第3話 アピール

大谷さんの家は確か.....帰国子女ながらも1人暮らしだった様な気がする。

俺はその事を考えながら大谷さんと2人で帰っていた。

そして玄関を開ける。


大谷さんが来るのは良いけど家の中って綺麗だったっけ?

思いながら庭に行くと。

そこにはゆきねが、お帰り!、的な感じで待っていた。

俺はその姿を見ながら、ただいま。ゆきね、と言いながら頭を撫でる。


「.....可愛いわんこちゃんだね」


「ああ。そうだろ。ミニチュアピンシャーだ」


「ドイツの犬だったかな?」


「.....正確な場所は知らないがそうだった気がする」


それから大谷さんも寄って来る。

良いなぁ。愛されていて、と呟きながら、だ。

何だ?どういう意味だろうか、とふと思ったが。

詮索はしなかった。

そして、お名前はゆきねちゃんなの?、と聞いてくる大谷さん。


「ああ。そうだな。ゆきねだ」


「.....そ、そうなんだ。.....あは、あはは.....」


「.....大谷さん?」


「ちょ、ちょっと恥ずかしい.....」


「.....???」


ボッと赤面しながら俯く大谷さん。

俺は?????を浮かべながら大谷さんを見る。

すると何を思ったか撫でられていたゆきねが大谷さんのスカートの中に.....オイ!!!!!うらやまし.....じゃねぇ!!!!!


「きゃ.....」


「コラァ!!!!!ゆきねぇ!!!!!」


「は、恥ずかしいかも」


「お前は男だろうが!ゆきね!ふざけんな!」


俺はそう言いながら無理矢理ゆきねを引っぺがす。

それからそのまま庭に開放した。

大谷さんは心臓がドキドキしている様だ。

だ、大丈夫だろうか。


「大谷さん.....大丈夫?」


「え?あ.....うん。ま、まあ.....うん」


羨ましい.....。

などと思ってはいけないが。

本当に羨ましい行動をしやがってゆきねの奴め。

俺は考えながら大谷さんの手を握る。

そして立ち上がらせた。


「ごめんね。本当に」


「う、うん。だいじょう.....ぶ」


「.....お詫びはするから」


「だ、大丈夫だよ。アハハ」


大谷さんは言いながら、でもその。お礼とは言わないけどもし良かったらお手洗いを貸してくれるかな、と言ってくる。

俺は、分かった。直ぐに案内するよ、と言いながらドアを開ける。

それから大谷さんを案内した。


〜〜〜〜〜


「.....私.....どうしたら良いんだろう.....」


そう呟きながら私は心臓をドキドキさせる。

決して誤解だと思った。

でも私は.....やっぱりあんなに大きな声で告白の様な形を取られると。


どうしても赤面せざるを得なかった。

中島くん.....格好良いな、って思う。

こんな顔は見せれない。


「誤解だって分かってるのに。.....でも好きになっちゃった.....」


私は考えながら赤くなる顔を覆う。

それからさっきの事を思い出してまた赤面する。

そして首を振ってから。

そのままパチンと頬を叩く。


「.....好きになったらもう仕方が無いよね。だったら私は.....頑張るしかない」


思いながら私は頷きながらそのままトイレから出る。

それから目の前の中島くんを見る。

だけどまた赤面してしまった。

駄目だ.....慣れていたのにまた赤面しちゃう。


「.....どうしたの?大谷さん」


「.....い、いや.....何でもないよ」


「?.....でも顔が赤い.....」


「だ、大丈夫!ゴメン。.....その。少しだけ.....そ、そう!赤くなるのが私なの!」


「.....そ、そうなの?」


それから目をパチクリする中島くん。

またやっちゃった.....。

赤くなるのが私なの、って何?

馬鹿な事を言っちゃって.....。

私はまた顔を覆う。


「.....でもそういうのもあるよね。.....人には個性があるから」


「.....!」


私は真っ赤になりながらあわあわしながら中島くんを見る。

そして蒸気を上げながら真っ赤になる。

それから私は俯いてから中島くんをチラチラ見る。

中島くんは?を浮かべて私を見ていた。


「わ、私.....その。何だかお邪魔じゃないかって思ったんだけど.....」


「.....え?.....いや。そんな事無いよ。だって.....大谷さんの言ってくれた事。本当に嬉しかったから」


「そ、そうなんだ?.....よ、良かった。じゃあ.....頑張るね」


「.....頑張るって?」


ぜ、全部を頑張る.....、と私は告げる。

そして握り拳を作った。

それから中島くんを見る。

中島くんは?を浮かべて見てきた。

驚きながら、だ。

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