86.終演:かつて、どこかで彼女が留めた《》


『――人形工匠マエストロ。失礼いたします』


 ノックに続いて入室する。

 サンルームは明るく、陽光を受けてあたたかい。


『弟様と甥御様ご夫婦が到着されました。お昼の支度も済ませたのですが――せっかくですし、今日は皆さまで昼食といたしませんか? 追加の料理はすぐにご用意いたします』


 ……………………。


人形工匠マエストロ、起きてください人形工匠マエストロ。応接で皆様がお待ちです』


 ………………………………。


人形工匠マエストロ。起きて――』



 …………………………………………。





『――――人形工匠マエストロ?』

  

 

 

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