褒美が出るからな」
「ストレートに話しすぎだ!」
(今の時間で交渉してたのかよ!)
「で、どうなんだ?行くのか?行かないのか?」
「行きませんよ!申し訳ないですし、芸能界に興味もないですから!だって陰キャですよ?どこの誰に需要があるんですか!?」
「まぁ、そんなこと言うなって。ほれ、この動画がどうなっても知らんぞ?」
「先生がしたらダメだろうが!!」
(えっ!この先生、俺に動画をチラつかせて脅してきたんだけど!?)
「あ、拡散していいって?わかったわかった。今から拡散してやるから」
「そんなこと一言も言ってねぇよ!?」
(この人、俺が“行く”って言うまでやり続けるな)
未だに笑顔で動画をチラつかせる先生。
「はぁ、わかりましたよ。ご飯食べに行くだけですよ」
「よしっ!これで私も高級料理を奢ってもらえるぞ!」
「少しは隠す努力をしろよ!」
(この人、絶対教師じゃないだろ……)
そう、本気で思う凛であった。
俺がご飯だけ食べに行くと決めたため…
『あー、すみません、三神さん。やっぱり、ご飯だけは食べに行こうと思います』
『えっ!ホントですか!何があったのですか!?』
『いや……心境の変化ってところですよ』
「私のおかげだからな」
『へぇ、あれだけ渋ってたのに、変わるものなんですね』
『まぁ、いろいろありまして……』
「私のおかげだからな」
『まぁ、何があったかは詳しく聞きませんが、ご飯の日はいつがいいでしょうか?』
『あー、そうですね……それなら……』
「私のおかげだからな」
「うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
と、先生に向けて言う。
「さっきから俺の耳元で“私のおかげだからな”って囁きすぎだ!」
「なに自意識過剰してんだ?私はお前に囁いてなどいない。スマホに囁いてたんだ」
「やかましいわ!」
(スマホを耳に当てて使ってるんだから、スマホに囁いてるとか、わからねぇよ!)
邪魔ばかり入るので、一向に電話が進まない凛であった。
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電話一本するだけなのに、1話で終わらせることのできなかった、作者です。これも全ては武田先生が悪いと思っております。作者は悪くないです。
現在、もう一つ作品ラブコメを投稿させていただいておりますが、この作品も、毎日1話は投稿を頑張りたいと思っております!
涼風さんが転校してきてから、今日で6日目という事実に驚いておりますが、今後も応援のほどよろしくお願い致します!
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