112.また、はじまりの日。メルリィ・キータイトと《幸福の味》の話【後編】


(なんだか、おかしなことになってしまったな……)


 ――と。

 ユイリィから昼食の支度を任された、それがメルリィの偽らざる心境だった。


 そも、自分はつい二日前までユイリィ・クォーツと対立関係にあった《機甲人形オートマタ》だ。

 その対立自体は、『トリンデン卿の暗殺』という任務の失敗と、そもそもトリンデン卿暗殺を目論んだワドナー卿の存在が除かれたことで任務そのものの意味が喪失したのに伴い、立ち消えになった――と言えないことはないのだが。だとしても。


 ガルク・トゥバス製機甲人形オートマタ修復ポッドたる《コフィン》の修理にあたるというユイリィを残して地下室を出た後。

 台所に入ったメルリィは、食卓に残してきた――四つある椅子のひとつにぽつねんと座るランディをちらと一瞥する。


わたしは……わたしがあの子を人質に取ったことまで、帳消しにできるはずがないでしょうに……)


 トリンデン卿――このトスカを領内に含むオルデリス州を治める公爵にして、ルクテシアの密偵頭たるトリンデン家の当主たる男の暗殺任務の最中、追い詰められたメルリィはその場に現れた子供を人質に取り、形成の逆転を試みた。

 その時、人質に取った子供が、ランディだった。

 彼を機主マスターと仰ぐユイリィの怒りたるや、想像するだにあまりある。


「…………………………」


 メルリィは手を止めたまま、じっと彼を見る。

 ユイリィ・クォーツの現機主マスター

 特筆してどうというところはない、ただ、とても元気でころころと跳ねまわる、やんちゃで子供らしい男の子。彼はメルリィが自分をトリンデン卿に対する人質として利用したことに、既に何らのわだかまりも残していないようだった。


 優しい子、なのだろうと思う。やさしくて、きっととても心根の強い男の子。

 何ひとつまともにできない機甲人形オートマタへもその手を差し伸べてしまうような。願わくば、どうかその心根のまますこやかに育ってほしいと――不遜にも祈ってしまいたくなるような。


「………………いけない」


 完全に手が止まっていた自分に気づき、メルリィはふるふるとかぶりを振る――思考演算にとらわれてしまうのは、本国にいた頃からいっかな直らずにいる自分の悪癖だ。任務の間はバックグラウンド演算領域へ回していた思考演算が以前の状態に戻ったせいで、この悪癖まで復活してしまっているみたいだった。


 与えられた仕事タスクは、誠実に果たさなければならない。今の自分は彼らの預かりの身であり、そしてたとえ一時のものであるとしても――彼は、メルリィの代行機主マスターだ。


 まずは昼食の材料に使えるものを探そうと決め、台所の戸棚を開ける。


「う……」


 途端、メルリィは眉をしかめた。

 戸棚の白パンは、そのすべてが苔のような緑色にびっしりとかびていた。

 本来ならば《諸王立冒険者連盟機構》へ行ったその日の夕方には家に帰って食べるぶんだったのが、トリンデン邸で過ごすことになった四日の間にだめになってしまったものだった。


 同じ棚の別の段には、おそらく四日前の夕食となるはずだったのだろう作り置きの料理が埃除けをかぶったまま置かれていたが――当然こちらもだめになって、腐りはじめた料理特有の嫌なにおいを放っていた。


 無残な有様となったこれらはさすがに捨てるしかない。

 さすがにげっそりしながら、もしかしたら彼女ユイリィはこれらの後始末のために台所仕事を任せてきたのではないかと不意に思いついた。


 同じ戸棚には日持ちする黒パンもあったが、それも最前のしろものと同じ棚に置かれていたものだ。そのまま食するのは躊躇ためらわれたし、仮に可食状態であったとしても、だめになった料理からにおいがうつってしまっているかもしれない。

