夜明けを待つ
本当は魔法の目を使いたくない。もう、こんなつらい思いをするなら。思い出すだけで心が苦しくなって、ひたすらに自分を慰めるしかなかった。組みたい人はいたのは本当だ。でも、組んだところで何になるのだろう。どうせ、本当の自分を取り繕って接している相手なのに。
私は、本当に思っていること、好きなことが言えない。「決定的なこと」が起きてしまってから、自分の気持ちよりも人のことを一番に考えてしまい、本当の気持ちを置き去りにしてしまっている。
―――結局、班決めはwin-winだったのでは?
負け惜しみのようにそう問いかけて、自分を正当化してしまう。そんな自分が嫌いだ。
―――でも、高校では本当の気持ちを出して、ありのままの自分でいたい。
そう思うと、心の中にほんのりと明かりが灯る。部屋にある壁掛けのカレンダーを見て、今日の日付のところに触れる。高校の入学式まであと三日だ。私は意気込んで、ベッドに潜り込み、夜が更けるのを待った。
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