第6話 霧中のキスカ島 撤退作戦 3
第一水雷戦隊司令官は決断した。
「帰ればまた来られるからな」
艦隊は、キスカ島救出作戦を行わず、千島列島の幌筵島へと帰投した。
大本営は激怒した。
「なぜ突入しなかった! 今からでもキスカ島に突入せよ!」
その頃、激戦地であった南太平洋では、第二水雷戦隊と第三水雷戦隊が、それぞれ敵に突撃し、旗艦もろとも沈没、司令官は戦死していた。
それに比べて、第一水雷戦隊の司令官はやる気がないのではないか、との疑惑がもたれたのであった。
また、8月になれば霧の発生確率が下がり、米軍がキスカ島に上陸してくることが予想された。
米軍が上陸してしまうと、守備隊の救出は絶望的になる。
なんとしても7月中に実行しなくてはいけない。
しかし、第一水雷戦隊の司令は、そんな批判を気にすることなく、艦の舷側から釣り糸を垂らし、キスカ島周辺での濃霧の天気予報が出るのを待ち続けた。
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