 駄目になったものは捨て、それ以外の者は棚の中を掃除するためひとまず別のところへ移す。後者はあとで状態を走査スキャン、そのうえでユイリィの裁可を仰ぐべきだと判断する。


(他に、食材がありそうなところ)


 ――と。その時。

 人格統合を司る契法晶の空き領域――観測記録の保存領域へ、情報の追記があった。


 ――台所を含むウィナザード家の平面図。

 ――冷蔵庫と、それ以外に食材をしまっている収納。

 ――現時点で無事と推定される食材。使用可能な調理器具の一覧。


(……なるほど)


 ――トリンデン邸でメルリィの記録を読むためにつないだ、同調接続だ。

 あの時つないだ接続をユイリィ・クォーツは今も残していて、その経路を通して情報を寄越してきたらしい。


 そしてこのタイミングでわざわざ喫緊の問題となる情報を送ってきたということは、ひとつの事実を示している――ユイリィは今もメルリィの記録を読み、かつそのをも同時に観測している。


 もしかしたら、これは怒って然るべきところなのかもしれない。メルリィが何を思い、何を考えているかが、常時ユイリィ・クォーツに対して筒抜けということだからだ。


 だが――メルリィはむしろこの時、ほっと腑に落ちる自分を感じていた。


 もし、自分が何か胡乱な考えを起こしたなら。あるいはそうするように外部から何らかの形で操作されたなら。

 ユイリィはこの接続を介してメルリィに介入アクセスし、即座にその行為を掣肘できる。トリンデン邸の生垣ロッジ迷路でメルリィの機主マスター登録を書き換えたように、危険な予測行動をできる。これはそのための『保証』だ。


 ――警戒が解かれた訳ではない。何もなかったことになどなっていない。

 その事実を知れて初めて、メルリィはようやく自分にも、相応しい身の置き所ができたような気がしてした。


「冷蔵庫――でしたか」


 台所の片隅にでんと置かれた抱えるほどの大きさの箱。附術工芸品アーティファクトだ。

 上面の蓋を開けると、中には魚や肉、あといくつかの生鮮野菜がしまわれていた。


 ガルク・トゥバスのものとは形が違うのだな、と。真っ先にそんな感想がよぎる。


 そういえば、央都パレスから人形工匠マエストロの生家へ移ったとき、人形工匠マエストロエクタバイナが最初に買ってくれたのも冷蔵庫だった。


 義肢の試験体としての役割オーダーが忙しくなりはじめ、こまめに買い物へ出るのが難しくなってきた頃だった。ある朝、唐突に「出かけるぞ」と宣言した人形工匠マエストロエクタバイナに連れられて行ったいちばん近い中枢都市の店で、最初に目につくところにあった冷蔵庫を――たぶん、あの店の看板商品だったのだと思う――買い求め、メルリィがこれを持ち帰った。


 夏は腐らせずに、冬は凍らせずに、食べものを長く保存することができる。頻繁に買い物にでる手間もなくなる。

 遅れながらにこの買い物が意味するところに気づいて「ありがとうございます」とお礼を言ったメルリィに、彼は杉の実を思わせる顔つきを緩めるでもなく、「これがもっとも効率のよい解決だ」と――


「……………………」


 ――ぱたん。


 冷蔵庫の上蓋を閉じる。ほんとうに悪い癖だ――これは。


 訳もなくふるふるとかぶりを振って、もうひとつの収納も確認。自分の手持ちで作れそうな料理レシピを絞り込む。


 肉はまだ日持ちする。魚は――わたやヒレを取って日持ちするようにはしていたが、状態としてはきわどいところ。走査スキャンの結果は食用可能だが、火はしっかり通した方がいい。


 ――台所の火はかまど

 外から薪と焚きつけを持ってきて火を起こすことになる。種火は――


「……《閃掌光撃レイバレット=フィスト》、か」


 ユイリィから送られてきた情報にあったその内容に、深く溜息をつく。

 熱変換でその工程を止めた《閃掌光撃レイバレット=フィスト》を、最低最小まで絞った出力で射撃、着火――仮にも軍用機甲人形オートマタPLAF近接契法兵装を、何という使い方をしているのか。


