第38話 エインセル族

「き、貴様!腕を戻せ!!」

「「「「エーアイ様を、キサマ呼ばわり!命が要らない様だな!!」」」」

リズ達が、怒りをあらわにすると、美女だけに余計に恐い。

同行の防衛隊も、全員私を神の様に崇めて居る、怒りでバカチン法皇を今にも捻り潰しそう。


己の命が、風前の灯火とも気付かず、尚も喚いてる。

「五月蝿いな『再構築』声帯消滅」


バカチン法皇、口をパクパク、目だけでキョロキョロ辺りを見回してる。

声が出なくなった事に、やっと気付いたバカチン法皇、良い年したオヤジがボロボロ泣き出した。




「大勢の訪問、当バカチン神殿にご用は何でしょう?」

中年の女性神官が、遠慮がちに言って来た。


「此方は、エーアイ聖国、エーアイ聖王!私はアルフォンヌ宰相!貴女は?」

「失礼しました、私は神殿長カシバで御座います!で?ご用の向きは?」


「そこに転がって居る男が、我が王国に使者として「攻め滅ぼす!」と『宣戦布告』して来た、我が王国防衛軍で応戦して居る!!」


「せ、宣戦布告ですか?私は何も聞いて居りません!」

と言ってカシバ神殿長は、転がって居る使者を蹴り跳ばし、気付かせ詰問してる。

「ゴロツ!エーアイ聖国に宣戦布告したとは、どう言う事だ!!お前ごときに私は権限を与えて居ないぞ」


使者はブルブル震えながら「宣戦布告など…して…居りません」


「使者殿『バカチン皇国軍総力で、貴国を滅ぼす!』と言ったのが、宣戦布告で無い?冗談とは受け止められんが」

いい加減な言い逃れをする、使者にアルが釘を刺した。


私も援護射撃だ。

「折角私、エーアイ聖王が出向いて来た事では有るので、このままバカチン皇国を滅ぼし愁いを除く事にします」


「おっ、お待ち下さい!エーアイ聖王様!!バカ法皇とその側近の不始末、私神殿長の権限で、無かった事には致しません!!バカチン法皇とその取り巻きの罪は究明致します!!」


「敵対しないなら、カシバ神殿長に処理は任せます、だが賠償として奴隷扱いの治療巫女達の開放と、身の引き渡しを要求する!!」

私の言葉に、一瞬戸惑った様子の神殿長だったが。

「エインセル族を奴隷開放します、が、58人全員の身柄引き渡しは…30人でご勘弁下さい!」


「エインセル族?」

「エーアイ聖王様!エインセル族は、我がアマゾネス族と同じ女性しか産まれない種族です」

アマゾネスのマリアが教えてくれた。

労せず、治癒能力の有ると言う、エインセル族30人が手に入った。


「勝手な言い分ですが、神殿騎士達の腕を治して貰う事は出来ますでしょうか?」

神殿長が発言を許して居るので、それなりに権限を持たされて居るのだろう、神官がオズオズ言って来た。

「聖王様に斬り掛かった者共だ、エーアイ聖王様の神罰!命があるだけ有り難く思え!!」

ベスが珍しく、声を荒げた。


「ベス、私を思っての発言、嬉しく思うが、ベスも覚えが有るでしょう、両腕が無いとまともな生活が出来なく成ります、治すのは簡単連れて来なさい」

成り行きを有利にする、芝居っぽいが寛大に言ってみた。


5人の、両腕が消えた神殿騎士がやって来た。

「修正」たった一度で、全員の腕が戻った。


「「「「「神よ!!」」」」」

見守って居た騎士達が平伏した。

⦅よっし上出来だ⦆私はニンマリ、アルも唇ひくつかせ笑を堪えていた。


神殿長の要望で、バカチン法皇の声帯のみ戻してやった。

神殿騎士が、法皇と取り巻き20人を逮捕、別室に引き立てて行った。


私の存在が、究明に拍車を掛けた様だ。

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