第40話 エーアイ聖国建国宣言

 バカチン皇国は、ナマル王国に次ぐ大国だった、その大国を一方的に攻めて戦勝した形のアルフォンヌ領に、独立領主達が親書を送って来た。


 風見鶏的様子見だったのか、アルフォンヌ領に近い規模の大領地領主1万、中程度の領地領主1万7千、小領地の領主1万3千、合計4万の大中小領主達が全員親書で、エーアイ聖国への帰属で無く、配下にして欲しいと報せて来た。

 アルフォンヌのセバを始め、優秀な家臣団が大挙移動して来て、事務局執務局が処理している。

 諜報員の協力を得て、獅子身中の虫を排除する為、4万の領主の吟味が行われて居るそうだ。


 今まで、最大王国だったナルマ王国でさえ、帰属していた領主は9千少々だった、1万は居なかった。

 4万の領地を配下にすると、広い大陸のほぼ半分がエーアイ聖国の支配下になる。


 このタイミングを逃さず、アルフォンヌ宰相は、世界に向けて『エーアイ聖国』建国を宣言した。


 建国宣言を、世界に向けて発信したのは、エーアイ聖国が初めての事だった。

 規模的に、エーアイ聖国が世界最大の大国家になった事で出来た事、今まではコッソリ言った者勝ちの建国が普通、目立てば滅ぼしに掛かる厄介で好戦的な小国が乱立する世界だそうだ。


 こう言った面倒事は、アルが全て考え対応してくれる、私に望まれて居るのは能力の的確効果的な行使、それもアルから効果的に成るよう指示が出る。


 簡単な説明では、敵対者に二度と敵対しない様に恐怖を与える、それだけでは一般の人に恐れられるので、住民の役に立つ使い方を頻繁に行い、慈悲に満ちた神の様に振る舞う?どちらにしても魔神と恐れられる行動はしない。


 人民に喜ばれる能力の使い方は、何とか分かった様な気がする。


 ***


「何をして居る?」

「ガキが、大人の話に割り込むな!引っ込んでろ!」

「そうも行きません、この家は貴方の物では無いでしょう!」

 面倒なガキ、殴って黙らせる、とか安易に考えて居たのでしょう、殴り掛かって来た暴漢の腕を消した。

 暴漢は、殴ろうとした腕が消え、バランスを崩しスッ転んだ。


「私はキンピラは好きだが、チンピラは嫌いだ!スケさん、カクさん!捕らえなさい!!」

「「ハイ!ゴインキョ」」

 スケさん役はコルス隊長で、カクさん役はコルス隊副隊長カラク、お忍び見回り中のお遊びだ。

 又々商家の不法占拠、持ち主が帰って来ると、幾ばくかの金品を脅し取り家を返す手口、小悪党には困ったものだ。


 私は護衛6番隊、コルス隊をお供に城下見回りしている。

 リズ達が不満そうにしたが、獣耳の絶世の美女達、顔が知られ過ぎて、同行させるとお忍びに成らない。

 コルス隊は元孤児達で、私も孤児仲間の子供に見える、5人ずつローテーションで同行させている。


 AIデーターとして知っていた、黄門様の真似事、天下の副将軍は諸国を漫遊したのでは無く、城下をお忍びで回り小悪党を懲らしめて居たとか。


 小悪党は殴ろうとしたら腕を消し、蹴ろうとしたら脚を消して逮捕、衆目の面前で手足を元に治す。


 私達には、治療の合間の良い息抜きだが、目の前で起こった奇蹟、娯楽の乏しいこの世界では、尾ひれの着いた面白可笑しい話で広がり、神に守られたエーアイ聖国として根付いて行った。

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