 だが、ひとまず方針は決まった。メルリィはくるりと踵を返し、一旦リビング兼食堂の広間へと戻った。

 ぽつねんと食卓の椅子に座ったままぼんやりと俯いている子供ランディへ、呼びかける。


「ランディさま、よろしいでしょうか」


「ましゅまろ……」


「えっ?」


「え!? あ……」


 きょとんと目をしばたたかせるメルリィ。ランディはその時になって、はたと我に返ったようだった。

 ランディは弾かれたように面を上げて――その顔に三通りくらいの表情をまぜこぜで広げながら、あたふたと姿勢を正す。


「ご、ごめんなさいっ! なぁに!? じゃなくて、なんでしょうか、メルリィさん!」


「ああ、いえ……なにも、たいしたことではないのですが」


 そのあまりの慌てぶりに当惑し、ついそんな前置きを挟んでしまいながら。

 メルリィは伺いを立てる体で、あらためて訊ねた。


「今日のお昼ですが、川魚を使おうと考えています。お嫌いではないでしょうか」


「おさかなはだいじょうぶです。きゅうりと玉ねぎはきらいですけど……」


(……………………?)


 微妙に濁した物言いに、怪訝な引っ掛かりを覚えた。

 嘘、ということはないだろう。ただ、控えめに答えた彼の表情によぎるものにふと既視感を覚え、メルリィは重ねて訊ねた。


「お魚、もしかして骨が苦手でいらっしゃいますか?」


「!?」


 ランディはびっくりした猫みたいに目を丸くして、ぽかんとメルリィを見た。


「ええ……と、その、はい。でも、どうして」


 こくりと一度だけ首肯し、あとは圧倒された様子で呻くばかりのランディに――果たしてどう答えたものかと、メルリィは演算思案を走らせる。


 ――勘? いや、機甲人形にそれはそぐわないか。


 ――既視感。否、この回答はメルリィが躊躇う。


「――観測と演算の結果、そのように判断しました。当機の観測演算が正鵠を射たこと、わたしは深く安堵しています」


「すごーい……!」


「光栄に存じます。ありがとうございます」


 興奮にきらきらと目を輝かせるランディ。メルリィは楚々とした所作で一礼する。


「その、はい。じつは……メルリィさんのいうとおりです。おさかな、きらいじゃないけど骨が刺さったりするのニガテで――ええと、得意なひとなんていないと思いますけど」


「仰るとおりかと存じます」


「あのっ、でも嫌いじゃないのはほんとなので! おさかなも好きだし、ちゃんと食べられます」


 ランディはあたふたと言う。そこには一目でそうと分かる、遠慮の気配がある。


(……遠慮、なんて)


