第37話 手加減で完全勝利
北北東に3時間、僅か150㎞走った所にバカチン宮殿が有った。
私が、この世界の地理を全く知らない事に、今更ながら気付いた。
バカチン皇国は、ナルマ王の弟の領地、ナラス領の北に位置して居る。
二人の王弟、ナラスとナリスはエーアイ聖国に、早い時期忠誠を誓ったそうだ。
まだ建国宣言して居ないのに、感心するくらいアルは遣り手だ。
途中行く手にナラス領主が待ち構えて居た。
「エーアイ聖王、加勢の軍を出します!!」
「ナラス殿、領地防衛に勤め下さい!この戦力で制圧してみます」
ナラス領主にアルが、やんわり断って先を急いだ。
国境を進んだ所で、アルが教えてくれた。
「王弟二人、ナラスとナリスは、今一信用成らん、謀反を起こす程遣る気は無さそうだが、エーアイ聖国で重要ポストに着きたい気持ちが隠せて居ない」
「そう?……あれっ!!あの馬車、使者じゃ無い?」
「追い付いた様だな!」
「どうする?」
「宮殿に入って報告するまで、待ってやるか!全員宮殿前で休憩する!」
「エーアイ、再構築前面に出した戦法面白くないか?」
休憩中、アルが面白い事言って来た。
「それ遣られると、相手戦意喪失するね」
30分休憩して、嫌な事は早く終らせたいと、神殿に向かう。
「止まれ!何者だ!!」
「エーアイ聖国、エーアイ聖王様と私はアルフォンヌ宰相!ふざけた使者に聖王様がご立腹!バカチン法皇を討伐に参上!!」
閉ざされた門を、リズ、ベス、ミズの3人が破壊した。
「押し通る!!」
行く手を阻む、神殿騎士100人程が涌いて来た。
「バカチン皇国、神殿荒らしの無法許さん!!」
神殿騎士100人が抜刀、多勢に無勢悲壮感漂う抵抗を始めた。
私は気にせず進む。
二人の騎士が、剣で斬り掛かって来た。
「再構築!」
騎士達の両腕が消えた、持つ手が無くなった剣がガランと音を立てて転がった。
二人の騎士は呆然と佇む。
斬り掛かると、腕が無くなってる、本人よりも見ていた周りが動揺する。
冷静さを無くし、状況が掴めて居ない2~3人が尚も斬り掛かって来た。
「再構築!!」
3人の両腕が消え、剣がガランガラン音を立てて転がった。
攻撃すると腕が消える!それは恐怖だろう。
残りは戦意喪失し、チビッ子護衛隊達に取り押さえられた。
神殿を進むと、例の使者がキンキラ親父に「こいつ等だ!無礼者達!!」
キロがウサギ跳で、使者を蹴り跳ばし「どっちが無礼者だ!!」
キンキラ親父、反射的にキロを殴ろうとした。
「再構築!」
キンキラ親父の右腕が消えた。
「な…何じゃこりゃ!!」
「キンキラ親父!法皇とか神様気取りで、好き放題してた様だが、エーアイ様は真の神!!お前ごときと格が違う!!平伏せよ!!!」
再生浮浪児コルスが、鼻息荒く口上した。
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