第13話・呼び出し
無事?「ミソ」も手に入り私は申し訳ない気持ちはあったが、懐かしい味に密かに喜んでいた。
ありがとうございます。兵士さん。
最近ではそんな兵士さん達とも、結構仲良く? なって世間話などもするようになった。
そして、最近では新たな悩みが……。
「マリアーヌちゃん。これ土産。この前女房の実家に行ってさぁ」
「マリアーヌちゃん。これ食べる? 最近城下で人気の菓子屋の焼き菓子」
「マリアーヌさん、良かったらこれを……受け取って下さらぬか……」
そうなんです。こうして兵士さん達が私のところに色々とプレゼントを持って来てくれるようになったんです。有難いとは思うんですけど……。
モレシャン島に住んでいた頃に比べて私は随分大事にされていると思う。
兵士さん達だけじゃなく、最近は城で働く侍女さん達からも何故か?「流石マリアーヌ様」と毎日褒められるし? 褒められるようなことは何もしていないんですけどね? 寧ろ私のせいで皆さんにご迷惑ばかりお掛けしている感じで……逆にこっちが申し訳なく思うぐらいで。
でも流石にこんなに沢山のプレゼントを貰っても……。
お返しが……これ? どうすれ良いんでしょう? と思い、レッジンさんに相談することにした。
「よう! マリアーヌちゃんよ。人気者だなぁ相変わらず? ガハハハハッ。ほらこれ、俺からのプレゼントだ! ガハハハハッ!」
「え? レッジンさんまで? 何ですかこれ?」
「ハハハハハッ聞いて驚くなよ? この前の遠征で手に入れた最高級のシルバーフォックスを使ったコートだ! もう直ぐ冬がやって来るからなぁ。この国の冬は、アンタが暮らしていた南国のモレシャンとは違って冷えるぞ? だが安心しろ。このコートがあれば大丈夫だ! ガハハハハッ」
いつものように豪快に笑うレッジンさんだが、そんな高価な物を……。
「ええ? そんな高価な物なんで私に? それにそんな高価な物受け取れませんよ」
「気にするなって。最近陛下が戦闘に行かなくなってなぁ。俺達も暇なんだよ。ガハハハハッ」
「いや、暇だからってコレ……こんな高価な物頂いても、私お返しとか出来ないし……」
「あ? お返しなんてそんなケチくせぇこと、この世界最強と言われたシュバイツェルン帝国軍、軍人の俺が望むわけねぇだろ? そんなくだらねぇこと考えなくていいんだよ! お前さんはよぉ?」
「でも……申し訳ないわ……それにレッジンさんだけじゃなく、こんなに……皆さんが」
私は厨房のテーブルの上に置かれた兵士さん達からのプレゼントの山を見つめた。
「ハハハハハッあいつらも、通って来ているのか。まあいいや。まあこれは俺達のほんの感謝の気持ちだから受けっとってくれよ」
「感謝の気持ち?」
私は訳がわからず聞き返した。
「ああ、今まで何を出しても殆ど食べることがなかった陛下が、最近はちゃんと
は? 今、城が凍って外に出れなくなるって言った? 何それ?
バカなの? あの人、本物のバカだったの?
私は呆れて言葉を失った。
「だから、俺達の
そう言って笑顔でレッジンさんが去って行った。
「氷帝」まさに歩く兵器ね……。
──私が昼食の片付けを終え、夕食の下ごしらえを行っていると、ランパートさんが訪ねて来た。
「マリアーヌちゃん。忙しいところごめんね? ちょっといい?」
珍しいわねぇ? ランパートさんが真面目な顔で私を呼ぶのって?
その突然の訪問に少し私は戸惑ったが、用件を聞いた。
「何ですか? ランパートさん?」
「実は……陛下がマリアーヌちゃんを呼んでいて……」
え? 何? 私また何かやらかした? それになんかランパートさんの様子も変だし……。
何? 今度は? 私、今度こそ殺されるの??
それとも、本当に夜伽に? いや、ないない。それだけは絶対ないわ。陛下が私を……。
はっ! 何てことを考えているのよ私は……。
私は、恥ずかしさに咳払いをして誤魔化す。
「忙しいところ申し訳ないんだけど、一緒に来てもらっていい?」
ランパートさんのお願いなら断れないわね。
「はい。 わかりました?」
私は渋々ランパートさんの後をついて行った。
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