第59話 脂肪が多い人はダイエットでもするといい

前回のあらすじっ!

 明日はクラス対抗のスポーツ大会だって。面倒だなぁ。以上っ!




 結局、俺の競技はサッカーとなった。女子の方も理央や先島さん、火口さんがサッカーとなった。


 競技が決まりHRが終わったため、帰ろうとすると…


「凛くん!今日は一緒に帰ろ!」


 と、理央が元気に俺の席へやってきた。それと同時に美羽が俺の教室へ入ってきて…


「凛、今日は一緒に帰ろ?」


 と、俺に近づきながら言ってきた。


(うわぁ…ものの見事に言葉が被ったなぁ。……あれ?俺はどうすればいいんだ?)


 そんなことを思っていると…


「今日は私が凛と帰る。脂肪が多い人はダイエットでもするといい」


「今日こそは私が凛くんと帰るの!小さい人は牛乳でも買いに行くといいよ!」


 さっそく口喧嘩を始める二人。相変わらず、顔を合わせると小学生のような喧嘩しかしない。


(俺、今日もあまりお金ないから、一緒に帰って“奢れ!”って言われてもご要望にはお答えできないぞ!)


 そんなことを思いながら、二人の会話を聞く。


 しかし、一向に口喧嘩が終わらないので…


「お、おい!きょ、今日はみんなで帰……」


「凛は黙って」


「凛くんは黙ってて」


「………はい」


(なんか最近こんなのばっかりなんだが!)


そんなことを思いながら二人の会話(口喧嘩)を聞く凛であった。




「こうなったら、凛くんにどっちと一緒に帰りたいか聞くことにしよう!」


 理央が美羽に提案する


「ん、それがいい」


 そう言って理央と美羽が同時に俺の方を向く。


「凛くんは私と一緒に帰るんだよね!?」


「凛は私と帰る。これは決定事項」


 理央と美羽が俺に詰め寄ってくる。


「あー、きょ、今日は美羽と帰ろうかな?り、理央には申し訳ないけど、な、なんで学校で美羽が話しかけてきたのか、聞きたいから…」


 俺がそう言うと…


「ん!凛ならそう言うと思った。凛は胸で選ばない男の子だと信じてた」


 美羽が嬉しそうに言う。


 反対に理央は…


「なんですか、やっぱり幼馴染がいいんですか、そうですか、私は胸が大きいだけの女ですもんね」


 いきなり拗ねだした。


「あ、あのぉ…。ご、ごめんね理央。美羽に聞きたいこととかあるからさ?誘ってくれたのは嬉しかったよ!だ、だから、こ、今度!必ず埋め合わせするよ!」


 そう俺が言うと……


「ホント!じゃあ今度の土曜日か日曜日にデートしましょ!」


 一瞬で元気になる。いや、復活はやっ!


「え!一昨日の土曜日に遊び行った……」


「凛くん!土曜日か日曜日は暇な日あるかな!?」


 って聞いてねぇし!


「遊びには一昨日行っ………」


「凛くん!今度の土曜日か日曜日は暇な日あるかな!?」


(いや聞けよ!ってか!この展開、山野の時にもあったな!)


 あの時は理央の勢いに押されて、土曜日に遊びに行ったが、今回は俺の引きこもり生活のために理央には申し訳ないけど、俺は鬼になる。


「お、俺、家でゆっくりした……」


「そーいえば、土曜日の駄菓子屋で私、招き猫当てて、凛くんは罰ゲームを受けることになったよね?」


「………………………」


 土曜日に駄菓子屋で、駄菓子の“スクラッチお宝くじ”をお互いに10個ずつ買い、当たった合計金額が少ない方が、罰ゲームを受ける賭けをした。そして、俺は負けたんだが…


(今週くらい、ゆっくりしたい!)


 そのため、出来るだけ逆らう方針にする。


「そ、それは時効になった………」


「へぇ、凛くんは私との約束を簡単に破るんだ。私、凛くんって約束を守ることのできる男の子だと思ってだんだけどなぁ」


 と、泣きそうな顔で言ってくる。


「こ、今週の土曜日は空いてる……から、土曜日なら遊びに行けるよ………」


「ホント!よかったぁ。私は凛くんが、約束を破るヒドイ男の子ではなくて、しっかりと約束を守ることのできる男の子だって信じてたよ!」


 理央がニコニコしながら言う。


(くそぅ、完全に理央のペースに乗せられて、約束してしまった)


「じゃ!また後日詳しく決めようね!」


 そう言って笑顔で教室を出ていく。


(何はともあれ、無事に帰れそうだ。俺の土曜日を犠牲にして……)


 そう思っていると…


「くっ!やられた!あのデカいだけの胸に凛の貴重な休日を一日取られた。しかも、私をうまく利用して。一生の不覚。……今度の休みは私が誘う予定だったのに…」


(み、美羽よ。俺の休日が確保できなかったことに、そこまで悔しがってくれるなんて!最後の方は聞こえなかったが、俺はその気持ちがとても嬉しいぞ!)


 そんなことを思う凛であった。

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