第13話 インスタンスダンジョン 前編
サーチを起動しつつ、前進してみる。
とりあえず、一本道のようなので警戒しつつ進む。
その先は袋小路になっており、広めの空間が広がっている。
空間には魔物が溢れていた。
そして、最初に現れた魔物を鑑定してみた。
*鑑定
名称: ダンジョンスライム
ランク: G+
特技: 悪食、溶解液
ドロップ: 魔石、癒し草、スライムゼリー
見た目通りのスライムだった。
しかし、地上にいるスライムはGランクであり、特技も無かった。
悪食:何でも手当たり次第に食し、エネルギーに変える。
溶解液:強酸の液。接触したものを強烈な酸で酸化させる。
「スライムを狩ってもエミリーと俺はレベルが上がらないと思うからエルザが狩って良いよ。危なかったら助けるから安心して。」
「わかりました。頑張ります。」
パーティ編成経験値配分をエルザ100%にした。
俺たちと同じレベル15になるまではこのままでいこうと思う。
「溶解液が危険だから一気にコアを突き刺して砕いちゃって。」
「了解。やあ!」
スライムはコアを失い、解けて地面に吸収された。
残ったのは魔石とスライムゼリー。
これがドロップアイテムというものだ。
地上では魔物を倒せば死体が残る。
ダンジョンでは死体はダンジョンに吸収され、ドロップアイテムが出現する仕様だ。
*鑑定
名称: スライムゼリー
特徴: 糊、ゼラチン、塗料等、様々なものの素材になる。
エルザのドロップ比率は、魔石が100%、癒し草が50%、スライムゼリーが30%程度だった。
レアアイテムのドロップ率は幸運値(Luck)に依存するので、幸運値の高い俺はもっと癒し草やスライムゼリーをドロップするだろう。
どちらのアイテムも今後役に立ちそうなので俺とエミリーも参戦し、スライムを狩りまくった。
さらに俺は幸運値が上乗せされる勇者に職業を変更した。
HP回復ポーションの材料になる癒し草は、俺の作った革命的美味なポーションの需要が高まり尚更必要になるだろう。
「あれ? エルザ。今、癒し草をどこにしまった? それに剣と盾はどうした?」
「アイテムボックスに収納しましたよ?」
「エルザはアイテムボックスを持ってなかったよね? いつの間に?」
「やだな、ケルビンさん。猫耳のおじさんから料理を引き取った時にケルビンさんがアイテムボックスに収納してたじゃないですか。」
「えっ? あれだけでスキルを覚えたの? エルザのラーニングはチートすぎるだろ! 主人公の座が危ない気がしてきた。」
「でも、ラーニングには問題があるんです。ケルビンさんのアイテムボックスは上位スキルですよね? 上位スキルをラーニングしても劣化版の下位スキルしか獲得できないんです。」
「なるほど。じゃあ、時間経過はあるし、容量にも制限があるってことね?」
「はい。一応、私のアイテムボックスは馬車3台分くらいは入るようです。」
「結構大きいね。昔の俺なんかリュックに入る程度しかなかったんだよ。アハハ。」
チマチマ一匹ずつ潰していたエミリーが振り向いた。
「面倒くさいから一気に焼き払っちゃうね。ファイアストーム!」
エミリーの範囲魔法で部屋にいたスライムが殲滅された。
そして、中央には下へ降りる階段が出現した。
全員で床に転がるドロップアイテムを拾い集めた。
「あっ、スライムが復活した。」
どうやら5分ほどでリポップ(復活)するらしい。
リポップしたら範囲魔法で殲滅を繰り返した。
それから十分癒し草とスライムゼリーを確保できたので下の階層へ向かうことにした。
階段を降りながら魔法を撃ちまくったエミリーがMP回復ポーションを呷る。
「うん。うまい!」
エミリーはジュースを飲み干したように清々しい顔をしている。
市販ポーションは口にするのを躊躇っていたのに。
「エルザ、レベル上がったかい?」
「はい。2つ上がりました。」
階段を降りると草原が広がっていた。
ギルド情報とは違っている。
ここのダンジョンは洞窟迷宮のみだったはずだが。
すでにギルドの知らないIDなので変わっていてもおかしくないか。
『サーチ』
魔物が点在している。
それになかなかエリアは広いようだ。
*鑑定
名称: ダンジョンホーンラビット
ランク: F
特技: 頭突き、ジャンプ
ドロップ: 魔石、毒消し草、角、毛皮、兎肉
ウサギが分散しているので散開し、それぞれで狩りまくった。
俺はエルザから槍を借りて槍の練習をしてみることにした。
エルザは大剣をぶん回してウサギを粉砕している。
グロい。。。
俺はすぐに槍術を獲得し、うまく扱えるようになった。
あれ? ドロップアイテムの他に木箱が落ちてる?
