第14話 インスタンスダンジョン 後編
4階層も林エリア?だった。
木が疎らで見通しが良い。
ここにはゴブリンとオークがいるようだ。
ゴブリンはともかくオークは単独ではまだ難しい。
ここからは連帯して戦うことにした。
既にエルザのレベルは追い着いてレベル15になったので経験値分配を等分に切り替えた。
さらに俺は職業を勇者に替えた。
*鑑定
名称: ダンジョンゴブリン
ランク: F+
特技: 武術、罠設置
素材: 魔石、武器、初級HP回復ポーション
*鑑定
名称: キラーチキン
ランク: E
特技: 突く、鳴き叫ぶ
素材: 魔石、羽毛、鳥肉、産み立て卵
*鑑定
名称: ダンジョンオーク
ランク: E+
特技: 武術、威圧、身体強化
素材: 魔石、武器、オーク革、オーク肉バラ/ロース
ん? ダチョウのような鳥もいるな。
キラーチキンという名前らしい。
なんと! 卵が手に入るようだ。
この世界にはニワトリはおらず、養鶏も無いので卵は偶然森で発見するくらいしか入手方法がないのだ。
もちろん、市場に出ることもない。
しかも、その拾った卵はいつ産んだのか分からないので雛が孵る直前の卵だったりすることもある。
これはたくさん確保しておきたい。
久しぶりにオムライスや茶わん蒸し、プリンが食べたい。
豚肉に似たオーク肉も手に入るのでカツ丼も食べたいな。
「この階層はレベルアップに丁度良さそうだ。それにドロップアイテムも素晴らしい。長めに狩るよ。」
「ケルビンさん。出来れば再度3階層に戻って狩りたいです。」
「まだ肉が足りないのか? もう十分だろ?」
「私の主食は肉ですよ?! 特にブルの肉を身体が欲しています!」
「まあ、もう一度このIDに来れるか分からないから4階層の魔物を狩り尽くしたらまた3階層を覗いてみよう。それまでにリポップしてれば良いけどな。」
「はい! 4階層を早く殲滅しちゃいましょう。エミリーさん、バンバン魔法を撃ってください!」
「仕方ないわね。任せておきなさい。」
エミリーの魔法が炸裂すると周囲の魔物がこちらを認識し、ドドドドっと音を立てながら攻めて来た。
怖い! 怖すぎる!!
俺も範囲魔法を連射して何とか耐えた。
俺もエミリーもスタンピードのおかげでレベルも魔法の威力も上がっていたおかげでオークも一撃で葬れるようになっていた。
1時間ほどで4階層を殲滅し、約束通り3階層へ戻った。
幸運なことに3階層の魔物はリポップしていた。
3階層と4階層を3度ずつ殲滅を繰り返し、エルザも満足したので5階層に向かうことにした。
おかげでレベルも上がり、全員レベル20になった。
『レベル20に到達したので中級魔法が開放されます。』
全中級魔法:火魔法▽-ファイアスピア(炎の矢)、メテオ(流星)
水魔法▽-ウォータースピア(水の矢)、ウォーターストーム(嵐)
風魔法▽-エアショット(風弾)、エアスラッシュ(風の斬撃)
土魔法▽-ピットホール(落とし穴)、コメット(隕石)
氷魔法▽-フリーズ(凍結)、ブリザード(吹雪)
雷魔法▽-ショックボルト(感電)、ライトニング(稲妻)
光魔法▽-ハイヒール(高治癒)、ブースト(上昇)、結界
闇魔法▽-アンラッキー(不幸)、チャーム(魅了)、
パラライズ(麻痺)、ポイズン(毒)
「そう言えば、俺たち休憩していないよな? 飯も食べてない。何時間狩っているんだ?」
「そう言えばそうね。私もMP回復ポーション以外、口にしてないわ。」
「私は獣人なので体力ありますよ!」
「とりあえず、それは後で考えよう。まずは目の前にある巨大な扉の奥だな。」
5階層はボス部屋のみのようだ。
「ポーションを飲んでHP/MPを全快にしておこう。武具に不具合が無いか確認して。」
「「問題なし!」」
「よし、行くぞ!」
「「おう!!」」
大きな扉を3人で押し開けた。
真っ暗だった部屋の壁にあった松明が次々と灯る。
そして、大きな丸いフロワーの真ん中に魔法陣が現れた。
魔法陣が輝くと周囲から黒い煙が集まり出し、ボスが徐々に姿を現した。
*鑑定
名称: ダンジョンハイオーク(ダンジョンボス)
ランク: D
特技: 斧術、威圧、咆哮、身体強化、剛腕
素材: 魔石、バトルアックス(斧)、オーク革、オーク肉カルビ/モモ
斧を持った先程まで戦っていたオークよりも一回り大きいオークが立っていた。
「ブオオオオオオ!!」
威圧を乗せた咆哮を放った。
俺はちょっと驚いた程度だったが、エミリーとエルザは硬直してしまったようだ。
『精神耐性を獲得しました。』
「2人とも大丈夫か!」
「「はい!」」
復活できたようだ。
「行くぞ!」
「ライトニング! ブリザード! ファイアスピア!」
エミリーの中級魔法が炸裂した。
今度はオークが硬直した。
そこへ俺とエルザが切り込む。
俺は剣で肩を、エルザは槍を腹に突き刺した。
痛みで我に返ったオークが大斧を振り下ろす。
エルザが盾で攻撃を押さえ、その隙に再び俺が斬りつける。
先程は押し切ることが出来なかったので、今回は魔法を乗っけて斬った。
「エアスラッシュ!!」
オークの首が宙を舞い、煙となって消えていった。
消えた場所に転移魔法陣が現れた。
帰り用の魔法陣なのだろう。
ボスドロップは全て落ちていた。ラッキー!