 ――そんな顔をするのですか。あなたは。

 あなたを、トリンデン卿を暗殺するための人質に使おうとした――わたしみたいな、人形ものに。


「状況は承知いたしました。であれば、どうかメルリィにお任せくださいませ」


 薄く華奢な胸にてのひらを当てて請け負うメルリィに、ランディは目をぱちくりさせるばかりだったが。

 緩く波打つ髪をさらりと揺らしながら。メルリィはカーテシーを思わせる優雅な一礼でこうべを垂れる。


「ひとつ、わたしは解決の手段を存じています――機主マスターに心よりのご満足をいただけるよう、これより当機の性能ちからを尽くします」



 時計の針が、ちょうど十二時を指したとき。

 あらためて食卓に着いたランディの前に並んだのは、底浅のお皿に盛られてあたたかい湯気を立てる魚料理と、町で買ってきたばかりの新しい白パンである。


 川魚に味をつけながら煮た煮魚に、ちいさく切った根菜入りのあん――煮汁にとろみをつけたものだ――をかけたものだ。

 ランディは目の前に並ぶ料理と、食卓の傍らに置物のようにひっそりと立つメルリィとを交互に見て、いくぶん遠慮がちに訊ねた。


「その……ユイリィおねえちゃんは呼ばなくていいんですか?」


「まずはランディ様が召し上がられてください。料理をお気に召していただけるようであれば、あらためてユイリィ・クォーツも呼びにゆきます」


「……いただきます」


 緊張が伺えるぎこちなさで。ランディは魚を切り分けた。

 ナイフを通した瞬間、「あれ?」と訝る声が零れたようだったが、メルリィの視線を気にしてかすぐに食事へ戻る。

 フォークで突き刺した魚を一口ぶん。ぱくり、と口に含む。

 そして、


「――おいしい!」


「お口にあってようございました」


「あのっ、このおさかなほんとにおいしいです! それに、なんだろ、ええと……」


 頭を下げるメルリィ。ランディはぱっと振り返ると、喉元につっかえて出てこない感想を引っ張り出そうとでもいわんばかりに、わたわたと両手を振り回す。


「骨がないです! お魚なのに!!」


「すべて取りましたから」


「そんなことできるんですか!? すごい!!」


 はらわたを抜いた状態で保存されていた魚をまず三枚におろし、観測――小骨を含む骨をすべて取り除いて調理した後、一尾の魚らしく見えるよう盛り付けたのだ。


 はしゃいだ声で、ひとしきり嬉しそうに感想を伝えたランディは、ようやく喉のつかえがとれたとでもいうように目の前の食事へむしゃぶりつきはじめる。

 メルリィは内心ほっと胸を撫で下ろしながら、一旦その場を離れようとして、


「あの」


「はい。いかがなさいましたか?」


 その寸前に、ランディから呼び止められた。


「このお料理……おなまえはあるんですか? ユイリィおねえちゃんやメルリィさんの生まれた国の――ガルク・トゥバスのお料理、だったりしますか?」


「いえ、名前というようなものは――強いて言うなら、煮魚の餡かけです」


 ――いや。

 それはきっと、実情と異なることだ。名前など気にもしなかったメルリィに代わって、それを呼ぶ名をつけたひとがいた。


「ただ――ある方が、こう仰っていました。これは、『』だ、と」


 魚を料理すると伝えたとき――まったく同じではないけれど、よく似た顔をしていたのを記録している。決して嫌っているがゆえのそれではないけれど、どこか倦厭にも似た、躊躇いの表出。

 彼は「気にせずともいい」と話を締めくくったが、しかしそれが快適な食事の一時を妨げる要因であるのなら、排除されるべきだと判断した。


 その日の夕食。メルリィが初めて供したそれを平らげた後、彼は言った。



『――これは、素晴らしい技術の精華だ』



 穏やかな声で。けれど、どこか高揚していたみたいに。



『汎用型機甲人形オートマタとしてのメルリィ・キータイトの観測・判断・性能、それらすべてが十全に活用された結実であると言って過言ではない。今日のこれは、身がよくほぐれ、味が芯まで染みた、まさしくだった』



