第11話 薬っぽい何かを貰う私

この大陸は、この世界はどういった

構造になっているのだろう。


私は思うが考えるのは止めた。

知った所で私がどうこう出来る、

することなど何もないからだ。


ただ、この世は一つの些細な出来事が

些細と思っている出来事は

それがどこかに影響し何かを不幸にする。

しているかもしれない。


私がユウキを助けたことにより

街は焼かれた、公園も焼かれた。

そこに住んでいるモノは不幸になった。


じゃあ、逃げずに捕まっていたら。

そこに住んでいたモノは助かっただろう。

しかし、ユウキが不幸になる、

・・・なったかもしれない。


なるほど、ウォッカさんの言ったとおりだ。


ところで、エルピスとは?と私は聞く。


「妖精の王様みたいな者にゃ。うーん。

 女王様かにゃ。」と考えながらスコティさん。


ピンとこない。そりゃそうだ。

ふと思い、スコティさんに聞く。


「じゃあ魔王エンドとは」と。


スコさんは悩みながら唸っている。

「こいつバカだから難しいことは聞くな」

とウォッカさん。


「バカにバカといわれたにゃ」とスコティさん。


両腕を凄く振り回しているが

ウォッカさんが頭を押さえているので

当たっていない。


ユウキが笑っている。


「エルピスに聞けばいいじゃないか」と

ウォッカさんは言った。

どうせ、呼ばれているし。とも。


そして明日の朝にここを出て妖精の里に

向かう事となった。


部屋に入るとユウキは言う。

「僕も人間だから悪魔なのかなぁ」と。

「でもいい悪魔もいるから、いい悪魔に

 なりたいなぁ」とも続けた。


私は思う。私は只この子の未来を、

幸せを願うだけだ。それがかなうなら

喜んで悪魔と言われよう。と。


夢にまで見た「母さん」となって。


料理を作り勇樹に出す。

「今日の料理は少し苦いね。あ、でも

 これが大人の味なんだね」と。


誰にそんな言葉を教えてもらったのかを

聞くと、ユウキは


「ウォッカさん。母さんはこれからも

 ずっと僕の為に料理を作るけど、

 僕が大人になったと思ったら、少しずつ

 大人の味にするって。」と言った。


ウォッカさんは私が作る料理がどんどん

歪になっている事を知っている。

それを考えて、言ってくれている。


私は薬を飲み、ユウキの隣に寝る。

ユウキは私の胸で寝言を言っている。

「母様、母様」と。

サンテミリオン様の事を夢に見て。


それでもいいと思っている。だって

そういいながらも私に

しがみ付いているのだから。


朝になる。

ウォッカさんとスコティさんが

もう家の前に居た。


どれくらいの道のりなんですか?

と私は旅の準備をする。


スコティさんは悩んでいる。

「うーん」と。


ずっと唸っている。唸りながらも

歩き出す。私達はついて行く。


小さな噴水のある場所に着くと

体に枝の様な葉っぱの様な物を

付けている?精霊?が居た。


ドルイダス。頼む。とウォッカさん。

その、ドルイダスと呼ばれた妖精は

こちらを見ていう。


「人間に良い印象は持たないけど

 仕方ないもんね。うん」と言った。

しかし私を見て何か気付いた顔をする。


貴方のその杖はギンコなの?

珍しいものを持っているのね。

サンテミリオン様も持っていたけど。


あぁ、なるほど。そうだったわ。

あなたはミネルヴァだったわね。

貴方には喜んでお手伝いするわ。

と笑った。


あぁ、それとコレ。

サンテミリオン様に言われて

作っていたわ。ついこの間完成したの。


そう言って袋を渡す。

中を開けると凄く青臭い匂いがした。

サラサラともしている。


「薬よ。」とドルイダスは言う。

なるほど、さすがサンテミリオン様だ。

私の事をよく知っている。


じゃあ早速。と言うと魔方陣が現れる。

「よろしくって言っといてね」と

手を振るドルイダス。


私達は転移した。


転移先に着くとスコティさんは言った。

「あっというまにゃ、あっという間に

 着くにゃ」と笑顔。


まだ悩んでいたのか・・・。

というかもう着いてるし。


着いた先はまるでバカノラの様に

何もない、岩しかない場所だった。


移動しないんですか?と私は言うと

迎えが来るのを待つ。とウォッカさん。


でないと、一生ここをさまよう事になる。

・・・私は別だがな!と

鼻息荒いウォッカさんは笑う。


「彷徨いすぎて一人で暴れて、スコを

 強引に呼びつけたくせに。にゃ」と

スコティさん。

頭を小突くウォッカさん。

笑うユウキ。


来たにゃ、と言うと手を振るスコティさん。

その方向を見ると


これはこれはスコティ様、

おかえりなさいませ。


フシャスラ!怪物中の怪物!

私は凍り付く。


げ!ウォッカ様!とも言っていた・・・。

過去何があったかは想像つくので

私は何も言わない。


そ、その節はお世話になりました。

ともウォッカさんにも挨拶した。


しかし私は聞き逃さなかった。

「大暴れしやがって。あの短剣使いが

 いなかったらと思うとぞっとする」

と呟いたのを。


何があったかは想像できなくなったが

聞くのは止そうと思った。


私達はフシャスラの後をついて行く。

いきなり風景が変わる。


精霊の里と同じような幻想的な

光景が目に飛び込む。焼け焦げた

風景も同時に。


精霊の里よりもひどく焼け焦げている。


「じゃあスコは元に戻るにゃ」というと

なんとスコティさんは!


綿の入っていないぬいぐるみのように

ふにゃふにゃした様になり地面に

落ちた?感じになった。


いつの間にか目の前にまだ幼いような

でもそれでいて綺麗な少女が

立っていた。


























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