第28話 なんか今、新手のオレオレ詐欺に引っかかってしまって…

前回のあらすじっ!

 先島さん、涼風さん、火口さんの3人を再起不能にしました。再起不能にするまでは良かったのだが(火口さんだけなら)、復活する方法がわからくて困ってます。


 ちなみに授業(入学式)開始5分前です。ピンチです!以上っ!




(おいおい、どーするんだよ!これ!?)


 とりあえず1番最初に再起不能になった先島さんに声をかける。


「おーい、生きてるかー?」


 返事がない。ただの屍のようだ……。


(いや、屍ってまずくね!?もう時間ないんだけど!)


 次に再起不能になった涼風さんに声をかける。


「おーい、生きてるかー?」


 すると、


「ふぇっ、あー!汐留くん!ねぇねぇ!もう一回!もう一回やって!」


 どうやら恐怖のあまりアンコールをもらってしまった。


(お化け屋敷も怖いってわかってても入りたくなるからなぁ。あんな感じに陥ってしまったんだろう)


 と、分析をする。ハッカーになった気分だ。


(ってそんなこと考えてる場合じゃねぇよ!)


 涼風さんもダメだ!っと思い、火口さんへ向かう。「あ、待ってよ〜」と言ってるが無視する。


「おーい、生きてるかー?」


「ふふっ、私は王子様に“顎クイ”されてしまいました。夢が叶いました。もう死んでもいいかも……」


 どうやら恐怖のあまり、俺を王子様ということにして、心を守ろうとしているらしい。


(ごめんなぁ、俺、王子様じゃなくて…。その現実逃避でメンタルを安定させているんだろう。って死んじゃダメだろ!)


 またまた、分析をする。


(ヤバい、女の子の分析に関しては天才……かも!)


 と、調子に乗ってると……


「おい、お前たち、そんなところにいたのか!」


 と、階段下から武田先生の声が聞こえてきた。


「お前ら、入学式があるから体育館にクラスみんなで行くって伝えてただろ。全然戻って来ないから探し…………ん?お前見ない顔だな?誰だ?」


 と、先生は俺に向かって言う。


「先生!俺ですよ俺!」


 そう俺が言うと……何故かケータイを取り出して……


「あ、すみません、警察ですか?なんか今、新手のオレオレ詐欺に引っかかってしまって………」


「って、ちょっと待てよ!」


 先生なのについ敬語を使い忘れる。


「ん?てっきり、その顔を存分に利用して、先島達3人に何か悪さでもしたのかと。それでも飽き足らず、私にも手を出してきたのかと……」


「そ、そんなことしてないわ!」


 もう敬語を使うのも面倒になった。いや、確かにこの目つきの悪さでこんな状況になったから、全部は否定できないな!


「ん?そうなのか?なら私に連絡先を教えろ。それで許してやろう」


「いや、なんでだよ!」


 教師が生徒の連絡先を聞こうとするなよ!そう思うと、あっ!と閃く。


「あー、もしかして先生。俺が誰かわかってませんか?」


「ん?そりゃ、見たことないんだから、当たり前だろ?お前のような顔は一度見たら忘れんからな」


 これで全てが繋がった。


(多分、髪を結んでいるから先生俺のことがわからないんだ)


 そう思ってヘアゴムを外すと……


「なっ!お前汐留だったのか!」


「あ、やっぱり気づいてなかったんですね!」


 どうやら俺の推理は当たったらしい。そして俺はまた新たな発見をする!


「くっ!まさかこんな近くに、とんでもないイケメ………」


「せ、先生!すごいです!俺は初めて!初めて誰かと見つめ合って会話することができました!先生が俺の初めてです!」


 先生がなにか言ってたがそんなことは俺の発見に比べたら些細なことだろう。


「そ、そうか。そ、そう言ってもらえるのは嬉しい限りだ」


 先生が顔を少しだけ赤らめて、目を逸らす。


(うっ、テンションが上がりすぎて、先生にまでも引かれてしまった……)


「ま、まぁ、お前の初めてが私なのは嬉しい限りだが、とりあえずは入学式がもう始まってるから、このバカ3人を体育館に運ぶぞ」


「あ、はい!」


 そう言って先生は涼風さん達3人を復活させて、俺たちは先生に怒られながら体育館へと向かった。


 ちなみに先生が「今度は私も混ぜろ」とか言っていた。それは大丈夫なのか?と思ったが、聞く時間がなかったのでやめた。


(この集まり、疲れるだけなんだけどなぁ…)


 そう思う凛であった。

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