第5話 誤差の誤差(書き直し)

私は家族間では恵まれていない。

だけど.....それでも周りの商店街などの皆さんが支えてくれるから今を生きる事が出来ている。

それは本当に嬉しい事だと思う。

今が、恵まれていると思う。


「.....」


そんな私だが八百屋さんの人達が誤解していたが。

好きな人が出来た。

それは.....とても大切な人だ。


誤解の誤解になってしまっているけど。

だけど私はその人の事が愛しい。

勘違いで全てが成り立ってしまっているけど。


鼻歌を交えながら私はお料理を作る。

愛しいあの人に.....お弁当を作る。

その仕込みをする為に、だ。

こんな感情は本当に久々だなって思う。


「.....楽しいな。本当に楽しい」


私はそんな事を呟きながら。

大量の食材を目の前にしながら私は食事を作っていく。

夕飯もそうだけど.....昼間の仕込み。

そして朝食の仕込み。


「.....うん。味もOK」


呟きながら私はルンルンしながらそのまま食材を直す。

そして笑顔で.....棚を整理していると。

写真が出てきた。

それは.....姉の光龍と私と家族の.....写真。

顔が真顔になった。


「.....くだらない.....過去」


私はそう言いながら。

そのまま写真を破り捨てた。

それからそのまま写真をゴミ箱に入れる。

こんな過去があるからこそ。

私は、と思う。


「.....今が楽しいから今を生きれば良いんだよね」


そう思いながら私は今を見据えて笑顔になりながらそのまま食材を直した。

それからそのまま夕暮れを見ながら。

笑顔を浮かべた。

明日がとても楽しみ。


〜〜〜〜〜


「.....いやしかし美味しいな.....これ」


「凄いね。私より上かも」


そんな事を呟きながら。

俺たちは大谷さんが作った飯を食う。

しかし本当に美味しい。


それは.....ゆきねを見れば分かる。

少しだけ塩分を抜いたりした大根をやったが。

喜んで食べている。

俺はその姿を見ながら顎に手を添える燈を見る。

燈は真剣に悩んでいる。


「.....私より上.....だとするなら教わりたいな」


「.....オイオイ。対抗心燃やしてどうするんだ」


「だって.....悔しい。こんなに美味しいの。.....お兄ちゃんを養えなくなる」


「オイ.....」


何言ってんだコイツは。

思いながら俺は苦笑する。

そして顔をそのまま引き攣らせた。

全くな、と思いながら、だ。


「.....養えなくなるってのはどういうこった。将来も今も過去も俺はお前に養ってもらう気はないぞ」


「.....え?そうなの?」


「何で驚いてんだよ」


「いやいや。お兄ちゃんの事だからって思ったの」


「お前な.....」


全く、とまた思いながら飯を食った。

それから大満足で腹を叩いていると燈が、もう。みっともない、と言ってくる。

俺は、良いんだよ。こうしたい気分だから、と回答する。

すると、お兄ちゃんは大谷さんと付き合う気はないの?、と聞いてくる。


「いやいや。大谷さんと付き合うって。大谷さんはその気はないって」


「.....そうなの?でもそんな気がするけどなぁ」


「ないない。全くな」


「.....ふーん。怪しい」


燈はそう言いながらジト目になる。

俺はその姿を見ながら、オイオイ、となる。

それから燈は、でもお兄ちゃん。昔と違って後悔しちゃダメだよ、と言ってきた。

俺は!と思いながら燈を見る。


「お兄ちゃん。その。初恋の相手.....」


「.....もう言うな。それ以上。初恋は初恋だしな」


「.....だね」


燈はその言葉に押し黙る。

俺はその姿を見ながらため息を吐いた。

確か名前は大谷.....光龍だったな.....名前は。

大谷さんと苗字が似ているけど。

だけど.....違う.....よな?


「.....でも何か。今思い返しても光龍さんって中国人みたいな名前だよね。もう会えないけど」


「.....そうだな.....でも可愛かったよな。アイツ」


「.....うん。だね」


凛とした姿。

もう二度と会う事は出来ない。

それは何故か。


簡単だが.....何処に居るか分からないから、だ。

当時は通信手段が無かったしな。

電話ぐらいしか、だ。


「今何処で何しているのか.....」


今の俺にはもう関係無いけど。

大谷光龍さん。

そして大谷雪音さん。


何というか関連性とかあるのかな。

でもそんな事無いか。

思いながら俺は.....スマホを弄った。


10年以上の差だ。

光龍さんは多分彼氏とか出来ているだろうしな、と。

そう思ったから、だ。

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