3
トイレで目を覚ます。
そこから皆と合流して、自己紹介を交わした後、職員室へ行くのを止めて、他の教室の上の窓から入るのも止めて、廊下の窓ガラスを割るのも、私は必死に止める。
しまいには黄太くんが、入れない教室の鍵をバットで壊そうとするから、それもどうにかして止めた。
「え? でもそうしたら、出来る無いよ……」
それでも構わないから、空いている他の教室を探そうと、提案してみる。
「……分かった。シロがそこまで言うなら、一旦そうしましょ」
紅さんはポンポンと、私の頭を撫でた。
「シロさん、意外とぐいぐい来ますね……」
「取り敢えず、二階に上がるか」
蒼くんと黒田先輩も納得してくれて、ぞろぞろと歩き出す。
皆が揃っている光景に、ほっと胸を撫で下ろして、私も二階へ向かおうとする。
「……ねぇねぇ。ちょっと良い?」
けれど背後から黄太くんに呼び止められて、何かと尋ねる。
ゴンッと、側頭部に鈍い痛みが走った。
「君さ……誰?」
思い切りバットを振られて、流石に立っていられず、私は床に倒れ込む。
「俺さ、学校のほとんどの奴は何となく覚えてるんだけど……君、どう考えても、会った事ないんだよね」
横になった私の体を、黄太くんは蹴飛ばして、廊下の端へと追いやった。
「……あの顔の無い化けの者の仲間? 悪いけど、アイツ等には絶対、手を出させない。アイツ等は俺が守って……ちゃんと元の世界に戻す」
黄太くんから、冷たい視線を感じる。
「邪魔するな」
けれど今は何より気持ちが悪かった。吐きそうで、うずくまる。
そうしているうちに、黄太くんの足音がして、次第に遠ざかっていく。気付くと周りは、何の音もしなくなっていた。
「え? うるさいって? はいはい、ごめんねー! 確かに、自分で試行錯誤してみる事も大事か。ほんじゃ、がんばれーーーー☆」
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