第71話 周りも誰か指摘してあげろよ!

前回のあらすじっ!

 俺が点を取れたのは実力ではなく、たまたまらしい……。以上っ!




 俺のクラスは順調に勝ち上がった。女子の方は準決勝で負けたが、男子の方はちょうど今、準決勝が終わり、これから決勝戦。


 全然知らなかったんだが、どうやら俺のクラスの男子は運動能力が高い奴らが多いらしく、ここまでは危なげなく勝ち上がった。


 準決勝が終わり、少し休憩を取ろうとすると、校内アナウンスが流れてきた。


『えー、準決勝お疲れ様でした。残り時間が少なくなっておりますので、休憩時間を3分と減らし、3分後に試合を開始します。なお、出場選手は3分前行動を心がけ、3分前にはグラウンドに集まってください』


「休憩できねぇじゃねえか!!!!」


 まさかの休憩時間なしで、すぐにグラウンドに行け!との校内アナウンスをされる。


(えっ!普通休憩って出場選手のためにあるんだよね!?休憩時間が3分なのに、なんで出場選手は3分前にグラウンドへ行かないといけないんだよ!)


 と、思いながら水分補給のみ行い、グラウンドへ向かう凛であった。




 決勝の相手は3年生で、聞く話によるとサッカー部のエースでキャプテンがいるらしい。


(ヤベェ、陰キャ極めすぎてて、誰がキャプテンかがわからねぇ!)


 そんなことを思いながら試合が始まる。


 理央たちの応援があるため、少し本気を出す。


 試合内容は一進一退の攻防で未だ0-0。


 俺はいつでもパスを受けれるように動いていると…


(お、ようやく俺にパスが……)


 そう思ったが、途中で相手にカットされ、ボールがタッチラインを超えて外へと出る。試合を再開するためにボールを追うと、美羽が拾ってくれた。


「何やってるの凛。はやく点を取る」


「それが思ってた以上に強くて、1点を取れるかも怪しいんだよ」


「なら、はやくハットトリック決めないと」


「いや、俺の話聞いてた!?」


(一点取れるか怪しいって言ってるの!3点取るなんて無理そうなの!)


 しかし、俺のツッコミに対して首を傾げる美羽。


「ん?何言ってるの、凛。ハットトリックっていう技を決めないと」


「いや、だから!………ん?ハットトリックっていう技?」


(もしかしてだけど、美羽はハットトリックって何か知らないのか?)


 そう思ったため…


「なぁ、美羽。ハットトリックって何か知ってるか?」


「もちろん知ってる。一気に3点ゲットできる技のことをハットトリックって言う」


「やっぱり知らねぇじゃねぇか!」


(逆なんだが!一人で3点取ったことをハットトリックっていうんだけど!!)


「ん、そんなことない。私はそう教えてもらった」


(誰だよ!そんなこと言ったのは!!)


 そう思ったが、どんな技のことを言うのか気になったため…


「ちなみに、どんな技を決めると3点入るって教えてもらった?」


「ん、“ズコー!”ってすれば3点入るらしい」


「“忍○はっとりくん”のネタじゃねぇか!」


(“はっと○くん”って部分が似てるだけだろ!!

……いや、似てなくね!?)


「やっぱり違ってたんだ。私、今日サッカーを選択してて、ひたすら“ズコー!”ってしてたんだけど、一回も3点入らなかったから」


「ただのアホじゃねぇか!」


(コイツ、ひたすらグラウンドで“ズコー”ってしてたんかよ!周りも誰か指摘してあげろよ!)


 そんなアホな会話をしていたら審判に注意されました。


 ……全て美羽が悪いです。




 慌ててグラウンドへと戻る。


 その後も一進一退の攻防が続き、残り時間が少なくなった頃…


「おっ!ようやく俺にボールが回ってきたか!よっしゃ!行くぜ!」


 そう気合いを入れてからドリブルをする。


 すると…


「ここから先は行かせないよ」


 と、敵のイケメンが俺の前に立ち塞がる。

この対決に周りは…


「おー!いけー!キャプテン!」


「サッカー部キャプテンと陰キャの戦いだぜ。アイツ最近調子に乗ってるから、ここで恥をかいてもらいたいな」


 等々、盛り上がっていた。


 対する凛は…


(誰やコイツ!めっちゃイケメンやん!

……絶対に潰す!)


 そんなことを思っていた。


 まず最初に凛が仕掛ける。フェイントを交えながら突破を図るものの、なかなか崩せない。


(くっ!このイケメンなかなかやるな!!)


 なかなかフェイントで崩せないため、強行突破へと変更する。


 俺の強行突破に対して、イケメンくんは俺の肩にぶつかってくる。お互いのフィジカル勝負となるが…


(俺は父さんから鍛えされられたからな!こんなイケメンには負けん!)


 と、心の中で吠えながら相手を振り払う。


 そのままゴールへと向かい…


「おらっ!」


 と、気合の入ったシュートをゴール左上の角に決める。ゴールネットが揺れ、審判が笛を吹く。


「よっしゃ!」


 と、声を上げて喜ぶと、理央たちが自分が決めたかのように喜んでいるのが見えた。


(やっぱり応援されると嬉しいものだな)


 そう思う凛であった。

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