第6話 凄そうな魔方陣を描く私

いきなり集団に絡まれ言われる。


「ここは通行止めだぜ?姐さん。

 この先は地獄しかないぞ?

 ぎゃははは」と笑いながら。


さて、どうするか。

無視をしたら襲ってくるだろう。

話しかけても、まぁ襲ってくるか。


辺りを見回すとその集団、6人しかいない。

私はため息をつき、言う。


「この先に用があるの。会わないと

 行けない人がいるの。このまま

 通してくれないかな」と。


「じゃあ取引だ。姐さん綺麗だし、

 いい体してるじゃねえか。俺と

 今晩お付き合いしてくれよ。」


そしたら通してやると。その取り巻きも

俺も俺もと言いながら笑う。

そして笑いが消え、襲い掛かってきた。


私は既に杖に魔力を込め

魔方陣を発動していた。


ユウキを馬に乗せたまま私だけ降り

上級風魔法を放つ。鋭利な風の刃が

6人を攻撃する。継続的に。


この杖が黄色になってから凄く

扱いやすく、そして反応もいい。

流石激レアさんと言う所か。


5人はズタズタにされ瀕死の重傷を

負っている。一人の最後尾にいた男は

他の者達を盾にしたのか、


慌てて馬に乗り逃げる。


どうする、私。追撃するか。

少し悩んだ後に追撃を止めた。

そして馬に乗り、ギリギリの所で


逃げる馬にマーキングをする。

私は後をついて行くことにした。

賭けだが。


多分、こいつらのアジトがあるだろう。

という事は街でも村でもある可能性がある。

そこに私達を待っている人が

居る可能性もあるからだ。


私の上級魔法が効かなかったら

どうしようかとも思ったが

十分な戦いが出来たので安心した。


道ではない道を進む。

こんなところを通るのか、と言う所も

通る。追う事1時間ほどが経つ。


少しずつ魔力がなくなるが

周りに低級魔法障壁を作っている。


目の前に10軒ほどの建物が見えてきた。

勿論お出迎え付きだ。


この中にいますように。

探している人が居ますようにと願う。

が、その願いはむなしく散った。


「姉さん達、アレだろ?賞金首の。

 ジェニエーベルとミネルヴァ。」

と真ん中に立っている男が言う。


金貨500枚だそうだ。笑える。

金貨500枚が馬に乗ってきちゃった。

そりゃ捕まえるよな。

とも続けた。


私は馬を降り

「通してくれないか。頼む。それと

 緑と黄色の混じった模様の小鳥を

 知らないか?」と聞く。


中央に立っている男は

「お前はバカか。通すわけないだろう。

 それに小鳥なんてしらねえよ」

と言うと続ける。


残念だな、姉さん。こっちは

昔、冒険者でランクSとSSだらけだ。

もうあきらめてくれよ。

そして今晩皆で楽しくやろうよ。


そして全員が嫌らしく笑う。


最悪ユウキ、ジェニ様だけでも走らすか。

いや、ダメだ。私は守ると決めたんだ。

ならば、そうすることが役目。


ひと時もジェニ様を、私のユウキを

離すものか。


と意を決し、杖を前に突き出す。


と同時に相手も動く。

私ではなくユウキに矢が飛ぶ。

私に来ると思い、反応が遅れ

馬に矢がかすめると馬は跳ね上がり

ユウキは馬から転げ落ちた。


ユウキはなんと泣きもせずに歯を食いしばり

右手に拳を作り我慢している。

頭から少し血が流れている。


剣士が突っ込んでくると同時に

槍も向かってくる。

その後ろから矢が複数飛んでくる。


「生き死には関係ないらしいぞ?

 でも瀕死で止めてやる。だって

 お楽しみが待っているからな」

と中央の男は動かずに言っている。


私は張ってあった魔法防壁の上に

更に初級防壁を張る。

ユウキを抱え後ろに下がる。


魔法防壁が矢を弾くが割れる。


私は純粋な攻撃魔法使いの為

防壁は初級の物しか張れない。

しかし杖の性能で複数張ることにより

中級以上の防壁となる。


割れることはわかっていたので

全体攻撃魔法である初級の風魔法をまず

放ち、前衛の足止めを知る。

と同時にロックダーツを放ち足を

攻撃した。


更に後ろに下がり上級魔法を放つ。


「はええな!詠唱!どうするんだよそれ!」

と男は言っているが余裕だ。


私は魔法を放つと腰が砕ける様に

バランスを崩す。

相手に扇使いが居る証拠だ。

それに矢で防壁が割れたとなると

竪琴もいる。


ならば死なないだろう!

私は体制が崩れながらも

極級魔法陣を描き詠唱する。


フレームス・エト・フーダ!


炎と雷光が合わさりながら

前衛に直撃する。


私はさらに

ランス・デ・ローチを詠唱する。


そして唱える。

ゼロ・アブソル・ブラスト


私はさらに後ろに下がる。

そして3重の防壁を張りなおす。


辺りに立ち込めた爆炎が晴れると

6人の男が倒れている。


残り4人!と思うが目の前には

2人しかいなかった。


爪使いの右腕が私の脇腹に入っている。

ニヤついている爪使い。

トドメだよ、と左手をワザと

私の顔に近づける。そしてゆっくりと

左手を引くと、その瞬間、

その男は悶絶した。


ユウキがおもいっきり

股間を蹴り上げたのだ。


「ざまあみろ!母さんを虐めるからだ!」

と言いながら。


しかし後ろから剣が振るわれる。

察知はしていたが爪の攻撃で

反応が遅れてしまう。


剣はユウキの背中を斬った。

しかし反応はしていたので深くはない。


私はその場で初級魔法陣と

中級魔法を詠唱し魔法暴発をさせ

敵から距離を取る為に吹き飛ぶ。


後ろから矢が放たれており私の

左肩に刺さる。


爆風のおかげで爪使いと剣使いは

吹っ飛んだままだ。


私は振り返り再度

ゼロ・アブソル・ブラストを放つ。


青いその閃光は弓使いに当たる。

顔にそれが直撃すると後には

頭のない体が立っていた。


撃ててももう数発か。


私は私を中心にとても凄そうな

魔方陣を描く。

「こうなったら自爆してやる!」と

言いながら。





 













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る