第70話 うん?なに言っているかはわからないけど…頑張れ?

前回のあらすじっ!

 俺が演じるリュー様がなぜか拡散されてました。泣きたいです。以上っ!




 今日は全クラス対抗のスポーツ大会で、全校生徒が参加する対抗戦となっており、俺はサッカーに出場することとなっている。


 いつも通り舞と一緒に学校へ登校し、教室へ入る。


 すると…


「凛くん!これはどーゆーことなの!?」

と、ケータイを見せながら理央が詰め寄ってくる。


「どんだけ拡散されてんだよ!」


 ケータイの画面は、リューくんのコスプレをしている俺の写真。


「誤魔化しても無駄だからね!」


「えーっと……」


 どう説明しようか悩んでいると……


「ねぇ!汐留くん!この動画って汐留くんだよね!?」


 と、今度は先島さんが俺に詰め寄ってくる。


 二人から詰め寄られて、俺は観念し…


「えーっと……はい、俺です」


「やっぱり凛くんだった!そう思ったんだよ!!」


「あー、やっぱり汐留くんだったかぁ。これからますます目を見せない方がいいね」


(どうやら、俺は顔バレしないように過ごさないといけないらしい。………誰が犯罪者だよ!)


「リューくんファンから殺されたくないので、全力で身バレしないようにします」


「うん?なに言っているかはわからないけど…頑張れ?」


 先島さんから疑問形で応援された。


「で!なんでコスプレしてこんなことしてるの!?」


 と、理央が俺に詰め寄ってくる。


「いやぁ、それが俺にもわからないんだよ!ははっ!」


「笑い事じゃないんだけど?」


「はい、おっしゃる通りです」


 なぜか理央の方が俺より危機感を感じてらっしゃる。


(いや、ホント、どうしてコスプレすることとなり、動画まで出回ることになったんでしょう)


 とりあえず、なぜかがわからないので、実際にあったことを全て話す。


 すると…


「くっ!まさかそんな作戦があったとは!やられたっ!あの女狐!」


 と、理央が悔しがり…


「その店長さん面白い方だね!」


 と、先島さんが笑っている。


(いや、わかったんなら教えてくれよ)


 そう思う凛であった。




 そんな会話をしていると、担任の武田先生が教室へ入る。


「えー、今日は全クラス対抗のスポーツ大会だ。くれぐれも怪我をすることのないように。あと、私のクラスは優勝しか有り得ないからな?もし、優勝以外なら……全員校庭10周だからな」


 と、生徒を脅して、教室を出ていく。


(え、あの人、ナチュラルに生徒脅してるんだけど!?)


 そう思う凛だった。




 武田先生ならホントに校庭10周させられそうなので、本気で挑むと決めたクラスメイトたち。


 俺は邪魔をしないように隅っこの方で突っ立っていると…


「こらー!凛くん!突っ立ってないで動けー!」


「し、汐留くん………が、頑張って!」


「凛、私にカッコイイところを見せて」


「センパーイ!ウチからご褒美があるので、頑張ってください!」


「汐留くーん!頑張らないと写真と動画の正体バラすよー!?」


 と、理央たちが応援してくれる。


(応援されると嬉しいものだなぁ。……一人は脅してるが……よし!頑張るか!)


 そう思い、動き出すが…


(ボールがこねぇ!)


 そう!陰キャを極めているため、ボールをくれる友達がいない。なんなら運動能力低そうなので、より一層ボールが来ない。


 なので、相手からボールを取ることにした。


 相手のドリブルに対して重心を低くしてボールを奪う。


 そのまま相手ゴールへとドリブルすると、一人のディフェンダーに捕まる。


(くっ!さっきボールを取った奴は素人だったから簡単に奪えたが、コイツは経験者か…)


 自分のフェイントに対しても引っかからず、なかなか抜くことができない。そのため、先程よりも素早いフェイントをすると、隙を見せてそのまま股の間にボールを通して抜く。


「おー!うめぇ!」


「あの人ってサッカー部のレギュラーだぜ!?」


「いやいや、きっと手を抜いたんだよ!」


 そんな言葉が周りから発せられる。


(これでレギュラーってことはないでしょ。きっと手を抜いたんだろう)


 そんなことを思いながらドリブルする凛だが、抜かれた奴は…


「くそっ!アイツ涼風さんや先島さん達と仲良く話しているから、潰してやろうと思ったのに!」


 と、本気でボールを取りに行き、取れずに悔しがっていることを凛は気づかなかった。




 そのまま凛が相手ゴールまでドリブルをして


「オラっ!」


と、シュートする。ボールはキーパーが触れることなく、ゴール右上の隅へと吸い込まれていき、点を取る。


「よしっ!」


 と、俺は声を出して、応援してくれた理央たちの方を向く。


「おー!凛くんナイスシュート!」


「か、カッコ……よかったです……汐留さん」


「凛、よくやった。ナイスまぐれ」


「センパーイ!ヒュッとディフェンダーを抜くところよかったですよー!たまたまだと思いますが!」


「汐留くん!上手じゃん!いや、運が良かっただけかな?」


「一言余計な奴らがいるんだが!?」


(褒めるならしっかりと褒めてくれよ!)


 そう思う凛であった。

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