第4話 鼻水が出る私
気が付くと西門。目の前に馬車がある。
とりあえずジェニエーベル様を馬車に乗せる。
私は城に向かおうとすると
目の前にメルトとフミージャも転移で現れた。
「いきなり王子を守ってくれと言われて
ぶっ飛ばされた!王妃に!」と二人。
すると大地が揺れる。地面から首都を
覆いつくすほどの魔方陣が現れ、ソレは
浮かび上がり城へ収束する。
そして城から白い輝きが現れ首都を覆いつくす。
私は魔法防御壁を展開する。
その広がった輝きは、今度は城に収束する。
そして光が消えると同時に、今度は
金色の光が、一気に光の粒が拡散する。
そして一時後、天に向かって閃光が伸び、
消えていった。
城で爆発が起こる。黒煙と炎が見える。
城下街の方を見ると夕焼けを浴びた様に
朱色になっている。まだ昼なのに。
私は城に向かおうとするとフミージャが止める。
無理だ、あの黒煙とと炎の中には行けない、と。
中にはサンテミリオン様がいるんだぞ!と
私は叫ぶと、今度はメルトが言う。
多分もう、この世にいない。王妃は
命を依り代にして魔法を放つと。
この城の中の者と城下の者を飛ばす。
と言っていた。あの光は多分それだ。
それにもう、方々で青の国の兵士たちが
火を放っている。
そうしてもう一度、全員城下の方を見る。
遠くから軍勢が近づいてくる。味方と思ったが
青の国の兵士達だった。
全員が馬車に乗り西門を出た。
絶対生きている。サンテミリオン様は
生きている。そう私が思うから生きている。
「ねぇ、母様は?」とジェニエーベル様が聞く。
全員沈黙していたが、メルトが
「急にお仕事で遠くに行くことになった。
お留守番できるよな?」と。
「またお仕事かぁ。でもミネルヴァが居るから
大丈夫。」と私を見て笑うジェニ様。
「ところで今何してるの?」とも聞く。
「そりゃあ鬼ごっこに決まってるじゃ
ないですか。」と笑いながら言うメルト。
「そうそう、逃げますよ!」とフミージャ。
一時するとメルトが
「どうやら、鬼さんの交代らしい。
王子を頼むぞ!」と言うと馬車を
飛び降りる。
振り返ると青の国の軍勢、もう何十人いるか
わからないほどの数。
メルトはスキルを放ちながら壁となり
軍勢の行く手を阻んでいた。そして、
見えなくなる。
「生きている。私がそう思うんだ。」
と私は何度もつぶやいた。
早馬が近づく。私は魔法を放ちながら
的確に馬に当てる。
しかし数が多い。
「ミネルヴァ!前に来い、王子を連れて」
とフミージャは言う。
馬車を止めようともせず、私とジェニ様を
馬に乗せる。
「乗馬できたよな?」と言うと私を見る。
「メルトより強い所を見せてやる。
頼むぞ、ミネルヴァ」とも言い、
王子、今度は私が鬼だ。10数えるまで
後ろを振り向いたらいけないよ。
逃げ切ったら王子の勝ちだ。
何でも好きな物をミネルヴァに言って
食べさせてもらいなさい。
そういって王子の頭を撫でて笑う。
フミージャは馬と馬車を固定している
部分を剣で断ち切ると馬車から飛び降りる。
私とジェニ様は後ろを振り返らずに
兎に角馬を走らせた。
ジェニ様が数を数えている。
私は馬の前に常駐型の風魔法を展開する。
子供の頃、街で私が発見した
風魔法の使い方だ。
風魔法を自分の前に展開して
走るとなんと、少しの力で速く走れた。
それを馬に行っている。
「生きている。全員生きている。
私がそう思うんだ。生きている」と
私は何度も何度も心の中で呟いた。
一度、クレマンの街によるか。いや、
ダメだ。街に被害が及んでしまう。
しかし、何故これほどまでにジェニ様を
追うのだ。たしかに王族だが・・・。
そんなものなのか?国同士の戦いとは。
バカノラの方へ・・・。
その途中にある赤の国のポルスカに
行くか・・・。国を超えたら少しは
追手が緩むかもしれない。
相当走った。振り返ると追手はない。
私とジェニ様は馬を降り、茂みに入る。
少し草祓いをして、私はアイテムボックスから
布を取り出し、休憩の準備をする。
布にジェニ様を座らせて保存食を
食べさせる。私も横に座る。
「ねぇ、母様は死んじゃったの?」
と突然聞いてきた。
あの光が天に伸びる時に母様の声が
したんだ。母様は居なくなるけど
ジヴァニアの言う事を聞いて
生きなさいって。
私を見ながら・・・。
「わからないです。でも多分、
そうなのでしょう。母様が言うのなら」
でも私は生きていると思います。
そう私は思うのです。思う事にしているのです。
そう伝えるとジェニ様は
「わかった!母様は魔法使いだから
僕の中に入って、僕の中で生きるんだ!」
だって、そんな感じがするんだ。
僕の中に母様が居るってわかるんだ。
母様は凄い魔法使いだしね!
私はジェニ様を抱きしめる。
涙が止まらない。鼻水も出る。
「汚いなぁ、もう。拭いてあげるよ」
とジェニ様は言うと
服の袖で私の鼻を拭いた。
「お城に帰らないの?」と聞いてくる。
意を決して
「お城は他の国に攻められて壊れて・・・
壊れてしまいました。そして
ジェニ様を捕まえようとしています」
だからジェニ様は逃げないといけないのです。
そして、大きくなって国を元通りに
するのです。
だからそれまで母様は
ジェニ様の中に隠れているのです。
捕まったらいけないですから。
「じゃあ僕が母様を守るんだね。
大きくなって僕が敵をやっつけてやる」
そうジェニ様は言うと眠くなったらしく
眼を閉じスピスピと息をし寝てしまった。
私は目を閉じ空を見上げ大きく息を吐く。
今日は疲れたな。と。
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