対立

 シオンに消したいクラスメートである、黒空葵くろぞらあおいのプライベート調査を頼んだ。


アイツの行動範囲がわかれば、消せるチャンスを見つけられるはず。

あたしと黒空は犬猿の仲なので、シオンに任せよう。



 次の日、あたしはシオンの家から学校に登校した。

出る前にシオンのお母さんに会ったけど、表情が生き生きしていたな。



今のクラスで話せるのはシオンぐらいなので、シオンが黒空と絡むとあたしは1人でいることになる。暇だし、2人を観察しよう。


急にシオンが絡んできても、嫌な顔をせず応じる黒空。

良い奴なのか、ただの馬鹿なのか。判断に迷う。


だってそうでしょ? あと数日でGWゴールデンウィークの時期だよ? 既に仲が良い人同士のグループができているのに、今更入ってくる人がいたら怪しくない?


あたしの警戒心が強すぎる? まぁ、黒空がシオンを拒絶しないのは助かるけど。



 GW前最後の登校日。あたしはシオンを体育館裏に呼んだ。


「さて、成果を報告してもらおうかな」

あたしはシオンに尋ねる。


「えっとね…、○○塾に通ってるらしいよ。凄いよね」


マジかよ。有名な進学塾じゃん。馬鹿なあたしでも知っている。

あの真面目さは、伊達ではないのか…。


「それで、住所は?」

ここは絶対押さえておきたい。


「具体的な場所は…ごめん。だけど、☆☆線の☆□駅を利用してるらしいよ」


なるほど。あたしはその駅の時刻表を携帯で調べる。

電車なのに、1時間に2本しか来ないのかよ。どんだけ田舎なんだ?


駅周辺も調べる。…家が多いな。賑わう駅ではなさそうだ。

これだけじゃよくわからないから、1度下見しないとな。


「ねぇ…カズラ。本当に黒空さんを消すの?」


「そのつもりだけど?」

今更何でそんなこと聞くんだ?


「やめようよ…。黒空さん、良い人だよ」


シオンにとってはね。あたしにとっては、ウザいクラスメートだ。


「シオンの家で言った通り、あんたには迷惑をかけないよ。さっき教えてもらった情報で十分だから。あとはあたし1人でやるよ」


「そうじゃなくて…、黒空さんを消してほしくない」

はっきりと反対の意思を示したシオン。


この間シオンの家に泊まった時は、そこまで言ってなかったのに…。

プライベート調査で情でも移った?



 情報はあるんだ。シオンの意思なんて無視しても良いけど

今後、顔を合わせづらくなるのは間違いない。


うまく説得しようにも、あたしよりシオンの方が黒空と関わっている。

そんな状況でシオンの意思を変えさせるのはほぼ不可能だ。


さて、どうしようかな?

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