第68話 おいぃぃぃぃ!拡散されとるじゃねぇか!

前回のあらすじっ!

 もう……俺の心が……ダメかもしれない。以上……。




 俺が心の中で泣いていると…


「さ、さすがです……。ま、まさか、私にここまでダメージを与えるとは……」


 と、店長が鼻血を出しながら言ってくる。


(もう、この店長はダメだ!)


 そう思う凛であった。




 店長が回復されたので…


「俺、もう着替えてもいいですよね!?」


「あ、ご馳走様でした!」


「その返答おかしくないかな!?」


(普通は「はい」か「いいえ」的なものが返答されるはずだよね!?)


 そう思って再度聞こうと思ったが未だに美羽が、会話に参加してないことを不思議に思い、美羽を探すと…


「り、凛……カッコよすぎ。ヤバい……凛に囁かれるの………あり。顎クイって……良き。幸せすぎる……」


 何やら顔を真っ赤してぶつぶつと言っている。早期復活は難しそうだ。


 美羽を放置して再度、店長に…


「もう着替えてもいいですか?」


「あ、はい!ご馳走様でした!」


「なんでもう一回言われるんだよ!」


(ループした?俺が過去に戻ったのか!?それとも店長がバカなのか!?)


 俺がループするのはあり得ないので、店長がバカだったということで、解決する。


(美羽も復活しないし、店長も使い物にならないから、勝手に着替えるか)


 そう思って試着室へ向おうとすると、知らない女性二人から声をかけられる。


「あ、あの!と、とても良かったです!」


「わ、私にも是非!」


「あ!それはずるいぞ!私にも!お願いします!」


 と、何やら声をかけられてしまった。なぜ、声をかけられたのかは一切わからず、何を言っているのかもわからなかったので、とりあえず笑顔で手を振る。


 すると…


「あ、ありがとうございます!」


「も、もう、死んでもいい……悔いは……ない……」


(なんか一人変なこと言ってるけど、放置でいいかな?)


 そんなことを思いながら試着室へと向かった。




 試着室で着替えようとしたら、周りにいた女性客たちが出待ちしていたので、店長の機転により店の裏で着替えさせてもらった。


(よほど、コスプレしていた男性に文句を言いたいんだろう。それだけ衣装は素晴らしいものだったからなぁ。この機転は店長に感謝だな。………ん?待てよ?こうなった原因って、店長だよな?)


 そんなことを考えながら着替え終わり、美羽のもとへ向かう。どうやら、俺が着替えている間に復活したようで…


「り、凛……帰ろ……」


「あ、あぁ」


 お互いに、先程した演技には触れず、気まずい空気の中、二人で帰宅した。




 美羽を家に送り、俺は自宅の玄関を開ける。


「ただい…………ま?」


「おかえり、お兄。今の今までどこで、何をしてたの?」


 あれ?おかしいな……家に帰ったらすごく不機嫌そうな舞が待ち構えていたんだけど?


(とりあえず、原因がわからないので、俺がやるべき行動はただ一つ!)


「申し訳ございませんでした」


 と、ひたすら謝る選択を取る。


(これで、許してもらえるだろう)


「へぇ、謝ってくれるんだ………………なんで?」


「………………………」


「死ねば?」


「………………はい」


(おいぃぃぃぃ!このやり取り何回目だよ!なんで、とりあえず謝るっていう選択肢を取ったんだよ!全力で謝るっていう方法があっただろうが!)


※11話にて、ジャンピング土下座を決めようと模索するも失敗しております。




 あれから、玄関にて正座をさせられ…


「ねぇ、お兄」


「は、はい!なんでしょうか!?」


「これは………なに?」


 そう言って見せられたのは、美羽からも見せられた、俺がコスプレしている時に、知らない女性と撮った写真。それも大量に見せられる。


「えーっと…………それはどこの誰でしょうか?」


 俺は身に覚えがない!と言い張ることにした。


「へぇ、私の目にはお兄にしか見えないんだけど」


「えーっと………そう!自分にそっくりな人は世界に3人いるって言われてるから…………その人だと思うよ?」


「ふーん…そうなんだ」


「そうそう!」


(ふぅ、なんとかなりそうだぜ)


「じゃあ、これは?」


 そう言って見せられたのは、俺と美羽がコスプレして演技をしている動画。


「おいぃぃぃぃ!拡散されとるじゃねぇか!」


(なんで!なんで、演技もSNSに流出されてるの!?そんなに俺のヒドイ演技を、全国のリューくんファンに見せたかったの!?………ネット怖い……)


 そんなことを思う凛であった。

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