第35話 バカチン法皇

 チビッ子護衛隊と再生浮浪児達が、王宮を大掃除ピカピカに磨き上げてくれた。

 私は無駄に広い王宮を改造し、住み易く使い勝手は良くなった。

 王宮宝物庫には何も無い、唯の汚い部屋だった。

 王と王妃が、無駄使いで購入した物が一切無い、使用人達が逃げ出す時に、換金出来そうな物は全て持ち出した様だ。


 負の遺産は要らない、私個人とすれば、こんな状態の王都に住みたく無い。

 アルフォンヌには、何か思惑がある様で、私は不満を押して従って居る。



 浮浪児達の仲間が、王都の放置された農園に移り住み、芋や促成カブなどを栽培して居るとかで、再生浮浪児達のリーダーのコルスに案内させた。

 50人程の子供達が、農作業を頑張っていた。

 コルスは、面倒見の良いリーダーだった様で、集合の合図で全員が集まった。

「一人ずつ健康状態を確認します!」

 全員が病気ではないが、健康とは言えない状態、少し元気で強い身体に構築して置いた。

 直ぐには自覚出来なくても、明日辺りに「あれっ?」って不思議に思うだろう。



「皆!聞いて!育て易く収益力のある、この砂糖キビを空き地一面に植えて!それからこの芋、甘芋って言う育て易く荒れ地で育てる方が甘い芋になる!この二種類を主に栽培して!!」

 大量の芋蔓と糖キビの苗を渡し、食糧増産を促した。


 栽培に関する、疑問や不具合は、早目に相談連絡するよう指示して置いた。



 逃れて居た王都住民が、徐々に戻って来た、流民対策は、アルフォンヌが対処して居る。



 半月程、ノンビリした日が続き、王宮の改善が進んだ。


 王都王宮で、美容整形院再開との報せを、積極的には広報活動して居ないが、患者が押し掛けて来て慌ただしい毎日になった。


「エーアイ様!予約のヨハン様、重体!!御付きの方が即治療希望されて居ます!」

「順番気にせず、重症重体優先で通して!」


 だだっ広い王宮エントランスを改造、診察室治療室を数部屋構築して、私一人で運営して居るが、手が足らない。


 先入観が全く無い、浮浪児達に指導教育し、応急治療は出来て居るが、最終治療は全て私が遣らないと、放置してると命に係わる患者が多い。


 余りにも忙しく、目が回る程患者が押し寄せる、休める時に、休まなかった事を後悔した。



「私はバカチン法皇様の使者である!!いつまで放置する気だ!!」

 キラキラ衣装の男が、治療室に怒鳴り込んで来た。


「ここは美容整形院!患者以外は受け付けて居ない!!前触れも無く、突然来ても面会はしない!!」

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