お待ちかねの宝箱には「マジックバック・中」が入っていた。
「俺とエルザにはスキルがあるからマジックバックはエミリーが持っておいてくれ。」
「ありがとう。そうさせてもらうわ。」
『インスタンスダンジョンのクリアーを確認しました。スキル「ダンジョンウォーク」を獲得しました。』
ダンジョンウォーク:ダンジョン内のどこからでも転移魔法陣に転移することが
できる。クリアー済み階層限定。
神が別れ際にダンジョンコアに触れてこいって言ってたなと思い出す。
しかし、ダンジョンコアの間は結界で守られていて入れないのが常識だ。
神が言ってたくらいだし、まあやってみるか。
そのまま奥にあるダンジョンコアの間へ向かった。
確かに結界は張られていたが、すーっと中に入ることができた。
使徒になったからかな?
言われた通り、コアに触れてみた。
すると脳内に声が聞こえた。
『やあ、待っていたぞアリエス様の使徒よ。私はダンジョンコアに宿る精霊シオンだ。通称ダンジョンマスターってやつだな。お前たちが思っていたよりも早くクリアーしちゃったからまだ報酬の用意をしていなかったのだ。すまんの。だから要望を聞こうと思う。神ほどの力はないがそれなりの権限は持っておる。武具でもスキルでも金でも良いぞ。なるべく叶えてやろうと思っておる。さあ、願いを述べよ。』
んー。何が良いかな。
急だから思いつかないぞ。
3人で目を合わせキョロキョロするが、思い浮かばない。
「それじゃ。このダンジョンで拾ったアイテムを買い取ってもらえませんか? さすがにこれだけの量を買い取りに出したら怪しまれるし、経済に影響を及ぼしてしまいそうなので。」
「ケルビン様! 肉だけは!! 肉だけは売らないでください。お願いします。」
エルザが涙目で訴えた。
「わかってるよ。肉は売らないさ。」
「ふぅー。良かった。」
『わかった。では、ダンジョンコアに触れることで売買が可能になるダンジョンショップを設定しよう。君たちのおかげでダンジョンポイントが溜まってるし問題ない。10分ほどそこで寛いでいてくれ。』
コアの隣にテーブルと椅子、ティーセットを出して待っていた。
『待たせたな。ところでここはダンジョンだぞ? 寛ぎすぎではないか? 確かに寛げとは言ったが。まあ良い。試してみてくれ。』
ダンジョンコアに触れ、ダンジョンショップと唱えた。
するとコアの隣にカウンターが現れ、メイド服を着た三毛猫さんが2足で立ってお辞儀をしていた。
「いらっしゃいませにゃ。ダンジョンショップの看板娘のミーちゃんにゃ。今日は購入ですか? 売却ですか? 早く答えるにゃ。」
「売却です。買い取ってください。」
「わかりましたにゃ。カウンターの下にあるボックスに買取品を入れて欲しいにゃ。」
試しにウルフの毛皮を入れてみると吸い込まれていった。
どうやら異空間につながっているようだ。
これならいくらでも入るから安心だ。
俺はインベントリに溜まってしまった不要なドロップ品を次々と投入した。
「随分溜めてたみたいですにゃ。まだ止まらないのかにゃ?」
「まだまだありますね。」
「お前のアイテムボックスは異常にゃ。どれだけ容量があるのかにゃ? ちなみに買取金額は相場で買い取るから安心して良いにゃ。騙したりしないにゃ。」
「以上です。いくらになったかな?」
「ちょっと待つにゃ。これだけあったら査定に時間かかるのは当たり前にゃ。お前はアホなのかにゃ?」
「ごめん。待つよ。よろしくお願いします。」
「分かれば良いにゃ。計算できたけど、今回は初回特典で上乗せしてやるにゃ。感謝するにゃ。良し! 30金貨でどうにゃ?」
「OKです。」
「またのご来店をお待ちしておりますにゃ。あっ! 忘れてたにゃ。ここはインスタンスダンジョンだったにゃ。可愛いミーちゃんにまた会いたいなら通常ダンジョンも攻略してコアに触れて帰れにゃ。またサービスしてあげるかもしれにゃいぞ?」
「了解。通常ダンジョンを攻略した後でダンジョンコアに触れてダンジョンショップを起動すればまた可愛いミーちゃんに会えるんだね。」
「そんなにミーちゃんに会いたいのかにゃ? 仕方にゃいからお前たちの担当をしてやるにゃ。」
ちょっとツンデレなミーちゃんに手を振ってインスタンスダンジョンを後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます