Chapter17 王都決戦

Chapter 17-1

 かくして転移は成功し、カヴォロスたちは紫炎に包まれた王都内へと突入した。


 ここからの手筈としては、錬鉄騎士団が先陣を切り城への道を切り開く。その後、魔族を伴ったカヴォロスたちが突入、玉座の間の制圧を狙う。


 そして今、城を守るように配置された聖騎士たちと、錬鉄騎士団との戦いが始まっていた。


「やはり待ち構えられていたか」

「結構なこった。でねぇと張り合いがねぇぜ」


 広場は騎士たちと彼らの怒号で埋め尽くされていた。ここは城まで直通の道になっているが、この状況では突っ切るのは至難の業だ。


「竜成殿、辰真殿! こちらへ!」


 エルクが指し示したのは、家々の間に見える脇道だった。手薄になっているここから城へと駆け抜けようということか。だがその狭い道では、当初予定していた人数が向かうのは難しいだろう。


「我々も前に出ます! アヴェンシル様たちは城へ!」

「任せるぞ、デトリクス」


 デトリクスを筆頭に、魔族たちも戦線に躍り出る。


「カヴォロス殿! 我ら魔龍族がお供いたす!」

「アルフォス! 頼む!」


 そうして魔龍族たちと共に、カヴォロスたちは脇道から城へと向かうこととなった。

 カヴォロス、結花、エルク、アヴェンシル、デビュルポーン、辰真、そしてアルフォスら魔龍族たちだ。思いがけず少数精鋭となったが、これから屋内の戦闘に入ることを考えればむしろ戦いやすくなったと言えるかもしれない。


 広場の戦いを横目に駆け抜けるカヴォロスたちは、城の前へと辿り着く。

 が、城門前には強固な守りの陣を敷く聖騎士たちの姿があった。


「そう簡単には通れないか……!!」

「妾の出番のようじゃな」

「アヴェンシル!」


 前に出たのはアヴェンシルだ。すると彼女の周囲が強い冷気に覆われ、凍てついていく。

 迫り来る聖騎士たちを前に、アヴェンシルは腕を振るう。すると氷の刃が大河のように広がり、聖騎士たちを呑み込んでいく。


 そしてそれは瞬く間に、城すら呑み込んでいく。氷の城と化したそこで、城内の聖騎士たちが氷漬けにされてしまう。


「お主ら、早う行け。ここは妾一人でなんとかしてみせよう」

「わかった! 頼んだぞアヴェンシル!」


 カヴォロスたちは頷き合い、その場をアヴェンシルに任せて城内へ突入した。


「妾は城攻めが得意でな。さて、貴様らは何秒持つかの。せいぜい、妾を楽しませておくれよ?」

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