第16話 異世界へ来た私
異世界へ来たものの・・・。
さてどうしたものか。
ここは公園のような感じにもなっており
ちょっと長めの椅子に巣ある。
そして大きな2本の樹木を見上げる。
ユウキは寝ている。
「さてどうしようかなぁ」
そう途方に暮れている事
多分2時間ほど。
後ろから声が、話しかけている
声が聞こえて振り向くと
その人は言う。
あらま、珍しいと言うか
懐かしいと言うか、久しぶりに
見たわ、そう言った感じの服。
何かがあっちから来たので
ここに見に来れば。
本当に懐かしい。
私は見覚えがある。
そう、この声をかけた人は
ベルジュラック様に似ている。
話した事はないが見たことはある。
私は加納 唯っていう名前よ?
貴方は?とその初老の、初老に見える
人は言った。
違ったか・・・。と思う私。
名前・・・名前どうしよう。
こっちのありふれた名前を知らない。
ユウキは・・・大丈夫か。
もともとこちらの言葉だ。
あっても不自然ではないはずだ。
「こ、このこはユウキ。
そ、そして私は・・・・」
大丈夫よ。向こうの名前で。
その人は言うと
私は向こうでは
ベルジュラックと呼ばれていたしね。
私は驚く。そして何故か涙がこぼれる。
よかった。向こうを知っている人が居て。
そしてそれがベルジュラックで。
どうにかしてくれる。私とユウキを。
すがろう。この人にすがるのだ。
どんなことをしてでも。
私は思い切って言う。
私は紫の国でサンテミリオン様の
傍使いをしていましたミネルヴァと
申します。そしてこの子は、
ジェニエーベル様です。
サンテミリオン様のご子息です。
それを聞くとベル様は
「こんなところじゃなんだから、
私の家に行こうか。その服目立つしね」
と言う歩き出す。私はユウキを負ぶい
後をついて行く。
すると、なにか鉄の箱の様な物、
鉄の、馬のついていない馬車に
私を乗せた。
そして乗り込むと走り出す。
私は聞く。
「魔法・・・で走っているのですか」と。
ベル様は笑いながら言う。
まぁそんな感じに思っていいよ。と。
30分ほど走ると塔の様な建物に
入る。勝手に扉開き、そしてその奥の
扉に入る。少し揺れ、扉が開くと
乗った時と違う場所だった。
て、転移魔法ですか?と聞く私。
ベル様はまたも笑いながら
まぁそんなものよ?と笑う。
沢山ある扉の中の一つに入る。
見たことのない素材で作られた壁。
そして見たことのない造形物。
「おかえり!唯ちゃん!」とユウキより
少し年上くらいの女の子が出てきた。
私は思い出した。
ベルジュラックが居るのだ。
居て当たり前だ。
この子がもしかしたら、いや
絶対だ。ウォッカさんの娘の
ジヴァニアだ。
伝えたい、今すぐにウォッカさんに
伝えたい。が、どうすれば・・・。
私は案内されるままに椅子に座る。
寝ているユウキをベル様は私から
抱き上げてとても柔らかそうな
長めの椅子に寝かした。
その子はじーっと見てる。
ユウキをじーっと見ている。
「このこはだぁれ?」と言いながら。
今日からお前の友達だよ。
お前の友達のユウキ君だ。
仲良くしてあげなさい。と
ベル様はその子に言った。
私はベル様に聞く。
「その子はウォッカさんの
娘さんですよね」と。
ベル様は右手の人差し指を
口元に近づけいう。
「そういった話は夜にでも
しましょう」と。そして続ける。
ここでは私の事を加納 唯と
呼んでおくれ。
「あ、あの、私が悪い人間だったら
どうするんですか?
こんなにも無防備に私を
招き入れて」と私が言うと
私はね、とベル、いや唯さんは言うと
「こう見えて人を見る目はあるんだよ。
だてに年は取っていない。」
と言うと続ける。
頑張ってこっちに来たんだろう?
頑張ってあの子を守ってるんだろ?
頑張って頑張って。
顔にそう書いてあるよ。
だからもう大丈夫だ。
どういった経緯なんて後で聞くよ。
それに私は強いしね。と笑う。
私はその言葉を聞いて涙が止まらなかった。
どんどん流れてくる。
人を惨殺した時から何も感じなかった
感情が、突然湧いた。
「すみません。涙が止まりません」
と私は言うと女の子が近づいて
ハンカチと言うモノを私に渡す。
私はそれで顔を、目を押さえる。
その子は凄い笑顔で笑い、そして
「ねえ!あの子が起きたら
一緒に遊んでいい?」と言った。
私は是非遊んであげて、と言うと
その子は
「いいなぁ、あの子はお母さんが居て。
私にもいればいいのに」と言った。
「あら、美香には私が居るじゃない」と
唯さんは笑いながら言う。
「じゃあさ、たまには交換しよう!
お母さんとおばあちゃん!」
とその子が言うと
「だそうだよ、たまにはそうしておくれ」
と何か残念そうに、でも嬉しそうに
唯さんは言いながら笑った。
その笑い顔に甘えて私は唯さんに言う。
「失礼とは思いますが・・・。
出来たら少し横になりたい・・・と。」
そりゃそうだ。と唯さんは言うと
となりの部屋への扉を開け言う。
「私の寝室だが使いなさい。
ゆっくり寝なさい。安心して」と。
私はありがとうございますと言い
その部屋に入り布団に入る。
奇跡だ。ベルジュラック様が
居てくれて。本当に奇跡だ。
もしも見つけてくれなかったら
私はどうしたのだろうか。
この世界の人間につかまり
下級使用人になり・・・。
普通の生活が送れたかどうか。
短い間に色々ありすぎたなぁ。
凄く長く感じたなぁ。
そう思いながら目を閉じると
私はすぐに眠りについた。
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