第17話 名前が決まった私
子供の笑い声で目が覚めた。
やわらかい布団。
なんか久しぶりにグッスリと
寝た気がする。
私は起き上がり寝室の扉を開ける。
唯さんとユウキが遊んでいる。
「美香は学校だからねぇ」と笑う唯さん。
食事も準備しといたよ、とも言った。
全員椅子に座り食事を囲む。
「お母さんも料理上手なんだよ」と
食べながらユウキ。
たまに大人の味になるとも。
私は言を決して言う。
「流行り病なんです。どんどん
料理がへたになっちゃって」と。
あれはうちの娘の作った薬が
効いて駆逐されたのでは?と唯さん。
私のは変異種らしく。あ、でも
伝染しないんです。
唯さんは私の症状を細かく聞いた。
私も細かく伝えた。
食事が終わると、何か薄い板の様な物を
持ち出し半分から開く。
板が明るく光り文字が浮かび上がった。
これはねパソコンと言うモノで
こっちの色々な情報が見れるんだよ。
私に操作方法を教える唯さん。
ユウキも興味深そうに見ている。
文字は、言語は一緒だ。
「言葉でも聞いてくれる。
例えば」と唯さんは言うと
魔法
と言う。するとそれに対しての
説明文が出てきた。
私は文字を押したり言葉を言ったり
丸い何かをポチポチと押したり。
「あ、そうだ。これ」といって
私は今まで書いてきた日記を
唯さんに渡した。
私が書ける時に書いた日記です。
向うの出来事が書いてあります。
もう一冊ありますがそれは、まぁ、
覚書の様な物ですから。そっちは。
魔法とか料理の作り方とか。
じゃあ私はこれを読んでいるので
貴方はそれを使って色々と調べていなさい。
と唯さんは言った。
私は「この世界の歴史」と言葉を発した。
お互いが沈黙をしながら
お互いの物を読んでいる。
私は思う。人間同士でここまで
やるのか。やってしまうのか。
気が付くと結構時間がたつ。
唯さんは私の所へきて
私を抱きしめる。
「よく頑張ったねぇ。よく頑張ったよ」
「でもこれからも頑張らないとね」とも。
「じゃあこの世界で生き抜く知恵を
この唯様が教えてあげよう」と笑う。
色々と聞いた。この世界に来て
やった事を。話を聞くと凄く冷静に
唯さんは対処をしており
時には嘘をつき、時には盗みを働き
時には魔法を使い。
精霊召喚もしたそうだ。しかし
精霊は来なく、漂っている死者の
魂の様な物が使役できたという。
自分が出来る事を出来る限り
善悪の見境もなく行ったそうだ。
だから、その筋には名前が通っており
たまに国の依頼も行っているらしい。
だから食べていけると。
そして恩恵もあり
欲しいモノ、食べ物やお金ではなく
この世界での存在証明ともいえる
身分証明も国が準備したそうだ。
「あなたのも準備しないとねぇ。」と
いうと何か小さな器具を取り出し
誰かと喋っている。
一緒に住んでもいいけど
近くのアパートでも借りようか。
ユウキも学校に入れないとね。
あぁ、それと家具とか。
私と同じ仕事でもさせるよ。
よかったじゃないか、人手不足が
解消されて。
一時、よくわからない事を話すと
私を振り向き
ここで生活できるようにしといたよ。
後はあんた次第だ。
少し汚れ仕事もするけども
あんたなら大丈夫だろうな。
2日ほど時間がかかるので
その間は私の所に・・・。と
言った所で話をいったん止め、
ニヤリとして
「そうねぇ、この近場にホテルという
宿屋がある。今日はそこに泊まりなさい」
と提案してきた。
そしてまた器具で誰かと話す。
それが終わると私に、
「もう少ししたら人が来るから
その人に案内されて宿屋に行きなさい」
ああ、それと途中で服でも買いなさい。
それじゃ目立つので。
私の着ていた物を少しは見繕ったけどね。
お古より新しいのがいいだろう。
ユウキには、美香のおさがりだけど。
そう言ってテキパキと準備する。
準備をしながら唯さんは聞いてくる。
ウォッカは元気にしてたかい?
とウォッカさんの事を色々と聞いてくる。
根掘り葉掘り。
あぁ、そうか。
孫の事を心配しているのだ。
孫にしてあげられない事を
私にしてくれているのだ。
一時すると
「開けてくださーい」と若い男の声が
聞こえた。
「ちょっと待ってな」と何かに向かって
喋ると、指をクルクルさせる。
今度はドアの方から何かの音が聞こえる。
「ピンポーン」と。
今開けるよ、と唯さんは言うと
扉の鍵が開く音が聞こえ
一人の男が入ってきた。
「もう完全セキュリティーですね」
とその男は言う。つづけて
この方ですね、お。綺麗・・・というか
可愛い系?というと
「初めまして。山本 耕造と申します。
ありふれた名前でごめんなさい」
笑顔でいい、私の手を握る。
「偽名のくせに。」とその男の
お尻をタクトで突き刺しながら
言う。
「痛いですって!それ!マジで。」と
耕造さんは言う。
因みに私は唯さんの世話役です。
何でも言ってくださいね。
この世界は何をするにもお金かかるし。
あ、大丈夫、お金は。国から出ますから。
その代わり働いてもらいますからね。
と笑いながら言う。
私はもう人殺しはしたくない。と
耕造さんに言うと
「そんな事はさせませんよ。
それは別の方々がします。」と。
そうですねぇ、と言うと
秘密裏に行動して、犯罪とかを
未然に防ぐ仕事です。とも言った。
「まあ?時たま、そのまま犯罪組織を
やっつけちゃう人もいますがね!」
と唯さんを見る耕造さん。
「殺していないからいいじゃないか」
と唯さん。
「そういう問題ではありません」と
耕造さん。
「あ、そう言えばこっちでの名前
どうします?」と聞かれた。
私はパソコンで知った言葉を
ちょっと気になった言葉を使う事にした。
あの子は
「神原 勇樹(かみはら ゆうき)」
そして私は
「神原 希望(かみはら のぞみ)」
でお願いします。
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