第27話 ふぇっ!え、誰!この人!もしかして私の王子様!?
前回のあらすじっ!
俺が先島さんに“顎クイ”したら涼風さんが怒りました。ちなみに、前回の話の中で、俺達3人の目の前にいるはずの火口さんは一言も喋ってないことになってます。以上っ!
注意:火口さんは一言も喋ってないわけではありません。うるさいのでみんなからいないものとして扱われているだけです。そろそろ声が枯れるのではと密かに心配しております。
「ちょっと!ジャンケンに勝ったのは私なんだけど!何で負けた先島さんに“顎クイ”してるの!?」
ものすごく怒った表情で詰め寄ってくる。
「え、いや、俺の“顎クイ”とか罰ゲームだろ?だから負けた先島さんにするのかと……。ほら!ジャンケンに負けた先島さん、“絶望”みたいな顔してたし!」
と、早口で説明する俺。
「くそぅ、先島さんに汐留くんの初めてを取られるとは……」
「いや、何の話!?“顎クイ”の話だよね!?」
と、言うが、聞いておらず……
「ねぇ!汐留くん!」
「は、はい!」
“ビシッ”と直立してしまう。
「私にも“顎クイ”をしなさい!」
ものすごい命令口調で言われる。
「え!い、いや、も、もうどんなのかわかったし、俺の“顎クイ”効果も確かめれたからいいんじゃないかと……」
「そ、それじゃあ私が除け者になっちゃうよ!」
どうやら一人だけされないことに不満があるらしい。この後は火口さんにもするからなぁ。
「あー、いや、涼風さんにはしなくてもいいんじゃないかな?」
「どうしてなのよ!」
徐々に口調が強くなっていく。返答を間違えるとマズイ気がしてきたぞ。
「い、いやぁ、さ、先島さんみたいに再起不能になっちゃうからかな?」
未だにぼけーっとしている先島さん。顔もまだ赤いところから、よほど俺の“顎クイ”が怖かったのだろう。嬉しくないがな!
「そ、それはぁ………そう!私も先島さんのように再起不能状態に一回でもいいからなってみたかったの!」
「変わった願望だな!」
(いや、逆になかなかあんな状態になることないから、ある意味経験してみたいとかなのかな?)
そんなことを考えてると、涼風さんの方から俺に近づいてきて……
「は、はやくしなさいよ!私だけしないとかなしだからねっ!」
なんかツンデレキャラみたいなことを言い出す涼風さん。涼風さんのツンデレによって俺の思考回路はショートする。
(涼風さんがしろって言ったからな!どうなっても知らないからな!後で「怖かったからジュース奢ってね?」とか、なしだからな!)
そう言われたので…
「よし!」
と、気合を入れてから、涼風さんの顎を指先で上に上げて、しっかりと涼風さんの目を見て……
「全く、困った子猫ちゃんだな」
“顎クイ”してそう呟くと……
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
耳まで真っ赤にしながら声にならない声を上げる。
(ほら、先島さんと同じ状況になった。これでまた、俺の“顎クイ”には恐怖で人を再起不能にする効果があることが証明さてれしまった。………いや、ホント嬉しくないんだけど……)
時計を見たら後7分くらいで入学式が始まる。そのため急いで火口さんの解放を図る。
未だに火口さんは一人で“私がお姫様になった時は〜”とか言ってる。なんか少し放置していた間に、火口さんがお姫様になる話へと変わっていた。
(これは、はやく戻してやるか……)
そう思い、火口さんのもとへ行く。
俺が火口さんのもとへと歩いていることに気づいたが…
「ふぇっ!え、誰!この人!もしかして私の王子様!?」
なぜか、俺のことを王子様と思ったらしい。
(これは今、火口さんはお姫様になりきってるんだろうなぁ。ごめんな、王子様が姫を助ける話にできなくて。今から俺は姫を恐怖のどん底に陥れるからな)
そう思いながら火口さんとの距離を詰める。そして、俺の指先で火口さんの顎を上に上げて……
「全く、困った子猫ちゃんだな」
そう呟くと……
「…………………………」
時が止まったかのように動きを止める。そして“ボッ”と湯気出るくらいに一瞬で顔を真っ赤にした。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
と、二人同様声にならない声をあげながら……
(え、確かに火口さんは静かになったが……これどうするの?)
と、全く動かなくなった先島さんや涼風さん、火口さんを見ながら、そう思いながら、昼休憩終了、授業開始5分前のチャイムを聞く凛であった。
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