第30話 S級ダンジョン攻略【2】

 期待したマジックバッグは、結局一個しか出なかった。

 駆け足で進んでいるので、粘れば出るのかも知れないが、下の階に降りた。


「地竜です!」

 ミズが教えてくれたが、巨大な亀だな。

 攻撃すると、手足首を甲羅に引っ込めて、亀さん状態、ベスが私の身長位の剛剣を、甲羅の首穴に深々と差し込み終了。


 地竜が消えた後には、甲羅の盾と大人の頭よりデカイ魔石が残った。

 ベスの剛剣差しか、キロとカロの鉄の矢撃ち込みで、地竜を蹴散らして行く、盾以外は宝石も残し消える。

「あれ?革製のリュックサックが残った」

 革製の小さいリュックもマジックバッグだった。

「一階に一個は、マジックバッグ出るようだな、これはミズが使って」


 私のナップザック、まだまだ入りそう。


 地下3階に降りた、ここまで30分、夜までには楽々後略出来そうだ。

 と思ったら、3階で出てきたのは火を吹く竜『火竜』と言うそうだ。

「火炎放射は厄介だ、相手にせず火炎を避けながら、駆け足下の階を目指す!」

「ご…エーアイ様!構築で、火竜の口を塞ぐ事は出来ませんか?」

「えっ?あっ!そうか、やってみる」

 奴隷から解放後、ご主人様呼びを改めさせ、エーアイと呼ぶ様に言った為、リズが言い難そうだ。


 火竜の顔を、口無しに構築した。

 変わった顔に気付かず、火炎放射試みた火竜は自爆、地竜と色違い赤くデカイ魔石と鱗の盾を残した。


 鱗の盾は耐火製で、私が盾に隠れながら火竜を口無しに構築、自爆させながら進む。

 火竜は魔石と盾以外は、ルビーの様な真っ赤な宝石、それに可愛いポーチバッグを二つも残した。

 キロとカロに渡し、腰に着けさせた。

 サイドポーチ、小さいがこれもマジックバッグだった。


 土火と来れば、次は水!予想通り、地下4階は水竜が出た。

 4階は一面の地底湖、中央に細い道があり、通行中に水竜が襲って来る、倒してもアイテムは水没する、潜って拾うとか無駄な事はせず、水竜を無視して全力で駆け抜けた。


 火竜と水竜にてこずって、二時間が経過した。

 水竜は、どんなアイテムを残すのか、少し気になったが攻略優先だ。


 地下5階、駆け足で進む、魔物が現れない。

「ご…エ、エーアイ様!宝箱です!!」

 ベスが指差す方を見ると、如何にも宝が入っている感じの箱が置いてある。

 開けると、サイドポーチ形マジックバッグが、6人分入っていた。

「この階を全て探る時間が惜しい」

 結構簡単に5階まで来れた、又の機会にこの階を重点的に探索しに来れば良い。


「あるじ……エーアイ様!ここがダンジョンボスの部屋の様です」

 扉を開けて入ると、20メートルはある、巨大なドラゴンが2頭居た。

「火炎放射するかも!」

 弓のキロとカロ以外に、鱗の盾を持たせた。

 その間にも、キロとカロは矢を射掛けている。

 ドラゴンには翼が有るが、この狭い空間では無用の長物、飛ぶ事は出来ない。

「「行きます!!」」

 リズとミズが右側のドラゴンに向かった。

「行きます!!」

 ベスが、剛剣を構え左側のドラゴンに向かった。


 リズ達を踏み潰そうと、ドラゴンが地団駄踏む。

 巨体の足踏みで、地面が揺れる。

 私はユサユサ揺れて居るが、リズ達は軽やかにドラゴンに斬り付けている。

 2頭の顔は、矢で剣山の様になった。


 流石ダンジョンボス、しぶとい!

 首を斬り落とせれば、終わりに出来るが、ドラゴンの頭は10メートル上にある。


『ガッガグゥウォウーーッ』威圧咆哮が効いた、リズ達5人が気絶した。


「ズルして終わらせないと、リズ達が踏み潰される『再構築』心臓停止」

 魔素で構成された体でも、生き物を模した構成、心臓を止めてやると、一溜まりも無く倒せた。


「「「「「エーアイ様、申し訳有りません」」」」」

「皆良くやった!!死に物狂いの威圧咆哮、あれは仕方無い!気にするな!次は耳栓用意すれば良い」


 ドラゴン2頭は、各々直径1メートルの魔石、巨大な鱗10枚、正体不明のビン入薬10本、マジックバッグ10、銀色に輝く宝剣2振りを残した。



 冒険者ギルドに帰り、報告した。

 S級ダンジョンの仕組みと、各階に出る竜の説明を諦めた様なギルマスがメモしてた。


 最後に「名誉S級タグを贈るつもりだったが…本気まじでS級ダンジョン攻略しやがった!!S級タグ持ってけ!!化け物ども!!」

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