箱を開けると小さなナイフが入っていた。
木箱は宝箱だったようだ。
ボス以外で宝箱を落としたのはケインの時も含め初めてだった。
だが、このナイフは使い道がないので収納。
その後もウサギを乱獲したが、エルザのレベルが2つ上がっ後は頭打ちになったので次の階層に向かうことにした。
草原のど真ん中にある不自然な階段を降りる。
3階層は森エリアだった。
ここにはウルフが群れているようだ。
さらにワイルドボア、ワイルドブルがいるらしい。
*鑑定
名称: ダンジョンウルフ
ランク: F+
特技: 遠吠え、連帯、噛みつく、引っ搔く
ドロップ: 魔石、冷冷草、犬歯、毛皮、狼肉
*鑑定
名称: ダンジョンワイルドボア
ランク: F+
特技: 突進、頭突き
ドロップ: 魔石、露草、牙、毛皮、猪肉
*鑑定
名称: ダンジョンワイルドブル
ランク: E-
特技: 突進、頭突き、統率、踏みつける
ドロップ: 魔石、魔力草、角、牛革、牛肉
ここは獣エリアで肉祭りのようだ。
エミリーとエルザの目の色が変わった。
目が血走っている。
エルザはさらに涎まで垂らしているのだが。
見なかったことにしようと思う。
槍はエルザに返して、今度は魔法の熟練度を上げようと思う。
職業を賢者に替えた。
俺はエアカッターで首を刈り取っていたが、ふと振り向くとエミリーは森ごと焼き払っていた。
左手を腰に右手にはMP回復ポーション。
高笑いをしながら爆炎をまき散らしている。
エルザの方は涎を垂らしながら逆に魔物を追いかけ回している。
魔物の方が正気を失っているエルザに恐怖しているようだ。
正直、2人が怖いです。
しばらくして大量の肉を手に入れ満足した2人が戻ってきた。
「さっき言い忘れたんだけど、このダンジョンでは通常の魔物でも稀に宝箱を落とすみたいだよ。俺は2つ出たよ。1つはナイフでもう1つは指輪だった。」
「そうなんだ。ケルビンは幸運値が高いからじゃないかしら?」
確かに俺の幸運値は高い。
逆にエミリーはかなり低い。
エミリーにはさっき手に入れた指輪を装備してもらおう。
*鑑定
名称: 幸運の指輪
特徴: 幸運値(Luck)+200
「じゃあ、この指輪を装備してみて。幸運値が上がるらしいから。」
「あら! ケルビンったら。恥ずかしがらなくても良いのよ? 結婚したいならはっきり言ってちょうだい。」
「もうちょっと大人になったらね。」
「ケルビンの意気地なし。」
「私はどうすれば良いのだろう。そうだ、ケルビンさんの妾にしてもらえば良いのか。」
2人をスルーして次に向かうことにした。
4階層への階段は、森の中の大木の樹洞にあった。
エミリーに消し炭にされてたら消えていたかもしれない。
危なかった。
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