9話)信じて、お願い、セシルさん! ドジで逆転、それしかない!
魔女?
火あぶり?
今度こそ、私、死んじゃうの?
こんなナイスバデェを世界は失っちゃうの!
〈チャラン……〉
あれ?
かすかに? ……この音は……。
ちょっと、冷静になった。
そういえば、セシルさんは?
……。
壁ドン、だああぁぁぁっっっ!
私の腕の中で、ふるふると怒りにうち震えていらっしゃる。
セシルさんのふわふわふんわり綿菓子みたいなボブカットが私の目の下に。
うつむいて、自分を守るように自分を抱きしめてる。
そりゃ、そうだよね。
これから何をされるのかって思えば……。
まさに魔女の前の猫。無抵抗。
その時、窓から月明かりが差し込んだ。
あれ?
なんか、違う?
セシルさんの頬が紅いのが見えた。
もしかして、この人って……。
「信じてください」
耳に吐息を流し込むように。
「は、はい……」
あ、このセシルさんの熱っぽい反応……。
間違いない!
同性だから分かる。って、実際の深いところなんてわかんないんだけど。
所詮、私だし!
でも、ここは押し通す!
これが正解の選択と信じて!!
「セシルさん」
「はい……」
「私は子供たちの様子が気になっただけなのです」
これは本当。
「今は大変な時、私と一緒に寝ようなどとせがんでいたのもきっと……」
「は、はい……」
セシルさんの声、裏返ってる。
セシルさん、シスターのこと尊敬していたっていってた。だから最古参の私は彼女の遺志を受け継いで、ここに残って世話人をって。えらいなあって、思ったけど、つまり……。年は、違いすぎているはずだけど。関係ないよね、恋には。
「あ、あの……。クローネ、さん……」
「はい?」
「あ、あの、信じます、信じますから。あのぅ、少し、離れて……」
「いえ、大きな声で話せば、きっと敏感な子供たちが起きてしまいます」
「はいぃ……」
「今は、このままで」
「は、はい」
あ、見上げたセシルさんのうるんだ瞳、本当に猫みたいでかわいいなあ。
って、そんなことじゃなくて!
必死、必死なんだから、私も!
使えるものなら何でも使うんだから!
この美貌、ナイスバディ、いま使わなくてどうするの?!
ドジを逆転させるの!
ドジったことがかえって良かったって。
そういうことなんだ、きっと。
「信じて、くれますね?」
「は、はい……」
〈チャララララーーーーンッ〉
頭の中で、ついに盛大な正解音!!
やったね、私!
バッドエンド回避!
これでまた、子供たちの楽園で!
……でも、セシルさんのこと、どうしよう?
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