第10話 米軍によるキスカ島 上陸作戦 1

8月15日。

米軍は、キスカ島への上陸を開始。

アッツ島よりも守備隊が多いと見た米軍は、34,000人もの兵員を上陸させた。

キスカ島の南から上陸すると見せかけ、日本軍を南に移動させた後、北から本隊が上陸するという作戦である。

戦艦3隻、巡洋艦2隻がキスカ島に向けて激しい砲撃を行った。

しかし、キスカ島は無人である。

すべての武器は投棄されており、誰一人として残っていなかった。

米兵が続々と上陸していく。

アッツ島では日本軍は激しい抵抗を見せた。

このキスカ島でも、アッツ島以上の抵抗があるものと思われた。

しかし、上陸すれども日本兵の姿はどこにも見えず、攻撃もなかった。


米兵は、一匹の軍用犬を発見した。

この犬を追えば、日本兵がいるかもしれない。

そう思って追跡すると、なんと、犬は地雷原へと入っていき、米兵もろとも爆死したのであった。

他にも、数頭の軍用犬は発見したが、日本兵の姿はまったく見えなかった。


米兵たちの緊張は、極限まで達した。

どこかで大きな物音がし、激しい銃声が聞こえた。

ついに日本兵が現れた!

米兵たちは、見えない敵への恐怖に襲われ、夢中で銃を乱射した。


しかし、倒れているのは仲間の米兵ばかりである。

日本兵の姿は見えない。

こうして、米軍は同士討ちで122人が死亡、191人が行方不明となった。

また、キスカ湾に仕掛けた機雷に米軍駆逐艦が接触、大破した。


上陸した米兵は、地下に日本軍守備隊の司令部を発見。

しかし、やはりそこにも誰もいない。

星条旗で作られた座布団が敷かれており、黒板には、


「おまえたちは大統領のバカげた命令に踊らされている」


と書かれていた。

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