Chapter13 激闘を終えて

Chapter 13-1

 両断されてなお、怪物の四肢はもがきうごめいていた。なんという生命力か。

 これを油断なく注視していたカヴォロスたちだったが、やがて彼奴はその動きを止めた。


 再生する様子もない。それを見届けると、アヴェンシルが腕を振る。

 すると怪物の四肢は瞬く間に凍り付き、砕けて消えた。


 そうしてカヴォロスたちはようやく、構えを解き深く息を吐いた。

 やはりカヴォロスの見立て通り、彼奴の最大の武器である頭部こそが最大の弱点だったようだ。


「終わった、か」

「そのようじゃの」


 カヴォロスはアヴェンシルの肩に手を置く。

 これにアヴェンシルは過敏に反応し、勢いよく身を翻して後ずさる。


「な、なにを突然触っておる! は、は、破廉恥じゃぞ!!」

「へ? そ、そうか? す、すまん」


 その様子を暖かい目で見守るデトリクスと結花。


「アヴェンシル様……」

「一周回って尊くなってきました。……と、それよりも」


 なにかに気付いた結花はカヴォロスに問う。


「竜成君、竜成君が戦ってた男の人は?」

「ん、ああ……。ヤツなら逃がしたよ」


 カヴォロスは口元を引き結ぶ。

 『黒翼機関』のエキスパート、シロッコと名乗ったあの男。まさか、この四魔神将カヴォロスと痛み分けるほどの存在がまだいたとは。いや、その考えは驕りだ。魔王と勇者がいなくなったこの時代、確かな実力者たちが牙を磨いている。


 彼奴は、その目的が勇者の暗殺だと言っていた。


 ――いいだろう。ならば来い。我が名は四魔神将カヴォロス。そのことごとくを撃ち払って見せよう。


「竜成殿!」


 と、決意を新たにするカヴォロスに耳に届いたのは、金髪の美丈夫の声だった。

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