第57話 笑っている顔の方が俺は好きだぞ?

前回のあらすじっ!

 これ、どーやって止めよ?……以上っ!




「凛くん!私の方が魅力的な女の子だよね?」


「凛、私の方が魅力的な女の子?」


(あれ!?知らない間に質問が“魅力的な女の子?”になってるんだが!?)


 “魅力的な女の子は?”と聞かれたら、二人とも魅力的な女の子だから、選ぶことはできない。


 なので!


「ふ、二人とも魅力的だから、選べな………」


「「どっち!!」


(怖いよ、この二人。もうヤダ……)


 俺では無理だと思ったので、先島さんに“助けて!”と目配せをする。


 すると…


「はぁ…」


 と、あからさまな、ため息をされる。


(うん、俺も巻き込んで申し訳ないとは思ってるんだよ!?でもね!多分、俺じゃあこの状況を打破できない!)


 先島さんは二人に近づき…


「二人とも落ち着いて?質問の内容変わってるから」


 と、促すが…


「私は冷静。あの、胸が五月蝿いだけ」


「なっ!だ、誰が“胸”ですか、ちびっ子!」


「誰の背が小さいって?」


(全然収まんねー!しかも、小学生のような口喧嘩を始めだしたし!)


 そんなことを考える凛であった。





 また、二人の口喧嘩が始まったので、俺はガン無視して先島さんに相談する。


「おい!これどーするんだよ!俺たち、ご飯食べてないんだけど!」


「うん………どーしょうか………」


(先島さんも諦めかけてるな)


 そう思って俺も、考えるのを放置した時…


「あー!この手があるよ!汐留君!」


 どうやら、先島さんが名案を思いついたようだ。


「ホントか!俺が必要なら手を貸すぞ!」


 そう言うと、先島さんは俺の目をしっかりと見て…


「これは汐留君の演技力にかかってるんだよ!」


「また、このパターンかよ!」


 いつぞやの“顎クイ”事件を思い出す。


(どうやら、また、俺の顔面(恐怖付与)が必要らしい)


「いい、汐留君。ゆきっちが言うには、今、“キュン死”させることが流行しているらしい」


「ふむふむ………………キョンシー?」


「“キュン死”!!今さっきの“ふむふむ”は一体何だったんだよ!」


「いや、考えたらわかるかな?と思ったけど、分からなかったから聞き間違えたのかと…」


「キョンシーが流行している世界とか住みたくないわ!」


 ごもっともである。


(“キュン死”かぁ。初めて聞くな。

………ん?俺に殺人をさせたいのかな?)


「で、何をすればいいんだ?」


「それはね!どうやら“頭を撫でられる”っていう行動は、かなりの確率で“キュン死”するらしい!」


「もはや必殺技だな」


 必ず殺す技!と書いて必殺技。


(え!頭を撫でる行為って必殺技だったんだ!これからは美羽や舞に軽々しくできねぇぞ。……まぁ、そのように美羽や舞へ説明しても、頭を撫でる運命は変わりそうにないがな)


※主人公は幾度となく回避するよう試みましたが、全て失敗しております。


「あ!ちなみに、二人の頭を撫でながら“仔猫ちゃんたち?怒った顔も可愛いけど、笑っている顔の方が俺は好きだぞ?”って言ってもらいます!」


「言えるかぁぁぁぁぁ!!」


 そんなこと言える奴いるのかよ!言える奴いるなら見てみたいわ!


「ほら!そんなこと言ってていいの?また、君の性癖暴露大会が始まるよ?」


 そんなことを言われるとやるしかない。


(ホントにこんなことで、喧嘩収まるんかよ?まぁ、陰キャに、いきなり頭撫でられて、イケメンのセリフを言われたら、誰だって思考停止するか)


 “どうなっても知らない”っというスタイルで二人のもとへ近づく。先島さんから「キメ顔でねー!」と後ろから言われる。


(俺のキメ顔に需要があるのかは知らないが、先島さんに“やれ!”と言われたのでやるかぁ)


「あ!凛くん!この小さい女………」


「聞いて、凛。この胸がデカい女………」


 と、二人が俺の方を向いて何やら言っているが無視して、二人の頭の上に俺の手を置き、キメ顔で……


「仔猫ちゃんたち?怒った顔も可愛いけど、笑っている顔の方が俺は好きだぞ?」


 と、言う。


 すると…


「「〜〜〜〜〜〜〜〜」」


 二人とも顔を赤くして黙り込む。そして、俺から目を逸らす。


(はい。やはりイケメンでない陰キャが、するべきではないことのようでした)


 そう思いながら、二人にどう謝ろうか考える凛であった。

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