第2話 攻めの行進
何かがおかしい気がする。
そうだな.....何がおかしいとか.....そういうのは全く分からない。
だが.....違和感は感じるのだ。
そうだ。
例えば今とか。
「うーぬ?」
「.....どうしたんだそんなに悩んで。.....愛犬が愛しいからってため息ばかりでウルセェんだよ。授業に集中出来んだろ」
「ああ。すまん。.....それは悪かった」
「.....全くな。.....そいで。話してみろ」
「.....何でだよ」
「お前のため息の原因が分からんと授業に集中出来ん。今すぐに話せ」
高貴にそう言われる。
俺は、まあそうか、と思いながら高貴を見る。
それから、何だか知らないが最近だけど大谷さんの視線をやけに感じるんだ、と言いながら背後を見る。
そんな高貴の背後.....そこで大谷さんが赤くなりながら此方を見ては目を逸らしていた。
流石にそれは気のせいじゃねーのか?、と言ってくる高貴。
気のせい.....なのか?
「あの大谷だぞ?お前。お前とは天地の差があるぞ。お高いお方として.....その。.....誰も近付かないし告白は帰国子女だから絶対的に成功しないってされているんだ」
「.....ああ。そうなのか」
「だから地獄側のお前にきっかけが無いならあり得ん。却下」
「.....いやお前。バッサリ切り捨てんな.....しかも地獄側かよ」
俺は考えながら、でもそっか。気のせいか、と思いながら俺は高貴の言葉通り悩むのを止めた.....のだが。
放課後になって帰ろうとしたのだ。
そして.....何故か大谷さんに声を掛けられた。
「い、一緒に帰らない?」
「.....は.....?」
「.....」
高貴が顔を引き攣らせて固まる。
いやクラスメイト達が皆固まった。
俺は、え!?何故俺!?、と思いながら周りを見渡す。
しかしこの声掛けはどう考えても俺宛だ。
つまり.....俺!?
「.....な、何故に」
「そ、それは.....その.....分かっていると思う.....から」
「.....わ、分からない.....が。その。帰るんだな?じゃあ帰ろうか」
この場所を逃げ出さなくては。
思いつつ高貴に向く。
そしてカチンコチンのままの高貴に頭を下げてからそのまま大谷さんと帰宅する。
廊下を歩く間、俺達は無言だった。
そうして歩いていると。
あ。お兄、と声がしてきた。
「.....え?.....お、お兄.....彼女!!!!?」
愕然とする美少女。
中島橙(なかじまあかり)が立っていた。
生徒会書記で俺の妹であるが.....コイツまで固まってしまう。
何を誤解しているのか知らないがそんなつもりはない。
俺は溜息を吐きながら、あのな。解説するのだが大谷さんが一緒に帰りたいって言ってきたんだ、と言葉を発する。
「あ、ああ。そうなんだ。.....でもそれって付き合っているって事だよね!?」
「何の用事だよお前!?もう帰れ!?」
「お母さんとお父さんがお仕事が遅くなるからご飯食べてって話だったんだけど。その中でお兄がそんな見ず知らずの女の子と不埒な事をしているなんて.....」
「もう帰れ!!!!!」
全くコイツは!と思いながら見ていると。
あの、と声がした。
そして、燈ちゃんだったよね。.....その。私で良かったらお夕食のご飯作ってあげてもい、良いよ?とていあ.....あ、は!?
変な声が出たぞ!!!!!
「お前何言ってんの!?大谷さん!?」
「私は.....だって.....その.....」
「.....お兄。本当にこの方に何したの?」
「.....俺は何もしてない.....誤解だ.....」
誤解に誤解を生んでいる気がする。
俺は考えながら、とにかくは何故こうなったかを考えないと、と思う。
そして少しだけ考えてみる。
だが答えは.....全然分からなかった。
「大谷さん.....あの。えっと。そこまではその。必要無いよ?」
「.....わ、私は.....だって.....」
「.....???」
まるで、この気持ちを分かってほしい、と言う感じでウルウルな目で俺をそのまま見てくる大谷さん。
俺は助けてくれと言わんばかりに燈を見る。
燈は溜息を吐きながら、まあ誰も居ないから良いんじゃない?、と言う。
良いのかよ、と思う。
それにまあそこで色々と聞きたいしね.....、とニヤッとする燈。
いや。何か怖いんだけど.....。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます