第11話 新しい仲間

15歳の成人したばかりの2人が奴隷商を訪れた。

明らかに場違いだった。

お前ら金あるのか?って目で見られている。

スーザンさんについてきてもらえば良かったと後悔した。


「すいません。冒険者仲間を探しています。戦闘奴隷を見せていただきたいのですが。」


「はぁ? お前らここがどこなのか分かっているのか? それに戦闘奴隷は高いぞ。」


「はい。お金ならあります。」


奥からスーツをビシッと着た紳士が現れた。

睨まれた若い店員が「失礼しました」と言って走って逃げていった。


「お客様、失礼いたしました。あの者には後できつく叱っておきますのでお許しください。」


「はい。気にしてませんので。それで前衛で一緒に戦える仲間を紹介してもらえませんか?」


「承知いたしました。それでは準備いたしますのでこちらのお部屋でお待ちください。」


彼は支配人さんで鑑定眼を持っていた。

そのため、俺たちのステータスは見られていると思って間違いないだろう。

それに最近話題になっている町の英雄であることもわかっているようだ

豪華な応接室でおいしいお茶を飲んでいると支配人が戻ってきた。


「お待たせいたしました。多少、キズやケガがありますが戦闘には問題無いと思われます。いかがでしょうか?」


連れられてきた少女には獣耳が付いていた。

尻尾が垂れ下がっていて心配そうに見つめている。


*ステータス

 名前: エルザ

 称号: 狼人族、呪われし少女

 職業: 奴隷 補正値:全ステータス-10%、Luck=10

 性別: 女

 年齢: 16歳

 レベル: 5


 HP: 100(-10)

 MP: 50(-5)

 STR: 120(-12)

 INT: 30(-3)

 DEF: 120(-12)

 AGI: 200(-20)

 DEX: 100(-10)

 Luck: 100(-90)


 スキル

  封印中(嗅覚強化、威圧、気配探知、縮地、身体強化・中、加速、回避、剛腕)

  

 戦闘スキル

  封印中(剣術、槍術、斧術、盾術、弓術、格闘術、投擲術)

   

 ユニークスキル

  封印中(狼化(狼に変身し、ステータスが1.5倍になる)、ラーニング)


彼女を見つめ悩んでいると支配人は彼女の身の上話を始めた。


「この子の暮らしていた村は奴隷狩りに襲われ壊滅しました。

その時に子供だった彼女は奴隷として売られたのです。

彼女にはユニークスキルにラーニングというものがあったそうです。

ラーニングは見たスキルを自分のスキルとして獲得するという特殊なスキルです。

しかし、それを知った奴隷狩りをした盗賊は呪いをかけ封印したのです。

いつか自分たちよりも強くなり復讐されることを恐れたからです。

その盗賊集団は捕まり死刑となりました。

そのため、彼女の呪いを解く方法が分からなくなりました。

封印さえ解ければ彼女は素晴らしい戦士になることは確実です。

どうか、彼女を救ってあげてください。」


「なるほど。ちなみに奴隷契約を外すことは可能ですか? マイナス補正が邪魔なので。」


「可能ですが、その場合裏切ることもできるようになってしまいますよ?」


「俺は彼女を信じようと思います。もちろん、呪いを解く方法も探すつもりです。」


「そうですか。では、奴隷登録解除の手続き費用と管理費だけいただきます。5金貨になりますがよろしいですか? 彼女を幸せにしてあげてください。」


「了解しました。エルザさんも良いかな?」


突然名前を呼ばれたエルザはビクッとしてから頷いた。

しまった。まだ名前を聞いていないのに名前呼んじゃったよ。

支配人さんは苦笑いしてる。

鑑定したのがバレバレだよね。

お金を支払い、エルザと共に奴隷商を後にした。

それからエルザの洋服や生活必需品を買いそろえ、宿に戻った。

晩御飯はもちろんオーク料理のフルコースだ。

エルザは最初は遠慮していたが、涙を流しながら貪るように食べていた。

食後に俺たちの正体と使命を話した。

エルザは平伏し、忠誠を誓ってくれた。

エルザはエミリーと相部屋にして、女の子同士で親睦を深めてもらおうと思う。

明日、旅立つ前に教会で神にダンジョンへ行くことの報告し、エルザを紹介しよう。

もしかするとエルザの呪いを解く方法を教えてもらえるかもしれない。


翌朝、朝食を食べに食堂へ降りるとエルザが椅子の上で正座していた。

床に座ると言って聞かなかったが、エミリーの説得でこの形で妥協したらしい。


「ご主人様は町の英雄様でもあったのですね。尊敬いたしました。さらなる忠誠を誓います!」


「昨日言ったと思うが、俺はエルザを奴隷として扱わない。仲間だからご主人様と呼ぶなと言ったはずなのだが。まあ、ゴブリンジェネラルを倒して英雄様と呼ばれているようだが、俺たちのことは一部の人しか知らない。正直、面倒だから目立ちたくないんだ。だから、英雄様も禁句だ。わかったね。」


「畏まりました!」


本当にわかっているのだろうか。

朝食後、ギルドへ向かいエルザの冒険者登録とパーティ登録を済ませた。

その後、エルザの武器と防具を買った。

エルザには大剣と槍、そして盾を装備してもらう。

場合によって武器を替えながら前衛で戦ってもらうつもりだ。

防具は防御重視のフルプレートアーマーだ。

人狼族は素早さ(AGI)と力(STR)が上がりやすく、多少重装でも動き回れるそうだ。

次は教会だ。


「シスターメイ。おはようございます。」


「あら、おはようございます。ケルビンさん、エミリー。それと?」


「エルザです。新しい仲間です。」


「そうですか。今日もお祈りですよね? また光りますかね?」


「おそらく光ると思いますので驚かないでくださいね。」


「はい。心の準備はできてますので大丈夫です。」


「じゃあ、3人でお祈りしよう。」


3人で並んで跪き祈りを捧げた。


『神託発動』


「久しぶりだな、我が使徒よ。今日は一人増えてるようだが。」


「神様、お久しぶりです。新しい仲間のエルザです。今日は彼女の紹介とダンジョンへ旅立つことを報告に来ました。」


「そうか。いよいよダンジョンに挑めるほど強くなったのだな。では、新しい仲間にも儂の加護を与えようか。ん? 呪いがかかっているな。邪魔だから消してしまうぞ。これで大丈夫だろう。」


「あはは。その呪いの解除法も聞こうと思っていたのですが、あっさり解除されたようですね。さすが神様ですね。」


「もっと褒め称えても良いのだぞ?」


ちょっとデレたようだ。


「それにしてもエルザは変わったスキルを持っているのぉ。儂の加護は魔法特化の学習型スキルじゃ。彼女のラーニングはスキル特化型じゃな。魔法への適正が種族の影響で皆無だからとても合っていると思うぞ。彼女は確実に強くなるだろう。良い出会いをしたな。」


「それでは行ってきます。」


「ああ、もっと強くなってこい。ダンジョン最深部にあるダンジョンコアに触れてくるのを忘れるなよ。そして使命を早く果たしてくれよ。」


教会へ戻ってきた。

相変わらず、シスターメイは放心状態だ。

今日はさらにエルザが追加されている。


「エルザ、行こうか。」


「え? あっ、はい。あの、今の方って、もしかして。。。」


「創造神アリエス様だよ? 俺たちが使徒だって話したよね。それにエルザも今、使徒になったんだけどね。呪いも解いてくれたようだからステータスを確認してみて。」


*ステータス

 名前: エルザ

 称号: 創造神アリエスの使徒、狼人族、Fランク冒険者

 職業: ナイト 補正値:DEF+15%、STR+10%、HP+10%

 性別: 女

 年齢: 16歳

 レベル: 5


 HP: 100(+10)

 MP: 50

 STR: 120(+12)

 INT: 20

 DEF: 120(+18)

 AGI: 200

 DEX: 100

 Luck: 100


 スキル

  嗅覚強化、威圧、気配探知、縮地、身体強化、加速、回避、剛腕

  

 戦闘スキル

  剣術、槍術、斧術、盾術、弓術、格闘術、投擲術

   

 ユニークスキル

  創造神の加護(成長促進、全スキル適正)、狼化、ラーニング、神託



ナイトか。

前衛にはピッタリな職業だ。


臭覚強化:臭いで相手の位置を把握し、追跡可能。

加速:攻撃時に瞬間的に素早さがアップする。

回避:敵の攻撃を回避しやすくなる。

剛腕:攻撃時に攻撃力がアップする。

槍術:槍の扱いがうまくなる。槍スキルを覚える。

斧術:斧の扱いがうまくなる。斧スキルを覚える。

盾術:盾の扱いがうまくなる。盾スキルを覚える。

弓術:弓の扱いがうまくなる。弓スキルを覚える。

格闘術:素手での戦いがうまくなる。格闘スキルを覚える。

投擲術:物を投げるのがうまくなる。投擲スキルを覚える。

ラーニング:スキルを見て覚えることができる。


「本当に私も使徒様になってますね。それに呪いも解けてる。神様に感謝します。」


「そろそろ時間だから宿にお願いしていた料理を引き取って馬車乗り場へ向かおう。」


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