第58話 俺の顔面(恐怖付与)は相変わらず、ご活躍のようです。

前回のあらすじっ!

 美羽と理央が思考停止しました。どうやら俺の顔面(恐怖付与)は相変わらず、ご活躍のようです。以上っ!




 俺がイケメンなセリフを言って二人とも動かなくなったため、先島さんに詰め寄る。


「おいぃぃぃぃ!俺、あの二人から“腎臓よこせ!”とか言われないよな?さすがに二つしかない腎臓を一人一個渡すと俺、死ぬと思うよ!?」


(腎臓無くなっちゃうし!)


 身の危険を感じている俺に対して…


「うーん…………大丈夫なんじゃない?」


「なんでそんなに楽観的なんだよ!」


(もういい!“腎臓よこせ”って言われたら、一つは先島さんの体から取ってもらおう。俺、死んじゃうし!)


 女の子の体から腎臓取るってのはマズイ案件だが、死んでキョンシーにはなりたくないので、そんな考えをする。


 そんなことを考えているのと、先島さんと話していたため…


「や、ヤバい!嬉しすぎてニヤニヤが止まらない!」


 と、理央が言ったことや…


「普段、撫でてもらういいけど、突然撫でられて、囁かれるのも………あり」


 と、美羽が言ってたこと…


「いいなぁ、あの二人……。私も参加すれば、撫でられて囁いてもらえたのかなぁ」


 と、火口さんが呟いてたことは、凛の耳には入らなかった。




 若干二人とも顔が赤いが、俺の言うことを聞いてくれる様子なので、一安心しつつ、はやくご飯を食べるように促す。時間も無くなってしまったため、なぜか、教室で三人、机を合わせて一緒に食べることとなった。


「凛、今日も舞の弁当美味しそう。玉子焼きちょうだい」


「はいはい」


 そう言って美羽に上げようとするが…


「あー」


 と、言って何故か口を開けている。


「えっ!もしかして“食べさせろ?”ってこと?」


「ん!!」


 どうやら食べさせて欲しいらしい。


(ま、まぁ、美羽なら時々家で“あーん”してるから、緊張することはないはず!)


 そう思って箸を美羽の口もとへ持っていくと…


「痛っ!」


 誰かに足を蹴られた。


(誰だよ!足を蹴ったの!)


 そう思って、二人の顔を見ると、知らん顔して一人で食べている理央と、口を開けて待機している美羽がいた。


 机の下での出来事なので、見えるはずもなく、睨みつけてもわからないので…


「あ、あーん」


 少し顔を赤くしながら美羽へ“あーん”をする。


(くっ!やっぱり恥ずかしい!なんで世の中のカップルはこんなことが平気でできるの!?)


 しかし、美羽は平気そうな顔で


「ん、美味しい。やっぱり舞は料理上手」


 とか、言っている。


(くそぅ、俺の気持ちも知らないで、平然としやがって!)


 と、思いながら美羽を見ていると…


「痛っ!」


 またもや足を蹴られた。


(誰だ!)


 と、確認しても、知らん顔して一人で食べている理央と、美味しそうに玉子焼きを食べている美羽がいた。


(なんで蹴られるのかは知らないが、ゆっくり食べるか)


 そう思って、今度こそ食べようとすると…


「あ!凛くん、玉子焼きが一つ少なくなってしまったね!だから私のを一つあげるよ!」


 そう言って、俺の口もとへと玉子焼きを差し出してくる理央。


「え!弁当箱の中に入れて………」


 “入れてくれれば”と、伝えようとしたが…


「はい!凛くん!“あーん”」


 そう言って口から箸を動かさないので、諦めて…


「あ、あーん」


 と、理央の玉子焼きを食べると…


「痛っ!」


 なぜか足を蹴られる。


「さっきから痛いわ!誰だよ!蹴ってるの!」


 そう聞くが、ニコニコする理央と、一人黙々と弁当を食べる美羽がいた。


「あ、もういいです」


 俺は推理するのを諦めて、弁当を食べることにした。


(なんなんだよ!全く!)


 そう思いながら食べる凛であった。




 今日一日最後の授業が終わり、現在はHRが行われている。


「えー、明日はクラス対抗のスポーツ大会だ。競技は男子、女子ともにサッカーとバレーとなっている。どっちか好きな方でいいから適当に決めとけ。じゃあ、あとは頼んだぞ、委員長」


「任せてください!」


 そう言って武田先生は教室の角にある椅子に腰掛ける。


 このクラスの委員長は先島さん。特に立候補する人もいなかったので、なぜか知らないけど、先島さんになった。みんなも異論を唱えている人はいないところを見ると、クラスではかなりの人望があるようだ。


「じゃあ!好きな競技に名前を書いてください!」


 そう言って、黒板に“サッカー”、“バレー”と書かれているところへ、クラスメイトたちは各々、好きな競技のところに名前を書いている。


(俺は人数合わせでいいな)


 そう思って椅子に座っていると…


「し、汐留さんはどの競技にするの?」


 と、火口さんが声をかけてきた。


「俺はどっちも得意なわけじゃないから、数合わせでいいかなと思って、ここで待機してる」


「そ、そうなんだ。わ、私はスポーツが得意ではないから……その、あまり目立たないのがいいかなーって」


 と、自信なさそうに言う。


「そ、そんなことないんじゃないか?火口さんも一緒に頑張ろ!?俺、応援するからさ!」


 そう言うと少し元気が出てきたのか…


「う、うん!し、汐留さんが応援してくれるなら……わ、私、頑張るよ!」


「おう!応援は任せろ!」


 そう言って火口さんと会話しながら、自分の競技が決まるのを待つ凛であった。

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