 それはメルリィにとって、手をかけて作った煮魚という以上のものではなかったから、あまりに大仰に褒める彼のことばはむしろ困惑を呼ぶものであったのだけれど。

 けれど――けれどそれは、とても、


「それ、もしかしてメルリィさんのおじーちゃ――じゃなくて、ええと」


 ごにょごにょと。唇をもごもごさせて誤魔化し、言い直す。


人形工匠マエストロエクタバイナさんがゆってたんですか?」


「はい」


 ――身がよくほぐれ、味が芯まで染みた、

 あの日と同じものを口にしたくなった時、彼はいつもそうしておおげさな注文をするようになった。

 その日の冷蔵庫にある食材次第で少しずつ具材や味は変えていたけれど、要望に違うものを出したことは一度もなかったつもりだ。


 とてもおおげさで、実情にそぐわない形容であることはわかっていたけれど。

 それでも、あのひとがそんなふうに口にするたび、わたしは――わたしにとっての『心』と呼ぶべき何かが、胸の中で軽やかに弾むのを感じていた。


人形工匠マエストロも、その煮魚をよく好まれていらっしゃいました。それがランディ様のお口にもあったのならば、それに勝る幸いはありません」


 くるりと踵を返して彼へ正対し、深くこうべを垂れる。


わたしはユイリィ・クォーツを呼んでまいります。どうかランディ様は、そのまま昼食をお続けになっていてください」


「はいっ。ありがとうございます!」


 笑って一揖いちゆうする彼を視界の端に留めながら、メルリィはこの家でいちばん広い部屋から廊下へ出る。


 家の一番奥の突きあたりで、開け放されたままだった跳ね上げ扉。

 かちかちと作業の音が零れるそこから下の地下室を覗き込むと、ユイリィは明かりもつけずに作業をしていたようだった。


「昼食の支度が整いました。きりのいいところで上がっていらしてください」


「うん、わかったー。油で汚れちゃったし、洗ってから行くよ」


「はい」


 こうして呼び掛けることに、意味はないだろう。彼女は今この時も、メルリィの思考演算を観測しているはずだ。

 けれど、意味がない訳ではない。ここにいるのは自分と彼女だけではない――この家からさらに外へ視野を広げるなら、きっともっと沢山の意味を持つ。


「――ありがとうございました。ユイリィ・クォーツ」


「なにが?」


「いえ……」


 ――これこそ、何の意味のないことばだったろう。メルリィはひとりで苦笑を零しそうになる。


 ゆるゆるとかぶりを振り、その場から離れようと膝を上げかけて。その瞬間、ふと思い立って暗視機能ノクトビジョンを起動し、メルリィは渋面できゅっと唇を噛んでしまう。


「……上へ上がる時には、ちゃんと服も着てきてくださいね?」


「わかってるよー、いちいち言われなくたって」


 不貞腐れたように言い返してくるユイリィへ、メルリィは大きな溜息をついた。


「そもそも、どうして裸なのですか……」


「だって服がよごれちゃう。ユイリィ作業着ツナギなんて持ってないし、それにわたしたち、べつにうっかり生体外皮スキンを切ったってなんにも危なくないでしょ? 痛いこともないし」


 ユイリィの抗弁は何も間違ってはいない。一面において合理的であるのも否めない。

 だが――


わたし達は女性型――恥じらう心性がなくとも、律し守るべき慎みというものはあります。あなたもそうでしょう、ユイリィ・クォーツ」


 はぁい、と。

 明らかに不貞腐れたままの応答が飛んできたのを聞いてから、メルリィはあらためてそっとその場で腰を上げた。


 自分も手を洗って、食事につく支度を整えなければならない。

 本来は同じ食卓を囲む資格などなく、そもそも経口摂取による霊素変換補給の必要も、今はまだ、なかったが――


 それでもメルリィがそのように振る舞えば、あの少年が――メルリィの一時の機主マスターがきっとそれを気がかりに感じてしまうであろうことを、メルリィは既に察していた。


(そう――)


 ――きっと、あのひとがそうだったのと同じに。


 いったいいつぶりのことだろう。こんなふうに、あの頃を想うのは。


 すべてが終わってしまった『あの日』を覆す可能性、それを求める演算を止められなくて。だから、あれからあのひとのことを振り返らずいた時など、一秒だってありはしなかったはずなのに。


 なのに。こうしてあの頃を、あのひとを想うのが、今はひどく懐かしいことのように思えてならない。


(きっと、そう――)


 まぶたの裏に蘇る、狂おしいほどせつなく幸福な日々がある。

 ――それを想い、克明に描き出せる今を、メルリィは幸いだと思った。



 心から、幸せだと思った。


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